【自転車窃盗事件の示談を知りたい人のために】示談の方法や内容,示談金相場など示談の知識はこれで網羅

このページでは,自転車窃盗事件の示談についてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。
示談の方法,内容に加え,当事務所で弁護活動を行う場合の費用も紹介していますので,示談を弁護士に依頼するときの参考にしてみてください。

【このページで分かること】

自転車窃盗事件における示談のメリット
自転車窃盗事件でを試みる時期
自転車窃盗事件で示談をする方法
自転車窃盗事件の示談金相場
自転車窃盗事件の示談内容・条項
自転車窃盗事件における示談の特徴
自転車窃盗事件の示談に必要な費用

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自転車窃盗事件における示談のメリット

自転車窃盗事件は,弁護士に依頼するメリットが非常に大きい事件類型の一つと言えます。具体的なメリットとしては,以下の各点が挙げられます。

①前科が防げる

自転車窃盗事件は,方法や内容によって以下のような刑罰の対象になることが考えられます。

一般的な自転車窃盗窃盗罪 10年以下の懲役又は50万円以下の罰金
放置自転車占有離脱物横領罪 1年以下の懲役又は10万円以下の罰金
ゴミの場合自治体によっては窃盗罪や条例違反になる可能性あり

特に,放置されている自転車であることが明らかな場合には,出来心で乗り捨てをしてしまってもそれほど大きな問題がないように感じることがあるかもしれません。しかし,仮に放置自転車であっても占有離脱物横領罪に該当する犯罪行為になってしまいます。
また,自分は放置自転車だと思っていても,実際には放置自転車でなく人が管理している自転車であった,という場合,より重い窃盗罪に該当することが見込まれます。窃盗罪に該当するような自転車窃盗であれば,刑罰を受けて前科が付く可能性はより高くになるでしょう。

この点,刑罰が科されるかどうかを決める重要な判断要素の一つに,被害者の処罰感情が挙げられます。被害者のいる事件類型では,被害者が加害者の刑罰を望んでいるかどうかがとても大きな基準になるのです。
捜査が始まるときには,被害者が刑罰を望んでいることがほとんどです。捜査のきっかけは被害者の被害申告であることが一般的ですが,被害者は加害者への刑罰を望むからこそ被害を警察などに相談しているはずだからです。

そのため,自転車窃盗事件で刑罰を避けるためには,示談を行って「事後的に被害者が処罰を望まなくなった」という状態を作ることが極めて重要になります。逆に,被害者が処罰を望まなくなった場合,刑罰が科される可能性は非常に低くなり,ほとんどの場合では前科を防ぐことができるでしょう。

ポイント
自転車窃盗は窃盗罪や占有離脱物横領罪の対象
前科を防ぐためには被害者が刑罰を望まないことが重要
被害者が刑罰を望まないことを示す手段は示談

②逮捕を防げる

自転車窃盗は,決して逮捕されやすい事件類型ではありませんが,ケースによっては逮捕される場合も十分にあり得ます。一例としては,現行犯で見つかって逃走していた場合や,多くの余罪で事前にマークされていた場合,計画性があり悪質と考えられる場合などが挙げられるでしょう。

この点,自転車窃盗事件で逮捕をする大きな理由は,被害者を保護することにあります。加害者が被害者を特定した場合に,自分に不利益なことを言わせない目的や物証の隠滅を図る目的で被害者に接触する可能性があるため,接触を未然に防ぐ手段として逮捕する,というわけです。

しかし,示談の成立した自転車窃盗事件では,もはや加害者が被害者に接触する必要がありません。加害者にとって最も利益の大きい示談が,既に実現されているためです。
そうすると,自転車窃盗の事件で示談が成立した場合,逮捕の必要はほぼなくなることから,逮捕されることは通常なくなるでしょう。

ポイント
逮捕には加害者の被害者への接触を避ける目的がある
示談済みであれば被害者に接触する必要はなく,そのため逮捕の必要もない

③捜査を終了させられることがある

刑事事件で捜査が開始すると,警察が取り調べや証拠収集を進め,事件を検察庁に送致し,送致を受けた検察庁で処分を受ける,という流れをたどります。

捜査の流れ

1.警察による証拠収集
2.警察から検察への送致
3.検察での処分(起訴又は不起訴)

この点,示談できれば検察での処分は不起訴になりやすいですが,逆に言えば示談してもその場で手続が終わるのでなく,検察での処分までは進むのが大原則です。
しかし,自転車窃盗で早期に示談が成立し,被害者が許す意思を明らかにした場合,事件が比較的小さなものであれば,警察が直ちに捜査を終了させて検察に送致せず終了する可能性もあります。

検察による処分までは,一般的に数か月を要するため,その間の手続負担を回避できるとなれば非常に大きなメリットになるでしょう。

ポイント
示談しても警察から検察に送致されるのが通常
軽微な事件で早期に示談できれば,例外的に送致されず終わることも

自転車窃盗事件で示談を試みる時期

自転車窃盗事件における示談は,早ければ早いほど望ましいでしょう。それは,示談のメリットは示談成立が早いことが前提となっているためです。

示談のメリットと早期示談の関係

1.前科の回避
→起訴される前に示談をすることが必要

2.逮捕の回避
→逮捕するかが判断される前の示談が必要
(逮捕されるかどうかは捜査中の早い段階で判断される)

3.早期終了の可能性
→警察が検察に送致する前の示談が必要

自転車窃盗事件の示談を検討する場合は,少しでも早く動き出すため,まずは一度弁護士に相談してみましょう。

自転車窃盗事件で示談をする方法

自転車窃盗事件で捜査を受けている場合,示談をするためには捜査機関(警察や検察)にその旨を申し入れ,捜査機関から被害者に連絡を取ってもらうことが必要です。
もっとも,捜査機関は加害者本人と被害者を引き合わせることをしません。当事者同士で連絡を取らせるのは,被害者にとって不適切である上,二次被害の原因になる可能性がある,と考えるためです。
そのため,自転車窃盗事件で示談を試みるためには,弁護士に依頼の上,弁護士を通じて動くことが必要となります。

具体的な流れは,以下の通りです。

示談交渉の流れ

示談交渉の流れ

1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する

自転車窃盗事件は,他人の財産に損害を与える事件のため,その財産を埋め合わせる金銭の支払を行うのが通常です。金銭の支払いは,示談金という形で行うことになりますが,これも直接当事者間で支払うのではなく,弁護士に金銭を預け,弁護士から被害者に支払う方法を取るのが適切でしょう。

ポイント
弁護士から捜査機関に対して示談の申し入れをしてもらう
金銭の支払も弁護士を通じて行う

自転車窃盗事件の示談金相場

自転車窃盗事件の示談金は,対象となった自転車の価格によって大きく変わりやすいところです。具体的には,自転車の時価額に迷惑料又は慰謝料としていくらか上乗せをし,示談金とすることが一般的でしょう。

個別のケースにおける示談金は,被害者と自転車との関係によっても左右されやすい傾向にあります。被害者にとって重要な自転車であるほど金額は大きくなりやすく,逆に被害者にとって価値のない自転車であれば,金額は小さくなりやすいです。

