覚醒剤事件は、刑事事件の中でも重い刑罰が予定されている犯罪です。
そのため、「初犯であれば実刑にはならないのではないか」「執行猶予が付くのか」「前科は避けられるのか」といった不安を抱え、情報を探している方も多いのではないでしょうか。

覚醒剤取締法では、覚醒剤の使用所持といった行為について、初犯であっても拘禁刑が予定されています
もっとも、すべての初犯事件が同じように扱われるわけではなく、事案の内容や再犯の可能性などによって、量刑の判断は大きく左右されます。

実務上は、使用・所持のみで悪質性が低い場合には執行猶予が付される例も多く見られますが、一方で、使用状況や所持量などによっては、初犯であっても実刑(拘禁刑の言渡し)となるケースがあるのも事実です。

覚醒剤事件の初犯において、どのような点が重視され、どのように判断が行われるのかを正しく理解することは、今後の見通しを考えるうえで重要です。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

覚醒剤初犯に関する結論(実刑・執行猶予の判断)

覚醒剤事件は初犯であっても拘禁刑が予定されており、使用・所持のみで悪質性が低い場合には執行猶予となる例が多い一方、事案次第では実刑となることもあります。

  • 覚醒剤事件は、初犯であっても拘禁刑が予定されている犯罪です。
  • もっとも、覚醒剤の使用や所持のみで、悪質性が低いと判断される場合には、執行猶予が付される例が多く見られます。
  • 一方で、使用回数が多い場合や所持量が多い場合などには、初犯であっても実刑(拘禁刑の言渡し)となることがあります
  • 執行猶予や量刑の判断においては、再犯の可能性や更生環境が重要な考慮要素となります。

覚醒剤事件とは何か|覚醒剤取締法の基本

覚醒剤事件とは、覚醒剤取締法に違反する行為を指します。
覚醒剤取締法は、覚醒剤の乱用による健康被害や社会的弊害を防止することを目的としており、覚醒剤の使用所持だけでなく、譲渡・譲受輸入・輸出など、広い範囲の行為を処罰の対象としています。

この法律において処罰の対象となるのは、覚醒剤を実際に使用した場合に限られません。
自ら使用していなくても、覚醒剤を所持していた場合や、他人に譲り渡した場合なども、覚醒剤取締法違反として処罰されます。

また、覚醒剤事件では、行為の内容によって評価が大きく異なります。単純な使用や少量の所持であれば、悪質性が比較的低いと評価される余地がありますが、営利目的が認められる場合や、反復継続して関与していた場合には、より重く評価されることになります。

覚醒剤事件の初犯か再犯か、またどのような行為が問題とされているのかによって、その後の処分や量刑の考え方は大きく変わります。

覚醒剤事件の初犯に科される刑罰(法定刑)

覚醒剤事件は、覚醒剤取締法により厳しく処罰される犯罪とされています。
覚醒剤の使用所持といった行為については、初犯であっても、刑罰が科されることを前提とした規定が置かれています。

具体的には、覚醒剤取締法では、覚醒剤を使用した場合や所持した場合について、一定の期間内での拘禁刑が予定されています。
これは、覚醒剤の乱用が個人の健康に深刻な影響を与えるだけでなく、社会全体にも重大な弊害を及ぼすと考えられているためです。

なお、従来は「懲役」や「禁錮」といった刑罰が用いられていましたが、刑法改正により、現在はこれらが拘禁刑に一本化されています。
本記事では、現行法に基づき、拘禁刑という用語を用いて説明します。

覚醒剤事件においては、同じ初犯であっても、どのような行為が問題とされたのかによって評価は異なります。
単純な使用や少量の所持にとどまる場合と、譲渡・譲受や営利目的が認められる場合とでは、想定される刑の重さに大きな差が生じます。

