慰謝料を払えない場合どうなる?支払義務と対応の考え方

慰謝料を請求されたものの、今の収入や生活状況では支払いが難しい――このような状況に直面したとき、多くの方が払えなければどうなるのか、法的に問題があるのかといった不安を抱えます。
もっとも、慰謝料は経済的に余裕がないという事情だけで直ちに支払義務が否定されるものではありません。一方で、個別の事情がまったく考慮されないわけでもなく、法律上は一定の枠組みに沿って評価されます。
重要なのは、慰謝料を払えない状態が法律上どのように位置づけられ、どの点が問題になるのかを正確に理解することです。ここでは、支払義務の考え方や想定される法的リスクを、弁護士の視点から解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

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目次

慰謝料を「払えない」とは法律上どのような状態か

「慰謝料を払えない」という状況は、多くの場合、収入や貯蓄が十分でなく、今すぐには支払う余裕がない状態を指します。日常感覚では「払えないのだから仕方がない」と考えてしまいがちですが、法律上は少し違った整理がされます。

慰謝料は、不法行為などによって生じた損害を補うための金銭です。そのため、慰謝料を支払う必要があるかどうかは、行為の内容や当事者の関係など、法律上の要件をもとに判断されます。 収入が少ない、貯蓄がないといった事情だけで、支払う必要がなくなるわけではありません。

もっとも、実際の場面では、慰謝料を払えない状態がどのような事情によるものかがまったく考慮されないわけではありません。たとえば、一時的に仕事を失っているのか、長期間にわたって安定した収入を得る見込みがないのかによって、話し合いや手続の進み方は変わることがあります。支払いが難しい理由を、どこまで具体的に説明できるかも重要になります。

このように、慰謝料を払えないという事情は、それだけで結論が決まるものではありませんが、支払う義務とは別の場面で、どのように扱われるかが問題になるという点を理解しておくことが大切です。

慰謝料の支払義務が生じる条件と、争いになるポイント

慰謝料を支払う必要があるかどうかは、「お金があるか」「払えるか」といった事情では決まりません。まず問題になるのは、法律上、慰謝料を請求できる関係があるかどうかです。

慰謝料は、不法行為によって精神的な苦痛を受けた場合などに認められるものです。そのため、慰謝料の支払義務が生じるかどうかは、行為の内容や経緯が法律上の要件を満たしているかによって判断されます。たとえば、不貞行為があったといえるのか、その行為によって実際に精神的苦痛が生じたと評価できるのか、といった点が前提になります。

また、誰が誰に対して請求しているのかも重要です。配偶者からの請求なのか、不倫相手からの請求なのかによって、問題となるポイントは異なります。請求の相手や立場によって、支払義務の範囲や責任の重さが争われることもあります。

実務上、争いになりやすいのは、そもそも慰謝料を支払う必要があるのかという点と、請求されている金額が妥当といえるのかという点です。行為の期間や態様、当事者の関係性などをどう評価するかによって、結論が分かれることも少なくありません。

このように、慰謝料を払えないと感じている場合であっても、その前提として、支払義務が法律上認められるかどうかを切り分けて考える必要があります。この点を曖昧にしたまま話を進めてしまうと、本来争えるはずの部分を見落としてしまうこともあります。

神様の視点で支払義務があるならば、多くは円滑に支払うことが望ましいです。しかし、それでも積極的に支払わない選択が有力な場合もあり得ます。慰謝料問題の難解なポイントの一つです。

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慰謝料を払えない場合に、まず検討すべき法的対応

慰謝料を請求され、現時点では支払いが難しい場合でも、請求に対して何の対応もしないままにしておくことは避けるべきです。請求を放置すると、話し合いによる解決が困難と判断され、調停や訴訟といった手続に進まれる可能性が高まります。

特に注意が必要なのは、連絡を取らない、書面を無視するといった対応です。このような対応を続けると、「支払う意思がない」と受け取られ、裁判所を通じた手続が選択されやすくなります。その結果、支払方法について柔軟な調整ができる余地が狭まることがあります。

次に整理すべきなのは、支払えない理由の内容です。収入が一時的に減少しているのか、生活費を差し引くと支払いに回せる余力がないのか、他に返済中の債務があるのかといった点は、後の話し合いで必ず確認されます。支払えない理由を具体的な事情として説明できるかどうかによって、相手の対応や交渉の進み方は変わります。

あわせて、請求内容そのものを確認することも欠かせません。支払えないという事情がある場合でも、そもそも慰謝料を支払う法的義務があるのか、請求されている金額が行為の内容に見合っているのかといった点は別途検討が必要です。支払能力の問題と、請求の正当性は切り分けて考える必要があります

このように、慰謝料を払えない場合の初期対応では、請求を放置しないこと、支払えない理由を整理すること、請求の内容を冷静に確認することが具体的な検討事項になります。これらを整理しないまま対応を進めてしまうと、不利な条件で話が進む可能性があります。

戦略的に無視をするケースもあります。しかし、具体的な見通しや戦略的判断なく無視することはお勧めできません。専門家の意見を仰いでから判断することが望ましいでしょう。

減額や分割払いが検討される場面とその考え方

慰謝料を払えない場合、「金額を調整できないか」「支払い方を工夫できないか」といった点が話題になることがあります。もっとも、減額や分割払いは当然に用意された制度ではなく、当事者間でどのような合意を目指すかという文脈で検討されるものです。

まず前提として、減額や分割が話題になるのは、慰謝料の支払義務があることを前提に、金額や支払方法について調整が必要な場面です。「そもそも支払う必要があるのか」という問題とは、整理して考える必要があります。