示談金額が大きくなりやすい場合

1.自転車の価値が非常に高い
2.被害者にとって重要な自転車である

示談金額が小さくなりやすい場合

1.自転車の価値が高くない
2.被害者にとって重要度の低い自転車である(放置自転車など)

一般的に,それほど重要な自転車や高価な自転車でなければ,慰謝料を含む示談金の目安は5~10万円ほどになりやすいでしょう。
また,被害品の自転車が無事被害者の手元に戻っている場合,自転車の価格をすべて支払う必要がない可能性もあり,金額はより小さくなりやすいです。

ポイント
示談金は自転車の価格に迷惑料を乗せた金額
高額とする事情がなければ5~10万円ほどが目安

自転車窃盗事件の示談内容・条項

自転車窃盗事件で示談を行う場合,以下のような内容を盛り込むことが考えられます。

【確認条項】

加害者が被害者へいくらの支払を行う必要(義務)があるかを,当事者間で確認する条項です。記載としては,「示談金として,加害者が被害者に対し,金●万円の支払義務があることを確認する」というものになります。

【給付条項】

確認条項で定めた金銭の支払いを行う方法を定める条項です。
支払方法が手渡しか振り込みか,手渡しであればいつどこで行うか,振り込みの場合はどの口座か,振込手数料は誰が負担するか(通常は加害者が負担),支払の期限はいつまでか,といった点を定めます。

【清算条項】

示談で定めた内容以外に,当事者間に債権債務関係(法律関係)がないことを確認する条項です。この条項を設けることで,加害者と被害者との法律関係は示談金の支払をもって終了することになります。
逆に,この清算条項がないと,示談した後にも被害者から請求することが法的に可能となってしまうため,忘れず設けることが重要です。

【宥恕条項】

宥恕(ゆうじょ)とは「許し」を意味します。宥恕条項は,被害者が加害者を許すことを内容とする条項です。
加害者が示談金の支払を負担して示談を目指すのは,基本的にこの宥恕条項を獲得するためです。宥恕条項があることによって,捜査機関は被害者に処罰感情がないことを把握でき,不起訴処分の根拠とすることが可能になります。

【接触禁止条項】

示談成立後,当事者間の接触を禁止する条項です。
被害者側の希望がある場合に設けられやすいものではありますが,自転車窃盗事件に関してはそれほど強く希望されることは多くありません。自転車窃盗の場合,当事者間のやり取りや接触は特にないまま事件が起きる上,被害者にとっても加害者が自分に危害を加える目的でないことが明白であるためです。

自転車窃盗事件における示談の特徴

①金額の定め方

自転車窃盗の事件では,自転車の価値をベースに示談金を定めるのが通常ですが,自転車の価値は被害者によって様々に異なります。

例えば,被害者にとって必要がなく,むしろゴミとして処分したかったような自転車である場合,自転車の価値に対する賠償はそれほど求められないケースも珍しくありません。
一方,カスタマイズを重ねた高価な自転車である場合,被害者にとっての価値は実際の価格より高く,思い入れの強さから高額の支払を要することもあり得ます。

金銭とは異なり,同じものでも人によって価値の違うことがある,という点は自転車窃盗の示談における大きな特徴です。

②被害者の特定が困難な場合

自転車窃盗の場合,被害者の特定は自転車の登録を基準に行います。しかし,自転車が譲渡などされて転々流通しており,登録の変更がなされていない場合,現実の被害者と登録上の所有者が異なるため,被害者の特定が難しい場合もあり得ます。

また,所有者から盗んだのはほかの人であり,その犯人が乗り捨てたものを自分が盗んだ,という流れになることもあります。この場合は,被害者がもともとの所有者であることは明らかなので,自分が所有者から直接盗んだわけでなくても所有者との示談が適切です。

③自転車所有者以外との示談が必要な場合

自転車窃盗事件は,私有地や建物内の駐輪場で行われると,住居侵入罪又は建造物侵入罪もあわせて成立することになります。窃盗罪と住居侵入罪(建造物侵入罪)は別々の犯罪であるため,それぞれについて示談が必要ですが,住居侵入罪(建造物侵入罪)の被害者(=敷地や建物の管理者)は自転車の所有者とは別の人物であることが通常です。

そのため,駐輪場やマンションなどで起きた自転車窃盗事件については,その敷地や建物の管理者とも別途示談が必要となる可能性に注意することが必要です。

自転車窃盗事件の示談に必要な費用

藤垣法律事務所で自転車窃盗事件の弁護活動を行う場合,必要な費用のモデルケースとしては以下の内容が挙げられます。

①活動開始時

着手金33万円
実費相当額1万円
合計34万円

34万円のお預かりにて活動の開始が可能です。

②弁護活動の成果発生時

不起訴処分33万円
示談成立22万円(※)
出張日当・実費実額
※金銭賠償で5.5万円,清算条項締結で5.5万円,宥恕の獲得で11万円

活動の成果が生じた場合に限り,55万円(実費日当を除く)の費用が発生します。

③示談金

自転車窃盗事件の場合,5~10万円ほどの示談金が目安として想定されます。

④合計額

上記①~③の合計額が必要な費用負担となります。

目安となる費用総額(10万円で示談成立+不起訴の場合)

弁護士費用:34万円+55万円=89万円
示談金:10万円

計:99万円

弁護士費用の例

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
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置き引きで被害届を出されると逮捕される?該当する犯罪や示談の必要性などを徹底解説

置き引きをしてしまい、被害者に被害届を出された場合、自分はどうなってしまうのか不安で夜も眠れないという方もいるでしょう。

置き引きは窃盗罪に該当し、状況によっては逮捕や前科がつく可能性が高いです。しかし、被害の程度や示談の有無によってその後の展開は大きく変わります。

そこで本記事では、置き引きで被害届を出されると逮捕されるのかを踏まえ、示談の必要性ややり方なども解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

置き引きをすると該当する犯罪

置き引きをすると、主に以下2つの犯罪に該当する恐れがあります。

  • 窃盗罪
  • 占有離脱物横領罪

詳しく解説します。

窃盗罪

窃盗罪は、他人の財物を不法に取得する行為に適用される刑法上の犯罪です。刑法第235条に規定されており、他人の物を故意に持ち去った場合に適用されます。

刑法第235条

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
引用:e-Gov法令検索

刑罰は10年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

具体的には、駅のベンチに置かれたバッグを持ち去る行為やレストランの席に置かれていたスマートフォンを盗む行為などが該当します。

この場合、持ち主が一時的に目を離していただけであり、所有権を放棄したわけではないため、明確に窃盗と認定されます。

防犯カメラの普及によって、犯行の様子が記録されるケースが増えており、逃げ切ることは難しいでしょう。

占有離脱物横領罪

占有離脱物横領罪は、持ち主の管理下にない物を故意に取得する行為に適用される犯罪です。

刑法第254条に規定されており、1年以下の懲役または10万円以下の罰金となっています。

刑法第254条

遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
引用:e-Gov法令検索

たとえば、道端に落ちている財布を拾ってそのまま持ち帰った場合や、公園のベンチに置き忘れられた傘を持ち去った場合は、この罪に問われる可能性が高いです。

窃盗罪との違いは、財物が「所有者の占有を離れているかどうか」にあります。

所有者が意図的に放棄したわけではないが、一時的に管理下から外れている物を持ち去った場合は占有離脱物横領罪に該当します。

置き引きで被害届を出されると逮捕される可能性がある

置き引きは被害者が警察に被害届を提出することで、正式に捜査が開始されます。警察は防犯カメラの映像や目撃情報をもとに犯人を特定し、逮捕に至るケースも少なくありません。