そのため、初犯であるかどうかだけで刑罰の重さが決まるわけではなく、行為の内容や態様が、法定刑の枠内でどのように評価されるかが重要となります。

組織的な事件は、社会への影響がより大きく、初犯の覚醒剤事件でも重い刑罰の対象になりやすい傾向が見られます。

覚醒剤初犯の量刑相場|どの程度の刑が言い渡されるのか

覚醒剤事件の初犯における量刑は、覚醒剤取締法が定める法定刑の範囲内で、個別の事情を踏まえて判断されます。
そのため、初犯であっても一律の刑が科されるわけではなく、事案ごとの差が大きいのが特徴です。

実務上、覚醒剤の使用所持のみが問題となり、使用回数が多くなく、所持量も少量にとどまるようなケースでは、拘禁刑の言渡しに執行猶予が付される例が多い傾向にあります。
この場合、裁判所は、初犯であることや反省の態度、再犯防止の見通しなどを考慮し、直ちに刑の執行を行わない判断をすることがあります。

一方で、同じ初犯であっても、使用回数が多い場合や、一定期間にわたって反復して使用していたと認められる場合には、量刑は重く評価されやすくなります。
また、所持していた覚醒剤の量が多い場合や、入手経路に不自然な点がある場合なども、量刑判断に影響を及ぼします。

このように、覚醒剤初犯の量刑相場は、「初犯かどうか」だけで決まるものではありません。
どのような態様で関与していたのか、どの程度の期間・回数に及んでいたのかといった点が総合的に考慮され、その結果として、執行猶予が付されるか、実刑とされるかが判断されます。

覚醒剤初犯でも執行猶予が付くケース

覚醒剤事件の初犯であっても、事案の内容によっては、拘禁刑の言渡しに執行猶予が付されることがあります
もっとも、初犯であれば必ず執行猶予が付くわけではなく、個別の事情を踏まえた判断が行われます。

覚醒剤の使用が問題となる場合には、使用の回数や期間が重視されます。
一度限りの使用や、短期間に限られた使用にとどまると評価される場合には、常習性が低いと判断されやすい傾向があります。

一方、覚醒剤の所持が問題となる場合には、所持していた量や態様が重要となります。
少量の所持にとどまり、自己使用の範囲内と認められる場合には、悪質性が比較的低いと評価されることがあります。

使用・所持のいずれの場合であっても、執行猶予の可否では、再犯の可能性がどの程度あるかが重視されます。
反省の態度や、家族の監督、治療・支援体制の有無などを踏まえ、再犯防止の見通しがあるかどうかが判断材料となります。

このように、覚醒剤初犯で執行猶予が付くかどうかは、行為の内容と再犯の可能性を踏まえた総合判断によって決まります。

覚醒剤初犯でも実刑となるケースとは

覚醒剤事件では、法律上、初犯であることを理由に実刑が一律に否定されるわけではありません。
もっとも、覚醒剤の使用や、自己使用目的の所持で初犯の場合には、実務上、執行猶予が付される例が多いのが一般的な傾向です。

そのため、使用や自己使用目的の所持のみが問題となる初犯の事案については、裁判実務において、直ちに実刑が選択されることは多くありません
まずは、執行猶予を付すことが相当かどうかを検討したうえで、個別の事情に応じた判断が行われるのが通常です。

もっとも、初犯であっても、事案の内容や経緯によっては、実刑が検討されることがあります。
それは、行為の態様や背景事情から、再び覚醒剤に関与する可能性が高いと評価される事情が重なっている場合です。

例えば、使用の状況から依存の程度が強くうかがわれ、再犯防止に向けた具体的な見通しが立たないと判断される場合や、所持量や態様から自己使用の範囲を超えていると評価される場合には、執行猶予が相当でないと判断される余地があります。
また、事件後の生活状況や対応の内容によっては、更生の可能性が十分とはいえないと評価されることもあります。

このように、覚醒剤初犯で実刑となるかどうかは、「使用か所持か」「初犯か否か」といった形式的な区分だけで決まるものではありません
行為の態様や背景事情、再犯防止の可能性などを踏まえた総合的な判断によって結論が導かれます。