実務上、話し合いの中で重視されやすいのは、支払えない事情の内容と、その見通しです。一時的に収入が減っているのか、生活状況から見て当面は支払いに回せる余力がないのかによって、話の前提は変わります。また、生活費や既存の負債を踏まえて、現実的にどの程度の負担が可能なのかも、検討材料になります。

あわせて、請求されている金額自体についても、調整の余地があるかどうかが問題になることがあります。行為の期間や態様、当事者の関係性などを踏まえて、その金額がどのように評価されるかは、話し合いの中で争点になることがあります。支払能力だけでなく、請求額の前提となる事情も切り離せません。

もっとも、こうした点について当事者間で考え方が一致しない場合もあります。その場合には、話し合いの場が調停や裁判に移り、第三者の判断を仰ぐことになります。いずれの場面であっても、「払えない」という事情を具体的な内容として説明できるかが、話の進み方に影響します。

このように、減額や分割払いは、「できるか・できないか」で単純に整理できるものではありません。どの事情が、どの場面で、どのように受け止められるのかを理解したうえで、現実的な対応を考える必要があります。

慰謝料を支払わないままにした場合に起こり得る法的リスク

慰謝料を請求されているにもかかわらず、支払わない状態が続くと、状況は徐々に変わっていきます。すぐに大きな不利益が生じるとは限りませんが、何も対応しないまま時間が経過すること自体がリスクになります。

まず考えられるのは、話し合いによる解決が難しいと判断されることです。連絡が取れない、支払う意思が見えないと受け取られると、相手は任意の交渉ではなく、調停や訴訟といった法的手続を選択する可能性が高まります。そうなると、当事者同士で柔軟に条件を調整する余地は小さくなります。

手続に進んだ場合、裁判所を通じて慰謝料の支払義務が確定することがあります。判決や調停調書などで支払内容が定まると、その内容に従って支払う義務が明確になります。この段階になってから「やはり払えない」と主張しても、考慮される範囲は限られます。

さらに、確定した内容どおりに支払いが行われない場合には、強制執行の手続が取られる可能性があります。預金や給与などが差し押さえの対象になることもあり、生活への影響が現実的な問題として生じます。支払わない状態を続けることで、選択肢が狭まっていく点には注意が必要です。

このように、慰謝料を支払わないままにしておくことは、「いずれ考えればよい」という問題ではありません。支払えない事情がある場合でも、どの段階で、どのような対応を取るのかによって、その後の負担や影響は大きく変わります。

訴訟外の請求は、応じなくても法的なデメリットが生じるケースは少数です。しかし、訴訟上での請求を放置するのは、相手の請求通りに支払義務を負うという多大なリスクを負う行動と言えます。

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自己破産や債務整理をしても慰謝料は免除されるのか

慰謝料を支払えない状況が続くと、「自己破産や個人再生をすれば、慰謝料も整理できるのではないか」と考える方は少なくありません。しかし、慰謝料については、債務整理をすれば当然に支払わなくてよくなるわけではありません

まず、自己破産の場合です。自己破産では、多くの借金について支払義務が免除されますが、慰謝料はその内容によって扱いが異なります。原因となった行為の性質が重く、強い非難が向けられるようなものである場合には、自己破産をしても免責が認められず、慰謝料の支払義務がそのまま残ることがあります

次に、個人再生についても注意が必要です。個人再生は、借金を大幅に減額したうえで分割返済する手続ですが、すべての債務が同じように減額されるわけではありません。慰謝料については、その内容によっては、借金のように減額の対象とされず、元の金額のまま支払う必要が残るケースがあります。これは、「個人再生をしても、その慰謝料は整理の対象にできない」と表現される場面です。

このように、自己破産では「免責されるかどうか」、個人再生では「減額の対象にできるかどうか」がそれぞれ問題になりますが、いずれの場合でも、慰謝料の内容次第で支払義務が残る可能性がある点は共通しています。

そのため、「払えないから債務整理をすれば解決する」と考えてしまうと、実際には慰謝料だけが残り、想定していた状況と大きく異なる結果になることもあります。慰謝料について債務整理を検討する場合には、その慰謝料がどのような性質のものかを踏まえて判断することが欠かせません。

弁護士に相談すべきタイミングと、早期対応の意味

慰謝料を請求され、支払えない状況にある場合、判断を先延ばしにすると選択肢が減っていきます。特に、請求書や通知が届いているにもかかわらず対応しないままでいると、相手が話し合いでは解決できないと考え、調停や訴訟といった手続に進む可能性が高まります

また、支払えない事情がある場合でも、その内容や説明の仕方によって受け止められ方は変わります。収入の状況、生活費との関係、今後の見通しなどを整理しないまま対応してしまうと、「支払う意思がない」と誤解されることもあります。早い段階で状況を整理しておくことで、交渉の余地が残る場合もあります。

さらに、請求内容そのものに問題がないかを確認することも重要です。そもそも支払義務があるのか、請求額が行為の内容に見合っているのかといった点は、後から争おうとしても難しくなることがあります。初期の段階で論点を整理しておかないと、本来検討できたはずの主張を見逃してしまうおそれがあります。

このように、慰謝料を払えない場合に問題になるのは、「払えるかどうか」だけではありません。どの段階で、どの点を確認し、どのような対応を取るのかによって、その後の負担や結果は大きく変わります。状況が複雑な場合ほど、早めに専門的な視点を入れて整理することが、現実的な解決につながります。

弁護士を窓口にすることで、真摯に対応する意思があることを相手に伝える効果も期待できます。話し合いでの解決を目指す場合は、早期に弁護士を窓口にすることで円滑な解決につながるケースも多く見られるところです。

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離婚・男女問題に強い弁護士をお探しの方へ

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全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

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