窃盗罪に該当する場合は逮捕される可能性が高く、証拠が揃っていれば起訴されることもあります。

特に常習的に置き引きを繰り返している場合や、高額な物品を盗んだ場合は、厳しい処罰が下されることが一般的です。

置き引きが発覚するケース

基本的に置き引きが発覚するケースは、防犯カメラからの捜査ですが、主なケースとして挙げられるのが、以下の通りです。

  • 犯人の顔や車のナンバープレートが防犯カメラで発覚する
  • 現場で怪しい動きをする様子が防犯カメラで発覚する
  • 他人の物を持ち去った姿が防犯カメラで発覚する

詳しく解説します。

犯人の顔や車のナンバープレートが防犯カメラで発覚する

近年、多くの公共施設や商業施設では防犯カメラが設置されており、置き引きの犯行が記録されるケースが増えています。

犯人の顔や車のナンバープレートが鮮明に映っていた場合、警察はすぐに捜査を開始し、犯人を特定することが可能です。

特に駅やショッピングモールでは、複数のカメラが設置されており、犯行の一部始終が記録されることが多いため、逃げることは困難です。

現場で怪しい動きをする様子が防犯カメラで発覚する

犯行前に周囲を警戒する動作や、不自然な挙動をする姿も防犯カメラに記録されることがあります。

たとえば、同じ場所を何度も行き来したり、バッグを狙うように周囲を伺う様子は、警備員や警察にとって重要な手がかりになります。

怪しい行動が事前に記録されていると、警察は犯人を特定しやすくなり、捜査がスムーズに進むでしょう。

他人の物を持ち去った姿が防犯カメラで発覚する

置き引きの決定的な証拠となるのは、実際に他人の物を持ち去る瞬間が防犯カメラに映っている場合です。

このような映像が警察に提出されると、犯行が確定し、逮捕に直結する可能性が高まります。

近年の防犯カメラは高画質化が進んでおり、夜間でも鮮明に撮影できるため、犯行の様子を隠すことは困難です。

置き引き事件で示談は必要か

置き引き事件で刑事処分の軽減を目指す場合は,示談は必要と考えるべきでしょう。置き引き事件は,示談するかどうかによって,処分が劇的に変わりやすいです。

置き引き事件は,対象となった物があまりに価値のないものでない限り,犯罪が立証できれば何らかの刑事処罰の対象となることが一般的です。一方,同じ事件で被害者と示談が成立している場合では,むしろ刑事処罰の対象とならないことが見込まれやすくなるでしょう。

ただし,示談が必要となるのは,犯罪事実を認めていてその処分の軽減を求める場合に限られます。犯罪の疑いが事実無根であると主張する(否認事件である)場合,示談はむしろ主張とはちぐはぐな行動となってしまう可能性があるため,示談の要否は慎重に検討するのが適切でしょう。

ポイント
置き引き事件では,示談は処分軽減に劇的な影響を及ぼす
否認事件では,示談が主張とちぐはぐな行動にならないよう注意すべき

置き引き事件における示談のメリット

①逮捕を防げる

置き引き事件は,決して逮捕の可能性が高い事件類型とは理解されていませんが,事件の内容や発覚の経緯などを踏まえて逮捕に至ることは十分にあり得ます。

この点,示談が成立した置き引き事件の場合,示談の後に逮捕されることは考え難いです。逮捕は,被害者への配慮や被害者保護の観点から行われることが多く見られますが,示談が成立した場合には逮捕までして被害者を保護する必要がないと理解されるためです。

早期の示談は,万一の逮捕を防ぐための最善の手段と言えるでしょう。

②前科を防げる

置き引き事件の場合,犯罪事実の存在が明らかであれば罰金刑や懲役刑といった刑罰の対象となることが見込まれます。刑罰を受けた経歴を俗に「前科」と言いますが,刑罰を受けてしまえば前科が付くことにもなります。

この点,置き引き事件で示談が成立した場合,被害者は加害者への刑罰を希望していないことが明らかになります。置き引き事件の刑罰は,被害者が刑罰を希望するかどうかを重要な判断材料として決められるため,被害者が刑罰を望まない場合には不起訴になる可能性が飛躍的に高まります。
一般的な置き引き事件の場合,示談が成立していれば,基本的に不起訴になると言っても決して過言ではないでしょう。

示談は,置き引き事件での前科を防ぐために最も大きな効果を発揮するものであり,前科を回避したい人にとってのメリットは計り知れません。

③早期釈放につながる

既に逮捕・勾留といった身柄拘束を受けている場合,示談の成立には早期釈放を促す効果があります。
置き引き事件で示談が成立すると,一般的には不起訴処分が見込まれるため,それ以上の犯罪捜査を逮捕勾留してまで行う必要はあまりありません。起訴不起訴を決定する検察官は,不起訴となることが明らかな状況となれば期限を待たずに釈放するため,示談によって不起訴処分が明らかとなれば,それだけ早期に釈放されやすくなるのです。

置き引き事件で逮捕勾留された場合は,迅速な示談を通じて早期釈放を目指すのが非常に有力でしょう。

④刑事手続の長期化を防げる

示談の成立した置き引き事件は不起訴処分が見込まれるため,処分までの刑事手続の期間が短縮する可能性が高くなります。
身柄拘束のない在宅事件の場合,基本的に捜査の期間制限がないため,数か月単位で刑事手続が続くことも数多くあります。特に,どのような刑事処分とすべきかが明確でない事件だと,補充捜査が生じるなどして長期化しやすい傾向にあります。

この点,不起訴処分が見込まれる状況であれば,比較的早期に刑事手続が終了し,対応の負担からも解放されることが可能です。置き引き事件では,示談によって不起訴が見込まれる状況になることは決して珍しくないため,示談は刑事手続の早期終結に大きな効果を発揮します。

ポイント 示談のメリット
逮捕を回避できる
前科を回避できる
早期釈放してもらえる
刑事手続の長期化を回避できる

置き引き事件で示談をする方法

置き引き事件で捜査を受けている場合,示談をするためには捜査機関(警察や検察)にその旨を申し入れ,捜査機関から被害者に連絡を取ってもらうことが必要です。
もっとも,捜査機関は加害者本人と被害者を引き合わせることをしません。当事者同士で連絡を取らせるのは,被害者にとって不適切である上,二次被害の原因になる可能性がある,と考えるためです。
そのため,置き引き事件で示談を試みるためには,弁護士に依頼の上,弁護士を通じて動くことが必要となります。