一般的な単純使用、所持の事件では、1年6月の拘禁刑、3年の執行猶予という刑罰が数多く見られます。特段の理由なく実刑が科される事件類型ではないということができるでしょう。

覚醒剤事件で「初犯」が量刑に与える影響

覚醒剤事件において、初犯であることは量刑判断における重要な事情の一つです。
もっとも、初犯であるという事実だけで、必ず軽い処分が選択されるわけではありません。

裁判実務では、初犯であることは、前歴や前科がない点として有利に考慮されます。
とりわけ、覚醒剤の使用や自己使用目的の所持にとどまる事案では、初犯であることが、執行猶予の可否を検討する際の前提事情として位置づけられることが多く見られます。

一方で、量刑判断は初犯か再犯かという点だけで決まるものではありません。
初犯であっても、行為の態様や背景事情によっては、評価が厳しくなることがあります。
例えば、使用状況から依存の程度が強くうかがわれる場合や、所持の態様が悪質と評価される場合には、初犯であることの影響は相対的に小さくなることがあります。

また、初犯であることがどの程度重視されるかは、再犯防止の見通しとも密接に関係します。
初犯であっても、事件後の生活環境や支援体制が整っておらず、再び覚醒剤に関与する可能性が否定できないと評価される場合には、初犯である点が量刑に与える影響は限定的となります。このように、覚醒剤事件における「初犯」は、量刑判断において重要な意味を持つものの、それ単独で結論を左右する決定的要素ではありません
行為の内容や再犯防止の可能性などと併せて、総合的に評価されることになります。

常習性や再犯の恐れが重大視される事件のため、同種前科があるかは処分への影響が他の事件類型よりも大きい傾向にあります。

覚醒剤で逮捕された場合の刑事手続きの流れ

覚醒剤事件で逮捕された場合、刑事手続きは一定の流れに沿って進められます。初犯であっても、手続きの基本的な構造は変わりません

警察による逮捕が行われると、原則として身柄を拘束された状態で取調べが進み、その後、検察官に送致されます。検察官は、引き続き身柄拘束が必要かどうかを判断し、必要があると判断した場合には裁判所に勾留を請求します。勾留が認められると、一定期間、身柄拘束が継続します

勾留期間中またはその終了時点で、検察官は事件を起訴するか、不起訴とするかを判断します。不起訴となった場合には刑事裁判は開かれず、身柄は解放されます。一方、起訴された場合には刑事裁判が行われ、量刑や執行猶予の可否について審理が進められます。

このように、覚醒剤事件では、逮捕後から判決に至るまで、複数の段階を経て手続きが進行します。初犯であるかどうかは、最終的な処分を判断する際の一事情として考慮されます

覚醒剤初犯でも前科はつくのか

覚醒剤事件では、初犯であっても、前科が付くかどうかが問題となることがあります。
初犯という事情は重要ではありますが、それだけで処分の内容が決まるわけではありません

刑事手続では、まず検察官が、事件の内容や証拠関係を踏まえて、起訴するかどうかを判断します。
覚醒剤の使用や所持について証拠が十分と判断された場合には、初犯であっても起訴されることがあります。一方で、事案の内容や本人の状況などを考慮し、起訴を見送る判断がされる場合もあります。

起訴された場合には刑事裁判が行われ、その結果として有罪判決が言い渡される可能性があります。
この場合、判決の内容によっては前科が付くことになります。初犯であることは、量刑や執行猶予の可否を判断する際に考慮されますが、前科が付くかどうかを直接決める事情ではありません

これに対し、不起訴となった場合には刑事裁判は開かれず、前科が付くこともありません。
そのため、覚醒剤初犯で前科が付くかどうかは、初犯かどうかという点だけで判断されるのではなく、起訴に至るかどうか、そして裁判でどのような判断が示されるかによって左右されます

