いわゆる「パパ活」は、すべてが直ちに犯罪になるわけではありません。しかし、行為の内容や条件によっては、刑事責任が問われる可能性があります。
重要なのは、「パパ活」という呼び方そのものではなく、実際にどのような行為が行われたのかという点です。金銭のやり取りがどのような性質を持つのか、性的な要素が含まれているのか、相手が未成年ではないかといった事情によって、法的な評価は大きく変わります。
一見すると問題がなさそうに見える場合でも、条件次第では違法と判断され、刑事事件に発展することがあります。一方で、一定の範囲にとどまる限り、直ちに犯罪と評価されないケースも存在します。
この記事では、パパ活が犯罪になるかどうかを判断する際の基本的な考え方と、注意すべき典型的なケースについて、法律の視点から整理して解説します。
この記事の監修者
藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介
全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。
パパ活とは何か(法律上の評価の前提)
一般に「パパ活」とは、年上の男性が若い女性に対して金銭的な援助を行い、食事やデートなどの時間を共にする関係を指す言葉として使われています。ただし、この言葉自体は、法律で定められた用語ではありません。
そのため、警察や裁判所が問題にするのは、「パパ活と呼べるかどうか」ではなく、実際にどのような行為が行われていたのかです。
たとえば、成人同士が食事をしたり会話をしたりすること自体は、もちろん違法ではありません。また、その際に一方が相手にお金を渡したとしても、それだけで犯罪になるわけではありません。
一方で、そのお金が何のために渡されていたのか、特定の行為、とくに性的な行為の見返りとして支払われていたのかどうかによって、法的な扱いは大きく変わります。
このように、パパ活について刑事責任が問われるかどうかは、言葉のイメージではなく、行為の中身を一つずつ見て判断されるという点を、まず前提として理解しておく必要があります。
性行為や性交に類似する行為の対価として金銭的な援助をした場合に、児童買春の問題になるケースが刑事事件の代表例です。
その他、内容によっては、青少年保護育成条例違反、児童福祉法違反などに該当するケースもあります。また、トラブル化すると恐喝罪や脅迫罪、詐欺罪が問題になることもあり得ます。
パパ活自体は犯罪ではないとされるケース
パパ活と呼ばれる関係であっても、内容によっては直ちに犯罪になるわけではありません。
重要なのは、「パパ活かどうか」ではなく、実際に何をしていたのかです。
たとえば、成人同士が食事をしたり、会話を楽しんだりすること自体は、法律上まったく問題になりません。その場で一方が相手にお金を渡していたとしても、そのお金が生活の支援やプレゼントのような意味合いにとどまり、何か特定の行為の見返りとして渡されているものではないのであれば、刑事責任が問われる可能性は低いと考えられます。
また、やり取りの中に性的な行為や、それに近い行為が含まれていないことも大切なポイントです。食事や買い物、雑談といった範囲に限られており、相手に無理をさせたり、だましたりする事情がない場合には、通常は刑事事件として扱われることはありません。
このように、成人同士で、行為の内容が社会的に見て無理のない範囲に収まっており、金銭が特定の行為と結びついていない場合には、「パパ活だから犯罪になる」と判断されることはありません。
もっとも、条件が変われば評価も変わるため、次に説明する判断基準を踏まえて考えることが重要です。

パパ活が犯罪になる判断基準
パパ活が犯罪にあたるかどうかは、「パパ活と呼べるか」「当事者がどう考えていたか」で決まるものではありません。実際にどのような行為が行われていたのかをもとに、いくつかのポイントを総合して判断されます。特に重要なのは、①お金の渡し方、②行為の内容、③相手の年齢の三点です。
まず問題になるのが、お金が何のために渡されていたのかという点です。単なる援助やプレゼントのような形で渡されているのか、それとも特定の行為、とくに性的な行為の見返りとして支払われているのかによって、法的な扱いは大きく変わります。お金と行為が強く結びついているほど、刑事上の問題が生じやすくなります。
次に、行為の内容にどこまで踏み込んでいるかも重要です。明確な性行為が含まれている場合はもちろん、状況ややり取りの流れによっては、それに近い行為が問題とされることもあります。また、「合意していた」という事情があっても、その合意がどのような経緯で成立したのか、当時の状況に問題がなかったかによって、違法と判断される余地が残る点には注意が必要です。
さらに見落とせないのが、相手の年齢です。相手が未成年である場合には、お金の性質や行為の内容にかかわらず、刑事責任が問われやすくなります。年齢に関する要素は、他の事情よりも重く扱われるのが一般的です。
実際には、「ここまでは問題にならないが、ここから先は危険」という線引きがはっきりしない場面も少なくありません。たとえば、事前に金額や条件が決まっていなかったとしても、行為の内容と結びつく形で金銭の受け渡しが行われていれば、結果として対価と評価されることがあります。また、当事者の一方が軽い気持ちで応じていた場合でも、状況次第では法的に問題とされることがあります。判断は形式ではなく、やり取り全体の流れや実態をもとに行われる点に注意が必要です。このように、パパ活が犯罪になるかどうかは、一つの条件だけで決まるものではありません。お金の渡し方、行為の中身、相手の年齢といった事情を踏まえ、全体としてどのような関係だったのかが判断されることになります。