具体的な流れは,以下の通りです。

示談交渉の流れ

示談交渉の流れ

1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する

示談交渉は弁護士が窓口になって行うため,被害者へ謝罪の気持ちを伝える手段は別途検討する必要があります。具体的には,謝罪文を作成するなどして文書を弁護士に託し,文面を通じて謝意を伝えることが有力です。

示談の成否は,謝罪の気持ちが伝わるかどうかによることも非常に多いため,謝罪を試みる方法については弁護士との十分なご相談をお勧めします。

ポイント
示談の申し入れは,弁護士から捜査機関へ行う
謝罪文を弁護士に託すなどして謝罪の意思を伝える

置き引き事件の示談金相場

置き引き事件の示談金は,置き引きされた被害品の内容によって変わるのが一般的です。具体的には,被害品の価格にいくらかの慰謝料を上乗せして示談金とすることが多いでしょう。

置き引きの代表例は財布ですが,財布の置き引きに関して想定される示談金の考慮要素としては,以下のような点が考えられます。

財布の置き引きにおける示談金の考慮要素

1.被害品の内容
→財布内の現金
→財布内のカード類の価値

2.慰謝料関係
→財布への思い入れ
→財布を失った不安や苦痛
→警察などに相談を強いられた負担
→クレジットカードを止める手続の負担

3.事後的な事情
→財布や中身が被害者の手元に戻ったか
→被害者が何らかの補填を受けているか

以上の各事情を踏まえて金額を協議することになりますが,それほど高価な財布でなく,多額の財産が入っていたわけではなければ,慰謝料を上乗せした示談金としては10万円前後が目安の一つになるでしょう。

ポイント
示談金は,被害品の価格に慰謝料を上乗せした金額
特に高額になる事情がなければ10万円前後が目安

置き引き事件の示談内容・条項

置き引き事件で示談を行う場合,以下のような内容を盛り込むことが考えられます。

【確認条項】

加害者が被害者へいくらの支払を行う必要(義務)があるかを,当事者間で確認する条項です。いわゆる示談金の金額を定める条項を指します。

【給付条項】

確認した金額の支払をどのように行うか定める条項です。手渡しであればいつどのように行うか,振り込みであれば振込先や期限はどうするか,という点を定めます。
一般的に,対面で示談を取り交わした場合は手渡しで,対面以外の方法で示談を取り交わす場合は振り込みで,それぞれ給付することになるでしょう。

【清算条項】

示談で定めた内容以外に,当事者間に債権債務関係(法律関係)がないことを確認する条項です。
示談は,示談金の支払によってそれ以上の支払が必要なくなる点が大きな長所ですが,この長所が生じるのは清算条項を定めているからです。万一清算条項が定められていないと,法的にはさらに金銭を請求することも可能になってしまいます。

【宥恕条項】

宥恕(ゆうじょ)条項は,被害者が加害者を許すことを内容とする条項です。
加害者が示談金の支払を負担して示談を目指すのは,基本的にこの宥恕条項を獲得するためです。宥恕条項があることによって,捜査機関は被害者が処罰を望んでいないと理解でき,不起訴処分の根拠とすることが可能になります。

【口外禁止】

事件の内容や示談の内容を,第三者に口外しないと約束する条項です。両当事者のプライバシーを守るために設けることが考えられます。当事者のいずれかが希望する場合に設けるものですが,加害者にとっては設けて損のないものであるため,弁護士が示談を行うときには盛り込むことが通常です。

【置き引き事件における示談内容の特徴】

置き引き事件の場合,性犯罪などと異なり,当事者間の接触を防ぐ目的の条項を数多く設けることはあまりありません。そもそも,置き引きという事件の性質上,当事者が直接接触していないため,「今後接触されるかも」という懸念を抱くこと自体が多くはないでしょう。

もちろん,被害者が加害者との接触を希望することは考えにくいため,「今後接触しない」という約束を条項にすることは非常に多いですが,それに加えて接触しないことを確実にするための条項(一定の場所に近づかない等)を設けるケースは少数です。

置き引き事件の示談で注意すべきこと

①経済的損害より心身の苦痛が大きくなりやすい

置き引き事件は,経済的な損害自体はそれほど大きくない場合が少なくありません。しかしながら,事件に遭ったことやその後の対応に伴う心身の苦痛は決して小さなものなく,むしろ被害者の損害のメインになっている場合もあります
被害者に生じる心身の苦痛としては,以下のようなものが挙げられます。

置き引き事件の被害者に生じる精神的苦痛

1.警察への通報や警察対応の負担
2.被害品がないことによる不便(鍵,カード等)
3.示談交渉を求められる負担

置き引き事件の示談を試みる場合には,被害者の負担が被害品の価値以上に大きい場合があることを踏まえておくべきでしょう。

②経済的価値だけで金額を決められない場合がある

置き引き事件の示談金は,被害品の価格を基準に決めることが通常ですが,物によっては経済的な価値だけで示談金を定めることができない場合もあります。

例えば,金額は小さいものの支払時期が迫っている場合の現金,大切な人(特に子ども)からの特別なプレゼント,スペアのない鍵など,金銭換算すればそれほど高額でなくても,被害者にとっては価値の高い場合が多い,という点は置き引き示談の大きな特徴です。

ポイント 置き引き示談の注意点
不便や負担の方が被害者の損害のメインである場合も
金銭的価値以上に被害者にとって価値のある物品も

置き引き事件の示談に必要な費用

藤垣法律事務所で置き引き事件の弁護活動を行う場合,必要な費用のモデルケースとしては以下の内容が挙げられます。

①活動開始時

着手金33万円
実費相当額1万円
合計34万円

34万円のお預かりにて活動の開始が可能です。

②弁護活動の成果発生時

不起訴処分33万円
示談成立22万円(※)
出張日当・実費実額
※金銭賠償で5.5万円,清算条項締結で5.5万円,宥恕の獲得で11万円

活動の成果が生じた場合に限り,55万円(実費日当を除く)の費用が発生します。

③示談金

置き引き事件の場合,10万円前後の示談金が目安として想定されます。

④合計額

上記①~③の合計額が必要な費用負担となります。

目安となる費用総額(10万円で示談成立+不起訴の場合)

弁護士費用:34万円+55万円=89万円
示談金:10万円

計:99万円

弁護士費用の例

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

【万引き事件の示談を知りたい人のために】方法や示談金相場,示談のメリットなどを徹底解説

このページでは,万引き事件の示談についてお悩みの方へ,弁護士が徹底解説します。
示談の方法,内容に加え,当事務所で弁護活動を行う場合の費用も紹介していますので,示談を弁護士に依頼するときの参考にしてみてください。

【このページで分かること】

万引き事件で示談はできるか
万引き事件における示談とは
万引き事件で示談をする方法
万引き事件の示談金相場
万引き事件の示談内容・条項
万引き事件の示談で注意すべきこと
万引き事件の示談に必要な費用

