高校生の子どもが万引きをしてしまったと知ったとき、保護者の多くは強い不安を感じます。
警察に連絡されたらどうなるのか逮捕されるのか前科は残るのか学校を退学になる可能性はあるのか――短時間のうちに、次々と疑問が浮かぶのは自然なことです。

万引きは、被害額が少額であっても、刑法上は窃盗罪に該当します。ただし、高校生は未成年であるため、成人と同じ刑事手続がそのまま適用されるわけではありません。実際の手続や処分は、少年法に基づき、家庭裁判所が判断することになります。

もっとも、「未成年だから大丈夫」「初めてだから問題にならない」と一概に言えるわけではありません。事案の内容や本人の態度、保護者の対応によって、その後の流れや処分の重さに差が生じることもあります。

この記事では、高校生が万引きをした場合に進む警察・家庭裁判所での手続の流れ、考えられる処分や前科・記録の扱い学校への影響、そして保護者が取るべき対応について、少年事件を扱う弁護士の視点から整理して解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

高校生の万引きは犯罪になるのか

万引きは、商品を無断で持ち去る行為であり、刑法上は窃盗として評価される行為に当たります。被害額が少額であっても、行為の性質が変わるわけではなく、犯罪に該当する行為である点に違いはありません。

もっとも、高校生が万引きをした場合、成人と同じ刑事裁判がそのまま行われるわけではありません。多くのケースでは、少年法に基づく手続により対応され、警察の関与を経て家庭裁判所が処分の要否や内容を判断することになります。

高校生の万引きが少年事件として扱われる理由

高校生による万引きは、犯罪として評価されつつも、更生や再発防止を重視した手続が取られる点に特徴があります。処罰そのものを目的とするのではなく、行為に至った背景や生活環境などを踏まえ、どのような対応が適切かという観点から判断が行われます。

高校生の年齢による扱いの違い

高校生が万引きをした場合でも、その年齢によって適用される扱いが異なることがあります。多くの高校生は20歳未満であり、万引きについては少年法の枠組みの中で手続が進められます。一方で、18歳・19歳の高校生については、年齢に応じた考慮が加えられる場合がある点にも注意が必要です。

いずれにしても、高校生が万引きをした場合には、少年事件として警察や家庭裁判所が関与する可能性があることを前提に、状況を正しく理解しておくことが重要です。

少年事件の最終的な処分(審判)を受ける段階で20歳に達している場合、少年事件として処理することができません。そのため、事件処理中に20歳に達した場合は成人と同じ手続の対象となります。

高校生が万引きをした場合の典型的な流れ

高校生の万引きが発覚した場合、その後の流れは事案の内容や状況によって異なりますが、おおむね共通する手続の流れがあります。ここでは、実務上よく見られる一連の流れを整理します。

店舗で発覚した直後の対応

万引きは、多くの場合、店舗の従業員に声をかけられることで発覚します。商品を所持したまま店外に出た場合だけでなく、店内であっても状況次第では万引きとして扱われることがあります。

その場で事情を確認された後、店舗側が警察に通報するかどうかを判断します。被害額や態様、本人の態度によっては、警察を呼ばずに対応が終わるケースもありますが、通報されるケースも少なくありません。

警察による対応と保護者への連絡

警察が関与した場合、高校生本人は警察署で事情聴取を受けることになります。この段階で、保護者に連絡が入るのが通常です。

すべての事案で逮捕されるわけではなく、初めての万引きで被害額が少額、逃走や否認がない場合などは、逮捕せずに在宅で手続が進むケースも多く見られます。

逮捕される場合とされない場合

高校生の万引きで逮捕されるかどうかは、次のような事情を総合して判断されます。

  • 常習性があるか
  • 逃走や証拠隠滅のおそれがあるか
  • 事実関係を否認しているか

これらの事情が重い場合には、逮捕される可能性が高くなります。一方で、事情が軽い場合には、身柄を拘束せずに手続が進むこともあります。

家庭裁判所への送致

警察での手続を経た後、高校生の万引き事件は、家庭裁判所に送致されるのが一般的です。家庭裁判所では、万引きという行為そのものだけでなく、生活状況や反省の程度、再発防止の可能性などを含めて調査が行われます。