初犯なのに前科が付いてしまう、というよりも、初犯であるからこそ執行猶予等の前科で済んでいる、という理解をする方が望ましいでしょう。それだけ重い事件です。

覚醒剤初犯事件で弁護活動が重要となる理由

覚醒剤事件では、初犯であっても、事件の内容だけで結果が決まるわけではありません。初犯という事情は考慮されますが、それだけで処分が軽くなるとは限りません

捜査が進むと、警察や検察は、覚醒剤の使用や所持といった事実関係に加え、事件に至る経緯や本人の状況を踏まえて、起訴するかどうかを判断します。このとき、事件の内容だけが把握されている場合と、生活状況や事件後の対応まで整理されている場合とでは、見られる情報の範囲が異なります。

弁護活動では、事件の経過に加えて、本人の生活環境や、事件後にどのような対応をしているかといった点を整理し、捜査や手続の段階に応じて示していきます。こうした事情が示されているかどうかで、判断に用いられる材料の内容が変わることがあります

また、起訴された場合には、裁判の中で量刑や執行猶予の可否が検討されます。この場面でも、初犯であるかどうかだけでなく、事件後の生活状況や再発防止に向けた取り組みが、どのように受け止められるかが影響します。

このように、覚醒剤初犯事件では、捜査から裁判に至るまでの各段階で判断が行われます。弁護活動は、事実関係以外に考慮され得る情報を整理し、必要な形で示す役割を果たします

覚醒剤初犯の事件では、再発防止が極めて重要な問題になります。刑罰の軽減を目指す弁護活動ももちろんですが、実際に再発を抑止できる体制を築くためのサポートも弁護士の大切な役割です。

覚醒剤初犯に関するよくある質問

Q1.覚醒剤は初犯でも逮捕されるのですか

はい、初犯であっても逮捕されることはあります
覚醒剤事件では、使用や所持について嫌疑があり、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されれば、初犯かどうかにかかわらず逮捕される可能性があります。初犯であることは、逮捕をしない理由にはなりません。


Q2.覚醒剤初犯でも起訴されるのですか

初犯であっても、事案の内容や証拠関係によっては起訴されます
覚醒剤の使用や所持について証拠がそろっている場合、初犯であることのみを理由に不起訴とされるとは限りません。起訴するかどうかは、事件ごとに判断されます。


Q3.覚醒剤初犯で不起訴になることはありますか

ありますが、必ず不起訴になるわけではありません
不起訴とするかどうかは、事案の内容や本人の状況などを踏まえて判断されます。初犯であることは考慮要素の一つですが、それだけで不起訴が決まるものではありません。


Q4.覚醒剤初犯で執行猶予が付く可能性はありますか

可能性はあります。
初犯であることは、量刑や執行猶予の可否を検討する際に考慮される事情の一つです。ただし、初犯であれば必ず執行猶予が付くわけではありません


Q5.覚醒剤初犯でも実刑になることは本当にあるのですか

初犯であっても、事案の内容によっては実刑が検討されることがあります
使用状況や事件の経緯などから、再び覚醒剤に関与する可能性が高いと判断される場合には、初犯であることだけでは足りないと評価されることがあります。


Q6.覚醒剤初犯の場合、前歴や前科はどのように扱われますか

初犯であっても、起訴され有罪判決が言い渡されれば前科が付きます
一方、不起訴となった場合には刑事裁判は行われず、前科は付きません。前歴と前科の扱いは、最終的な処分によって異なります。


Q7.取調べではどのような点に注意すべきですか

取調べでは、供述内容がその後の手続に影響することがあります
事実関係についてどのように説明するかは慎重に考える必要があり、安易な判断は避けるべきです。


Q8.家族や職場に知られる可能性はありますか

状況によっては、知られる可能性があります
逮捕や勾留が行われた場合には、連絡や手続の関係で家族に知られることがありますし、職場への影響が生じる場合もあります。

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所