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<営業時間内即日対応>

営業時間外もお受付可能
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万引き事件で示談はできるか

刑事事件における示談は,加害者が被害者に金銭賠償を行い,これに対して被害者が加害者を許す,という合意を指すのが一般的です。被害者のいる事件類型では,被害者が許しているかどうかが刑事処分の結果を大きく左右するため,示談によって被害者の許しを得ることが有力な手段となります。

この点,万引き事件は窃盗罪に該当し,お店は窃盗罪の被害者に当たる立場です。そのため,万引き事件でも示談によって被害者の許しを得ることができれば,刑事処分を大きく軽減させることになるでしょう。

しかし,万引き事件は相手が個人でなく店や会社であるため,特有の問題があります。それは,被害者である店や会社は,許すという対応を基本的にしない,ということです。
万引き被害は,店側にとって件数が非常に多いため,一律の対応方針を決めていることがほとんどです。具体的には,以下のような対応方針であることが多く見られます。

万引き被害に対する店側の一般的な方針

1.支払は対象商品の金額のみ受ける(買取を求める)

2.許すことはしない

3.今後の店への出入りを禁止する

そのため,刑事事件の示談で加害者側にとって最も重要な許しの獲得は,万引き事件だと困難なことが非常に多いです。特に,複数の店舗がある大規模なお店であるほど,一律で許しには応じないという対応がなされる傾向にあります

もちろん,一定の金銭を支払って謝罪や賠償を尽くすことは,刑事処分に一定の影響を及ぼすため,重要であることに変わりはありませんが,万引き事件では許しを内容とする示談になりづらい,という点を踏まえておくことが望ましいでしょう。

ポイント
刑事事件の一般的な示談は,被害者から許しを獲得するもの
万引き事件の場合,被害者である店は一律で許しを拒否するのが一般的

万引き事件における示談とは

万引き事件では,許しを内容とする示談は非常に困難であるため,許しが得られないことを想定して示談を試みることが適切です。具体的には,被害者の希望に沿って損害を回復させたことが,万引き事件における示談の主な内容となります。

そもそも,刑事事件における「示談」という言葉は「合意」という程度の意味合いしかなく,具体的にどのような合意をするかは様々です。許しを内容とする示談もあれば,許しを内容としない示談もあります。そして,万引き事件の示談でまず目指すべきなのは,損害を回復したという結果です。

万引き事件などの窃盗罪は,「財産犯」と呼ばれるカテゴリーの犯罪です。財産犯とは,被害者の財産に損害を及ぼしたという犯罪類型をいいます。この財産犯の刑事処分を判断するときの重要な要素としては,財産への損害がどれだけ回復されたか,という点が挙げられます。
たとえば,1万円の窃盗事件を起こしたものの,あとからその1万円を返したならば,最終的な損害はプラスマイナスゼロとなります。そうすると,刑事処分を判断するときには既に損害が残っていないため,重大な処罰を科す必要は低い,という判断がされやすいのです。
そのため,財産犯である窃盗罪の示談では,お店に生じさせてしまった財産的な損害を回復させることを目指すのが得策です

この点,万引き事件による財産的な損害は,商品以外にも複数考えられます。具体的には,対応に要した人件費,防犯対策を強いられたコストなどが挙げられるでしょう。
もっとも,現実の支払額は,店側から支払を求められた金額とすべきで,それ以上の支払を無理に行おうとするのはかえって不利益になりやすいところです。店側としては,求めた以上の支払を受けても,誰がいくら受け取ればいいかという判断が必要になってしまい,むしろ負担になってしまうためです。

万引き事件における示談は,店側から支払いを求められた金額を確かに支払うことを目指す,という方針で検討するようにしましょう。

ポイント
財産への損害がどれだけ回復されたかが,刑事処分に影響する
万引きの示談では,店から求められた支払いを行うことを目指すべき

万引き事件で示談をする方法

万引き事件の場合,被害店舗の場所や連絡先が分かるため,直接連絡を試みることも不可能ではありません。しかし,捜査を受けている状況であれば,捜査機関を介さずに直接店側との連絡を試みることは控えるのが適切です。
確かに,直接連絡が取れれば円滑ではあります。しかし,店側が加害者からの直接の連絡を希望している可能性はほとんどないため,直接の連絡はお店への迷惑行為と評価される恐れが非常に大きいでしょう。

示談を試みる場合は,弁護士に依頼し,弁護士から捜査機関に連絡を入れてもらうようにしましょう。
弁護士から連絡を受けた捜査機関は,被害店舗に問い合わせ,話を受けるかどうか,受ける際の担当者や連絡先はどうするか,といった点を確認します。このようにして,捜査機関から店舗に連絡を取ってもらえば,示談の試みが店側への迷惑になる危険は避けることができます。

この点,弁護士が示談を試みる場合の基本的な流れは,以下の通りです。

示談交渉の流れ

示談交渉の流れ

1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する

このようにして,弁護士が加害者(被疑者)の謝罪の意思を代弁する形を取ることで,適切な示談の申し入れが可能になります。せっかくの示談の試みが不利益につながらないよう,示談は弁護士を通じて行うことを強くお勧めします。

ポイント
加害者が直接店舗に連絡を取ることは控えるべき
弁護士を通じて捜査機関に連絡し,捜査機関経由で意思確認する

万引き事件の示談金相場

万引き事件の場合,被害店舗が支払いを求める金銭は,万引きの対象となった商品の金額となることが非常に多く見られます。これは,店舗としては商品の買取を求めることで金銭的なやり取りを終了する,という意味合いになります。

刑事事件の一般的な示談では,損害額の実額のみでなく,謝罪の気持ちを上乗せする形で示談金額を定め,支払うことが多く見られます。しかし,万引き事件の場合は相手が店や会社という組織であるため,謝罪の気持ちを込めて金額を上乗せする,といった交渉を行うことはあまりありません。
ただし,同じ店で複数回の万引き行為があり,すべての金額が特定できない場合,損害額を概算して支払う旨の合意をすることはあり得ます。いずれにしても,基本的な示談金額は商品の価格となりやすいということですね。

ポイント
示談金額は対象となった商品の価格になりやすい

万引き事件の示談内容・条項

刑事事件で示談を取り交わす場合,示談書を作成し,その中に様々な条項を盛り込むことが一般的です。しかし,万引き事件の場合では,基本的に被害者が加害者を許す,という合意にはならないため,示談書の作成・締結自体を行わないことも珍しくありません。

万引き事件の示談における具体的な内容としては,以下のようなものが挙げられます。

①通常設ける内容

【確認条項】
支払う金額はいくらか,当事者間で確認する条項です。

【給付条項】
確認した金額を具体的に支払う方法を定める条項です。

なお,商品の買取という形で示談を行う場合,この確認及び給付の内容は,店側の発行するレシート又は領収証で代用されることも少なくありません。

②万引き事件では設けづらい内容

【清算条項】
示談で定めた内容以外に,当事者間に債権債務関係(法律関係)がないことを確認する条項です。この条項を設けることで,加害者と被害者との法律関係は示談金の支払をもって終了することになります。
ただ,店側のメリットがないので,店は一律で拒否することが通常です。