この調査結果を踏まえ、家庭裁判所が処分を行うかどうか、行う場合にはどのような処分が相当かを判断することになります。

高校生の万引きで考えられる処分内容

高校生が万引きをした場合、最終的にどのような処分になるかは、家庭裁判所の判断によって決まります。処分は一律ではなく、事案の内容や本人の状況などを踏まえて、個別に判断されます。

家庭裁判所が判断する主な処分の種類

高校生の万引き事件では、主に次のような処分が検討されます。

まず、不処分です。
万引きが比較的軽微で、本人が深く反省しており、再発のおそれが低いと判断された場合には、処分を科さずに手続が終了することがあります。

次に、保護観察です。
保護観察官や保護司の指導を受けながら、日常生活を送り、更生を図る処分です。学校生活を続けながら更生を目指すケースも多く見られます。

事案が重い場合には、少年院送致などのより厳しい処分が選択されることもありますが、万引きのみで直ちにこのような処分が選ばれるケースは多くありません。

初犯・少額の場合に考慮されやすい事情

高校生の万引きが初めてであり、被害額が少額である場合には、処分を判断するうえで次のような点が重視されます。

  • 事実を認め、反省しているか
  • 被害店舗への謝罪や弁償が行われているか
  • 家庭や学校での生活が安定しているか

これらの事情が整っている場合には、比較的軽い対応で終わる可能性が高まります。

再犯や常習性がある場合の注意点

一方で、過去にも万引きを繰り返している場合や、計画性が高いと判断される場合には、処分が重くなる傾向があります。
家庭裁判所は、単なる反省の有無だけでなく、再発防止が期待できるかどうかを重視して判断します。

そのため、再犯が疑われる場合には、家庭環境や生活状況を含めた対応が求められ、場合によっては保護観察などの処分が選択されることがあります。

高校生の万引きで前科や記録は残るのか

高校生の万引きで多くの保護者が気にするのが、前科がつくのか、何らかの記録が残るのかという点です。この点は、一般にイメージされている「前科」と、実際の手続との間で誤解が生じやすい部分でもあります。

高校生の万引きで「前科」がつくかどうか

前科とは、刑事手続で有罪の裁判を受け、その事実が記録として残ることを指します。

高校生の万引きは、多くの場合、家庭裁判所での少年事件手続として処理され、通常の刑事裁判が行われるわけではありません。そのため、家庭裁判所で不処分や保護観察などの判断がされた場合には、前科がつくことはありません

記録がまったく残らないわけではない点に注意

もっとも、前科がつかないからといって、何の記録も残らないわけではありません。警察や家庭裁判所の内部では、事件として扱われた事実が一定の記録として保管されます。

ただし、これらの記録は、一般に公開されたり、進学や就職の際に提出を求められたりするものではありません。日常生活の中で、第三者が容易に知り得る性質のものではない点は押さえておく必要があります。

将来への影響が問題になるケース

高校生の万引きが将来に大きな影響を及ぼすかどうかは、処分の内容やその後の経過によって異なります。

不処分などで手続が終了し、その後同様の問題を起こさなければ、進学や就職の場面で実務上問題になることは多くありません。一方で、万引きを繰り返している場合や、より重い処分が選択された場合には、将来の進路を考えるうえで注意が必要になることもあります。

高校生の万引きでは、「前科がつくかどうか」だけでなく、その後の行動や環境がどう整えられるかが、将来への影響を左右する重要な要素になります。

万引きが学校に知られた場合の対応と処分

高校生の万引きが発覚した場合、学校に知られるかどうか、そしてどのような処分が取られるのかは、保護者にとって大きな関心事です。この点は、事案の内容や学校の対応方針によって扱いが分かれます。