パパ活が犯罪になる主なケース
パパ活が犯罪として問題になるのは、先に述べた判断基準のうち、どれか一つが強く当てはまる、あるいは複数が重なった場合です。ここでは、実務上とくに注意が必要な代表的なケースを、判断のポイントが分かる形で整理します。
未成年が関与するケース
相手が未成年である場合には、パパ活という呼び方にかかわらず、刑事責任が問われる可能性が高くなります。食事や会話に限られているつもりであっても、金銭の授受を伴う関係であること自体が問題視されることがあります。
また、「年齢を知らなかった」「未成年だとは思わなかった」という事情があっても、それだけで直ちに責任が否定されるとは限りません。相手の年齢について確認をしていなかった場合や、未成年である可能性がうかがえる事情があったにもかかわらず関係を続けていた場合には、刑事責任が問題とされることがあります。未成年が関与するケースでは、年齢に関する確認や認識の甘さが重く見られやすい点に注意が必要です。
性的な行為やそれに近い行為を伴うケース
金銭のやり取りがあり、そこに性的な行為や、それに近い行為が含まれている場合には、犯罪と評価される可能性が高くなります。明確な性行為があった場合だけでなく、やり取りの内容や当日の流れから、金銭がその見返りとして支払われていると判断されることもあります。
また、当事者同士が「合意していた」と考えている場合でも、その合意がどのような経緯で成立したのか、相手に無理がなかったかといった点が確認され、結果として法的に問題があると判断されることがあります。合意があれば必ず問題にならない、という関係ではない点が特徴です。
金銭トラブルや対立から刑事事件に発展するケース
パパ活をきっかけに、金銭をめぐるトラブルが生じ、そこから刑事事件に発展するケースも少なくありません。たとえば、約束していた金額が支払われなかった、逆に金銭をだまし取られたと感じたといった場面です。
こうした状況の中で、脅したり、無理に金銭を要求したり、相手をだまして金銭を受け取ったと判断される行為があれば、パパ活とは別の犯罪として扱われることがあります。当初は双方の合意で始まった関係であっても、関係性が崩れた段階で刑事問題に発展する点には注意が必要です。

パパ活が問題化する典型パターン
パパ活が刑事問題として表面化するのは、当事者が自ら警察に行く場合ばかりではありません。多くは、周囲の介入やトラブルをきっかけに発覚します。ここでは、実務上よく見られる典型的なパターンを整理します。
まず多いのが、当事者間の関係がこじれたことをきっかけに問題化するケースです。金銭の支払いをめぐる不満や、関係を解消したい一方と続けたい一方との間で対立が生じると、相手方が第三者に相談したり、警察に被害を訴えたりすることがあります。当初は双方の合意で始まった関係であっても、関係が崩れた段階で事態が一変することは少なくありません。
次に、第三者からの通報や相談によって発覚するケースがあります。家族や知人が金銭のやり取りや交際の状況に気づき、心配して相談したことがきっかけになることもあります。とくに相手が未成年である場合には、学校や保護者などを通じて事態が表に出やすくなります。
また、やり取りの記録が証拠として問題になるケースもあります。メッセージアプリやSNSでのやり取り、金銭の送金履歴などは、後から内容を確認できる形で残ります。軽い気持ちで交わしたメッセージが、行為と金銭の関係を示す材料として扱われることもあります。
このように、パパ活が問題化するきっかけはさまざまですが、共通しているのは、当事者の認識とは別に、外から状況が評価されるという点です。関係が続いている間は問題が表に出にくくても、何かの拍子に第三者が関与することで、刑事問題に発展する可能性があることを理解しておく必要があります。

刑事問題になった場合の注意点
パパ活をめぐって警察から連絡を受けたり、事情を聞かれたりした場合には、初期の対応がその後の展開に大きく影響することがあります。軽い気持ちで説明した内容が、後になって不利に扱われることもあるため注意が必要です。
まず重要なのは、事実関係を正確に整理しないまま、安易に説明をしないことです。自分では問題ないと思っていた行為でも、どの部分が問題視されているのか分からないまま話をすると、意図しない受け取られ方をされることがあります。「誤解を解けば大丈夫だろう」と考えて説明した内容が、かえって疑いを強めてしまうケースもあります。
また、メッセージのやり取りや送金履歴など、客観的な資料が残っている場合には、それらがどのように評価されるかを慎重に考える必要があります。削除すれば解決するものではなく、行動によっては別の問題が生じることもあります。
刑事問題に発展するおそれがある場合には、早い段階で専門家の助言を受けることが重要です。状況を整理したうえで、どの点が問題になり得るのか、どのような対応が適切かを検討することで、不必要なリスクを避けられることがあります。
パパ活が刑事事件になる場合も、当事者間での示談は重要な動きになりやすいです。ただし、パパ活の場合には未成年者本人でなくその親権者が示談交渉の相手になる点に注意しましょう。
まとめ|パパ活は内容次第で犯罪になる
パパ活は、それ自体が一律に犯罪とされるものではありません。しかし、行為の内容や条件によっては、刑事責任が問われる可能性があります。
判断のポイントになるのは、主に「お金が何の見返りとして渡されているのか」「どのような行為が行われていたのか」「相手が未成年ではないか」といった点です。
成人同士で、性的な行為を伴わず、金銭が特定の行為の対価といえない関係にとどまっている場合には、直ちに犯罪と評価されないケースもあります。一方で、未成年が関与している場合や、金銭と行為が結びついている場合には、当事者の認識にかかわらず、法的に問題とされやすくなります。
また、当初は問題がないように見える関係であっても、トラブルや第三者の介入をきっかけに、後から刑事問題に発展することもあります。「大丈夫だと思っていた」という認識が、そのまま通用するとは限らない点には注意が必要です。このように、パパ活が犯罪になるかどうかは、呼び方やイメージで決まるものではなく、具体的な行為の中身によって判断されます。 少しでも不安がある場合には、早い段階で状況を整理し、適切な対応を検討することが重要です。
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