【宥恕条項】
宥恕(ゆうじょ)とは「許し」を意味します。宥恕条項は,被害者が加害者を許すことを内容とする条項です。
もっとも,万引き事件では店側が一律で宥恕を拒否することがほとんどであるため,設けることはあまりありません。

③示談書を作成できなくてもいいのか

万引き事件では特に示談書を作成せず,謝罪と買取だけ行って終了することも多数あります。ただ,示談をするのに書面も作成しなくていいのか,という点は疑問が残るかもしれません。

もっとも,結論的には,書面化しなくても不利益はない,と言って差し支えないでしょう。

書面化をする目的は,紛争の蒸し返しを防ぐためです。金額の合意をしたかしていないか,その金額を支払ったか支払っていないか,といった点が,後から紛争になることを防ぐため,書面に残しておくというわけです。
この点,万引き事件でも,確かに紛争の蒸し返しは防止したいところですが,現実的に店側が紛争を蒸し返すことはありません。店側は良くも悪くも一律の対応をしていることがほとんどですが,書面化せず蒸し返しもしないことが,店側の一律対応の内容でもあるためです。

また,万引き示談の目的である支払の事実は,買取時のレシートや領収証で立証可能ですので,刑事処分に対する影響や効果に差が生じるわけでもありません。刑事処分との関係でも,書面化しなかったから不利益が生じるということはないと言ってよいでしょう。

万引き事件の示談で注意すべきこと

万引き事件の示談では,以下の点に注意すべきところです。

①宥恕の獲得に固執しない

刑事事件で示談を試みる場合,被害者から許し(宥恕)をもらって直ちに解決する,という流れを目指したいと考えることが多いと思います。万引き事件でも,宥恕がもらえるのであればそれに越したことはありませんし,絶対に宥恕が獲得できないとは限りません。

しかし,基本的に宥恕が獲得できるものではない,という現実は,あらかじめ十分に把握しておくことが適切です。宥恕が獲得できない示談は失敗なのではなく,最初から宥恕を内容としない示談を試みる動きになると理解しておくようにしましょう。

自分から謝罪を行うこと,自分から賠償を行うことは,被害店舗側の処罰感情に十分な影響を与えることが珍しくありません。宥恕という形を取っていなくても,処罰を求める意思はない,ということになる可能性はあるのです。
その意味で,宥恕のない示談でも十分に意味を持っているものですから,店側の事情を無視して宥恕ありきの示談を目指すことはむしろ控える方が得にもなります。

②弁護士を通じて行う

店側とのやり取りに際しては,場所や連絡先が分かるからと言って自分で直接連絡を取ることはしないようにしましょう。店側の負担が大きくなり,かえって逆効果になりかねません。

示談の試みに際しては,弁護士に依頼し,弁護士を通じて適切な方法で進めるのが肝要です。店側への謝意は,直接の連絡という方法でなく,適切なやり方で進めるという行動で示すべきでしょう。

万引き事件の示談に必要な費用

藤垣法律事務所で万引き事件の弁護活動を行う場合,必要な費用のモデルケースとしては以下の内容が挙げられます。

①活動開始時

着手金33万円
実費相当額1万円
合計34万円

一般的な在宅事件では,34万円のお預かりにて活動の開始が可能です。

②弁護活動の成果発生時

不起訴処分33万円
示談成立(宥恕なし)11万円(※)
出張日当・実費実額
※金銭賠償で5.5万円,清算条項締結で5.5万円

活動の成果が生じた場合に限り,44万円(実費日当を除く)の費用が発生します。

③示談金

万引き事件の場合,対象商品相当額の示談金が想定されます。

④合計額

上記①~③の合計額が必要な費用負担となります。

目安となる費用総額(5000円の支払+不起訴の場合)

弁護士費用:34万円+44万円=78万円
示談金:5000円

計:78万5000円

弁護士費用の例

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侵入窃盗事件は弁護士依頼で実刑を避けられる?不起訴になる?示談などの状況別対処法を解説

●侵入窃盗とはどういう事件なのか?

●侵入窃盗は逮捕されてしまうのか?

●侵入窃盗で早期釈放は可能か?

●侵入窃盗の刑事手続はどのくらいの期間がかかるのか?

●侵入窃盗は実刑になるか?

●侵入窃盗ではどんな弁護活動が可能か?

といった悩みはありませんか?

このページでは,侵入窃盗事件の取り扱い侵入窃盗事件で取るべき対応や弁護活動の内容などについて解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

侵入窃盗事件とは

窃盗事件には,侵入窃盗,非侵入窃盗,乗り物盗という3つの分類があります。
そのうち,住居などへの侵入を伴う窃盗事件が,侵入窃盗に該当するものです。

①侵入窃盗事件の罪名

住宅への侵入窃盗事件では,侵入行為について住居侵入罪が,窃盗行為について窃盗罪が,それぞれ成立することが一般的です。

窃盗罪(刑法235条)10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金
住居侵入罪(刑法130条)3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金

二つの犯罪が成立する場合,合計でどの程度の刑罰になるのかが問題になりますが,侵入窃盗事件では住居侵入罪と窃盗罪が手段と目的の関係にあるため,より重い方の刑(窃盗罪の刑罰)で処罰されます。
なお,複数の罪が目的と手段の関係にあることを牽連犯(けんれんはん)と言います。

参照:刑法 e-Gov法令検索

②侵入窃盗事件の類型

侵入窃盗事件としては,以下のような類型が挙げられます。

住居への侵入(住宅対象侵入窃盗)

①空き巣居住者がいないところに侵入し,窃盗する
②居空き(いあき)居住者がいるところに侵入し,窃盗する
③忍び込み居住者の就寝中に侵入し,窃盗する
.

住居以外への侵入

①出店荒らし営業時間外の店舗に侵入し,窃盗する
②事務所荒らしビルなどのオフィスに侵入し,窃盗する

侵入窃盗事件と逮捕

侵入窃盗事件は,窃盗罪が成立する事件の中でも,逮捕される可能性が非常に高い類型です。
その代表的な理由としては,以下の事情が挙げられます。

①侵害される法益(被害者の利益)が大きい
②今後の被害から被害者を守る必要性が高い
③計画的である(突発的な事件ではない)
④余罪の存在が見込まれやすい
⑤刑罰が重くなりやすいため,逃亡が懸念される

侵入窃盗が捜査される場合は,被害者側が警察などに相談しているケースが大多数です。
被害者の相談を受けた警察は,被害者の保護を最優先に対応せざるを得ないため,被害者に万一のことがないよう,被疑者を特定した際には逮捕することが必要になりやすいでしょう。

なお,逮捕の方法には,大きく分けて現行犯逮捕と通常逮捕(後日逮捕)があります。
侵入窃盗事件の場合,現行犯逮捕ができれば現行犯で逮捕する可能性が高く,現行犯逮捕ができなくても後日逮捕する可能性が高いでしょう。
現行犯でない場合,捜査をした警察には,①後日逮捕をするか②逮捕をしないで電話などで呼び出すか,という選択肢がありますが,侵入窃盗事件では,逮捕をしないで呼び出す選択をするケースは少数です。

侵入窃盗事件の身柄拘束期間

逮捕された場合,続けて勾留されるかどうかによって身柄拘束の期間が変わります。
起訴(又は不起訴)までの具体的な流れは,以下の通りです。

①逮捕居住48時間以内
②送致24時間以内
③勾留請求当日又は翌日,窃盗する
④勾留決定10日間
⑤勾留延長決定最大10日間
⑥起訴または不起訴
.