学校に知られるケースと知られないケース

万引きが起きたからといって、必ず学校に連絡が入るわけではありません。警察が関与した場合でも、すべての事案で学校に通知されるとは限らず、事案の性質や地域の運用によって対応が異なります。

一方で、警察や家庭裁判所から学校に連絡が入る場合や、保護者や本人が学校に事情を説明することで、結果的に学校が把握するケースもあります。特に、事案が比較的重い場合や、学校生活への影響が懸念される場合には、学校が関与する可能性が高まります。

学校が検討する主な処分内容

万引きが学校に知られた場合、学校側は校則や教育的観点を踏まえて対応を検討します。考えられる対応としては、次のようなものがあります。

  • 指導や注意
  • 反省文や保護者面談
  • 停学などの懲戒処分

これらはあくまで一般的な例であり、直ちに退学になるとは限りません。多くの学校では、行為の内容や本人の反省状況、これまでの学校生活の様子などを総合的に考慮して判断が行われます。

退学になる可能性が問題となる場合

高校生の万引きで退学が検討されるケースは、決して多くはありません。ただし、万引きを繰り返している場合や、他の問題行動と重なっている場合には、学校側が厳しい対応を取る可能性もあります。

また、学校が最終的な処分を判断する際には、家庭での対応や再発防止への取り組みも重視されます。保護者がどのように関わり、本人がどの程度反省し、改善に向けて行動しているかは、学校側の判断に影響を与える要素の一つです。

学校対応で注意すべきポイント

万引きが学校に関係する場面では、事実関係を正確に整理したうえで対応することが重要です。感情的に説明したり、事実関係が整理されないまま話を進めたりすると、かえって誤解を招くこともあります。学校への説明や対応に不安がある場合には、専門家の助言を踏まえて進めることが、結果的に本人にとって不利益を避けることにつながる場合もあります。

保護者がすぐに取るべき対応と注意点

高校生が万引きをしてしまった場合、保護者の初動対応は、その後の手続や処分に少なからず影響します。感情的になりやすい場面ではありますが、冷静に状況を整理し、適切な対応を取ることが重要です。

事実関係を正確に把握する

まず大切なのは、何が起きたのかを正確に把握することです。
いつ、どこで、何をしたのか、警察や店舗からどのような説明を受けているのかを整理し、推測や憶測で判断しないよう注意する必要があります。

本人の話だけでなく、警察や店舗側の説明も踏まえ、事実関係を客観的に整理する姿勢が求められます。

被害店舗への対応と示談の考え方

万引きが事実である場合、被害店舗への対応は避けて通れません。
謝罪や弁償を行うこと自体は重要ですが、タイミングや方法を誤ると、かえって問題が複雑になることもあります。

特に、警察が関与している場合には、独断で対応を進めるのではなく、状況を見極めたうえで行動することが大切です。示談が成立するかどうか、また示談の内容がどのように評価されるかは、事案ごとに異なります。

本人への向き合い方で重視される点

保護者が強く叱責することだけが解決につながるわけではありません。
家庭裁判所や学校が重視するのは、本人が行為の意味を理解し、再発防止に向けてどのように向き合っているかという点です。

そのため、事実を認めたうえで反省を促し、生活環境や交友関係を見直すなど、具体的な再発防止策を考えることが重要になります。

保護者が避けるべき対応

万引きが発覚した直後は、焦りから次のような対応を取ってしまうケースも見られます。

  • 事実関係が整理されないまま、学校や店舗に説明をする
  • 本人にすべての責任を押し付け、関与を避ける
  • 早く終わらせたい一心で、十分な確認をせずに対応を進める