侵入窃盗事件は,勾留請求及び勾留決定の対象となる可能性が非常に高い類型です。
検察官は,逃亡や証拠隠滅,被害者への接触などを避けるために勾留請求を行うことが一般的であり,勾留請求を受けた裁判所も,検察官の請求が合理的であることを踏まえて勾留決定することになりやすいでしょう。
そのため,侵入窃盗事件の場合,逮捕の後速やかに釈放されることを目指すのは,現実的に難しいかもしれません。

また,侵入窃盗事件の身柄拘束期間についてもう一つ考慮すべきなのが,再逮捕の可能性です。
侵入窃盗事件は,余罪が明らかになった場合,その余罪についても捜査・処罰の対象とすることが見込まれますが,この余罪について再逮捕がなされると,上記①~⑥の流れがもう一度繰り返されることになります。
したがって,逮捕から勾留,起訴まで22~23日間の身体拘束が,捜査される事件の数だけ繰り返される可能性があるのです。
必ずしも,捜査する事件の全てについて逮捕勾留を繰り返すわけではないので,単純に事件の数だけ逮捕勾留が生じるわけではありませんが,余罪が多いほど身柄拘束期間は長くなるのが一般的です。

侵入窃盗事件の刑罰

侵入窃盗事件は,その重大性を踏まえて,裁判所からも相当な程度の処罰を言い渡される可能性があります。
初犯であっても,内容により実刑判決の対象となる場合は否定できません。

この点,実刑判決を防ぐためには,被害者との示談が非常に有力となります。
ほとんどの場合では,被害者と示談ができている事件であれば,実刑判決の対象とはなりづらいでしょう。
また,この場合の示談は起訴後に行うことが見込まれますが,起訴後は起訴前に比べて示談が成立しやすい傾向にあります。主な要因としては以下の点が挙げられます。

①既に起訴されており,不起訴になる可能性がない
不起訴になることは許せない,という被害者であっても,起訴された後,不起訴になる可能性が消滅した状況であれば示談に応じるとの判断になる場合があります。
特に,実刑判決になることが明らかでない場合や,実刑判決になることまでは希望していない被害者の場合には,このようなケースがあり得るでしょう。

②加害者が事件を真摯に認めていることが被害者に分かる
公判が開かれ,裁判所で加害者が事件を認める話をした場合には,その事実が被害者側にも伝わることが多いです。そのため,加害者が反省をしているか半信半疑であった被害者の場合,加害者が公判で真摯な態度を見せたことをきっかけに示談交渉のテーブルに乗っていただけることがあります。

③交渉期間を長く確保できる
起訴前の捜査段階では,示談交渉の期間は長くても20日間程度であり,現実的には20日間を確保できるケースもあまりありません。侵入窃盗事件の被害者にとって,示談を受けてよいか判断するには時間不足であることも多く見受けられます。
この点,公判は月単位の期間を要する手続のため,交渉期間も長く確保することができ,示談の締結に至りやすくなります。

侵入窃盗事件の起訴・不起訴

基本的な考え方

刑事事件では,捜査を遂げた検察によって,起訴するか不起訴とするかの判断がなされます。
起訴された場合,刑事裁判を受けて刑罰の対象となり,前科がつきますが,不起訴の場合には刑罰も前科もありません。

侵入窃盗事件の場合,基本的には起訴される可能性が非常に高いと言えるでしょう。
余罪がある場合には,余罪も含めて複数件が起訴されることも珍しくありません。
少なくとも,反省をしている,初犯である,といった事情のみで不起訴になることは考えにくいです。

侵入窃盗事件で不起訴になる場合があるとすれば,代表例は被害者との示談が成立した場合です。
侵入窃盗事件は被害者のいる事件であるため,被害者の処罰感情(加害者の処罰を求めるかどうか)が処分に直接影響します。
そのため,侵入窃盗の事実が明らかであったとしても,被害者が処罰を希望せず,被害者を許している(宥恕している)場合には,不起訴となる可能性が十分に考えられるでしょう。

もっとも,示談を通じて不起訴となることを目指す場合は,以下の点に注意が必要です。

①起訴不起訴は,事件ごと・被害者ごとの判断になる
余罪を含めて複数の被害者がいる場合,被害者のうち一人と示談ができても,不起訴になり得るのはその被害者の事件のみです。
全ての事件が不起訴にならなければ,刑罰を受けて前科が残る結果は同様になってしまいます。

②事件類型的に速やかな示談は難しい場合も多い
事件の程度が重大であるため,被害者が早期に,積極的に示談の検討をしてくれるかは非常に不明確です。示談は被害者の了承が前提となるため,被害者側の検討に時間がかかる場合にはやむを得ない場合も考えられます。

起訴不起訴のケース別見通し

①認め事件

侵入窃盗事件は,容易に不起訴となる事件類型とは言い難いものです。被害者側への侵害の程度が強く,重大性ある事件と評価されやすいため,基本的には起訴を想定することになりやすいでしょう。少なくとも,反省を深めているというのみで不起訴となることは考えにくいと言わざるを得ません。

もっとも,侵入窃盗事件で起訴をされる主な理由は,被害者に与えた損害の大きさにあるため,損害を被った被害者自身が不起訴を望むのであれば,話は大きく変わります。被害者側に適切な対応を尽くし,その結果として被害者が不起訴を望むに至ったなどの成果が挙げられれば,不起訴の可能性は十分にあると言えるでしょう。

②否認事件

否認事件での不起訴の可能性は,犯罪が立証困難と判断される可能性と直結します。犯罪事実を裏付ける証拠が十分にある,と判断される状況であれば,やはり事件の重大性を踏まえても起訴されることになりやすいでしょう。一方,起訴をしても裁判所の有罪判決が得られるような証拠に乏しい場合には,不起訴の可能性が高くなりやすいと言えます。

この点,証拠には物証(物的証拠)と人証(人の話)がありますが,物証に乏しく人証のみである,という場合には証拠が不十分であるケースが多い傾向にあります。犯罪事実の立証に必要な物証としては,以下のようなものが挙げられます。

犯罪事実の立証に必要な物証

1.犯罪を直接立証する証拠
→事件現場を撮影した映像・画像など

2.人の話が正しいことを裏付ける証拠
→被害者の話が真実でなければ説明のつかない物や記録など

犯罪事実を直接立証する物証がなく,被害者らの供述を補強する物証もない場合には,人証のみが証拠となりますが,人証しかない否認事件で起訴をするのは難しい場合も多く,不起訴の可能性が高まりやすいと言えます。