これらは、結果的に本人に不利益が生じる原因になることもあります。冷静に状況を見極め、必要に応じて第三者の助言を得ることが大切です。

高校生の万引きで弁護士に相談する意味

高校生の万引きは、比較的軽い問題だと受け止められがちですが、対応を誤ると、その後の手続や処分に影響が及ぶこともあります。そのため、早い段階で弁護士に相談することには、一定の意味があります。

手続の見通しを整理できる

万引きが発覚した直後は、警察や学校からの連絡が続き、何から手を付ければよいのか分からなくなることも少なくありません。弁護士に相談することで、現在の状況がどの段階にあり、今後どのような流れが想定されるのかを整理することができます。

これにより、過度に不安を抱いたり、必要以上に焦った対応を取ったりすることを避けやすくなります。

被害店舗への対応や示談について助言を受けられる

万引き事件では、被害店舗への謝罪や弁償、示談が重要な意味を持つことがあります。ただし、示談の進め方やタイミングは事案によって異なり、誤った対応が不利に働くこともあります。

弁護士は、事案の内容を踏まえたうえで、どのような対応が適切か、どこまで進めるべきかについて助言することができます。

処分や学校対応への影響を見据えた対応が可能になる

家庭裁判所が処分を判断する際には、本人の反省状況や家庭の対応が考慮されます。弁護士が関与することで、どのような点が評価されやすいかを踏まえた対応を進めやすくなります。

また、学校への説明や対応についても、法的な視点から整理したうえで進めることで、不必要な誤解や不利益を避けられる場合があります。

早期相談が重要になる理由

高校生の万引きでは、初動対応がその後の流れに影響することがあります。弁護士に早い段階で相談することで、状況に応じた選択肢を把握し、本人にとってより適切な方向を検討しやすくなるというメリットがあります。

弁護士への相談は、必ずしも依頼を前提とするものではありません。状況を整理し、冷静に判断するための一つの手段として活用することが考えられます。

高校生の場合、一般的な刑事手続とは異なる取り扱いを受けるため、手続の具体的な見通しを把握するには専門性ある弁護士から案内を受けることが望ましいです。まずは相談を検討する、というくらいの考え方でもよいかと思います。

高校生の万引きに関するよくある質問(FAQ)

高校生が万引きをすると、必ず逮捕されますか

高校生の万引きがすべて逮捕に至るわけではありません。初めての万引きで被害額が少額、逃走や否認がない場合などでは、逮捕せずに在宅で手続が進むケースも多く見られます。一方で、常習性がある場合などには逮捕される可能性もあります。

高校生の万引きで前科はつきますか

前科とは、刑事手続で有罪の裁判を受け、その事実が記録として残ることを指します。高校生の万引きは、多くの場合、家庭裁判所での少年事件手続として処理されるため、通常は前科がつくことはありません。

万引きのことは学校に必ず知られますか

万引きをしたからといって、必ず学校に連絡が入るわけではありません。警察が関与した場合でも、事案の内容や地域の運用によって対応は異なります。ただし、結果的に学校が把握するケースもあります。

高校生が万引きをすると退学になることはありますか

高校生の万引きで直ちに退学になるケースは多くありません。多くの学校では、行為の内容や本人の反省状況などを踏まえて判断が行われ、指導や停学にとどまることもあります。

親が代わりに弁償すれば問題は解決しますか

弁償をすればすべてが解決するとは限りません。謝罪や弁償は重要ですが、手続全体の中でどのように評価されるかは事案ごとに異なります。独断で進めるのではなく、状況を踏まえた対応が必要です。

初めての万引きなら軽い対応で終わりますか

初犯であることは考慮されやすい事情の一つですが、それだけで処分が決まるわけではありません。反省の程度や再発防止の取り組みなども、家庭裁判所が重視する要素になります。

高校生の万引きでも弁護士に相談する意味はありますか

高校生の万引きでも、初動対応や示談の進め方によって、その後の流れが変わることがあります。弁護士に相談することで、状況を整理し、適切な対応を検討しやすくなる場合があります。

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