侵入窃盗事件で不起訴を目指す方法

①認め事件

犯罪事実に間違いがない認め事件の場合,不起訴が実現するかどうかは被害者側の意向にかかっています。被害者が起訴を希望すれば起訴,不起訴を希望すれば不起訴になる,と言っても過言ではないでしょう。

そのため,認め事件で不起訴を目指すためには,被害者に不起訴を希望してもらうことが必要ですが,その具体的な方法は示談となるのが通常です。被害者との間で示談が成立し,示談の内容として被害者が不起訴を希望する内容を盛り込むことができれば,被害者の意向を酌んで不起訴処分とされることが見込まれやすいでしょう。

侵入窃盗事件で捜査をされている状況の場合,被害者が捜査や処罰を望んでいることが見込まれるため,示談の試みをしない限り,被害者は起訴を希望していると考えるのが適切です。そのため,示談の試みをしなければ起訴され,起訴前に示談が成立すれば不起訴の可能性が高まる,という整理が可能でしょう。

ポイント
起訴不起訴は被害者の意向にかかっている
示談により被害者の不起訴希望を獲得できれば,不起訴が見込まれる

②否認事件

否認事件の場合,犯罪の立証ができないことを理由とした不起訴処分を目指すことが適切です。この点,被疑者の犯罪が立証できない場合の不起訴処分には,大きく分けて「嫌疑なし」と「嫌疑不十分」の二種類があります。

否認事件の不起訴理由

1.嫌疑なし
→真犯人が判明したなど,犯罪の疑いがなくなった場合

2.嫌疑不十分
→被疑者の犯罪を立証するに足りる証拠がない場合

否認事件で不起訴処分となるのは,ほとんどが「嫌疑不十分」のケースです。侵入窃盗事件の場合であれば,事件が起きたとされる日時に被疑者が侵入したことの根拠が不十分である,といった場合が代表例になるでしょう。

そのため,否認事件で不起訴処分を目指す場合には,否認の旨を一貫して主張し,嫌疑不十分であるとの判断を促すことが適切となります。

ポイント
否認事件の不起訴処分は,ほとんどが嫌疑不十分

侵入窃盗事件で不起訴を目指す場合の注意点

①示談が困難である可能性

認め事件の不起訴は示談の成否にかかっているため,不起訴を目指すにあたって示談は非常に重要なものです。しかしながら,示談は被害者と加害者との間の契約であるため,被害者の合意がなければ成立しません。

この点,侵入窃盗事件では,被害者側の感情面として示談を希望したくない,という意向を示されることが少なくありません。被害者側の精神的苦痛が大きい状況のため,示談によって加害者が処罰されないのは了承できない,そもそも事件を思い出すようなことをしたくない,といった理由で門前払いにされる可能性は十分に考えられます。

そして,被害者側に門前払いをされてしまうと,現実的に示談を成立させる手段はなくなり,示談を通じた不起訴処分の獲得は困難とならざるを得ません。この点は,弁護士にも如何ともし難い部分であるため,あり得る可能性としてあらかじめ注意しておくことが望ましいでしょう。

②示談の経済的負担が大きい可能性

侵入窃盗事件において,示談による不起訴処分を目指す場合には,示談に必要な経済的負担が大きくなる可能性に注意しておくことが望ましいです。
示談の際には,加害者から被害者に対して示談金という名目で金銭の支払を行うのが通常ですが,その金額は当事者間の合意で決まります。そのため,示談金は被害者の了承する金額であることが必要ですが,侵入窃盗事件の場合には被害者の了承する金額水準が大きくなることも珍しくありません。
その具体的な理由としては,以下のような点が挙げられます。

侵入窃盗事件の示談金が大きくなる場合の理由

1.精神的苦痛が大きい
住居などに侵入され金品を窃取されたことの精神的苦痛が大きく,低額の金銭では納得が得られにくい

2.被害者の転居
自宅への侵入であった場合,被害者が転居を希望する可能性が高く,転居費用を含めた示談金の協議になりやすい

3.複数回の被害
同一の場所へ複数回に渡って侵入窃盗が行われている場合,件数に応じて示談金額が大きくなりやすい

③余罪の影響

侵入窃盗事件は,類型的に余罪のあることが多く見られますが,余罪がある場合には,1件のみ不起訴となっても他の事件で起訴される可能性が残ることに注意が必要です。

起訴不起訴の判断は,事件ごとに行われるため,1件で不起訴になったからと言って他の事件も不起訴になるとは限りません。同じ被害者に対する複数の余罪がある,という場合であれば,被害者に対する1回の示談で全ての事件が不起訴になることも見込まれますが,被害者の異なる余罪があるケースや,否認事件のケースなどは,余罪について別途不起訴を目指す動きが必要になりやすいでしょう。

④共犯事件の場合

侵入窃盗事件は,一人で行われる場合のほか,複数人で行われる共犯事件である場合も見られます。この点,共犯事件の場合には,単独の事件にはない特徴として,以下のような点に注意することが望ましいでしょう。

共犯事件の注意点

1.悪質性が高いと評価されやすい
→共犯事件は,計画的である場合が多く,悪質と評価されやすい傾向にあります。

2.共犯者の供述に影響される
→誰が主犯であったか,誰が何をしたかについて足の引っ張り合いが生じ得ます。

3.加害者全員が被害全額の賠償義務を負う
→被害者に対しては,共犯者全員がそれぞれ全額の賠償義務を負います。

侵入窃盗事件の示談

侵入窃盗事件で示談は必要か

侵入窃盗事件の場合,身に覚えのない事件であるケースを除いて示談は必要と考えるべきでしょう。

前提として,侵入窃盗事件には以下の類型があります。

住居への侵入(住宅対象侵入窃盗)

①空き巣居住者がいないところに侵入し,窃盗する
②居空き(いあき)居住者がいるところに侵入し,窃盗する
③忍び込み居住者の就寝中に侵入し,窃盗する
.

住居以外への侵入

①出店荒らし営業時間外の店舗に侵入し,窃盗する
②事務所荒らしビルなどのオフィスに侵入し,窃盗する

これらの侵入窃盗行為は,被害者に生じる損害が大きく,被害者を保護する必要が非常に大きいため,加害者側の取り扱いも重いものになりやすいです。捜査の対象になれば逮捕勾留が見込まれやすく,犯罪が立証されれば起訴されやすく,事件の程度によっては初犯で実刑判決を受け,刑務所に入ることを強いられる場合もあり得るところです。

このように,侵入窃盗事件の場合には捜査や処罰の対象になった場合の不利益が非常に大きいため,その不利益を軽減させる試みがとても重要になります。そして,加害者側の不利益を最も大きく軽減させるものが,示談です

示談が成立するかしないかによって,刑事手続における取り扱いが決定的に変わることも決して珍しくはありません。侵入窃盗事件で処分の軽減を目指す場合は,まず示談を検討することが適切でしょう。

ポイント
侵入窃盗事件は,逮捕や起訴などの面で重い取り扱いになりやすい
示談ができれば取り扱いが決定的に軽減することも珍しくない

侵入窃盗事件における示談のメリット

①逮捕の回避

侵入窃盗事件は,被疑者(加害者)を逮捕した上で捜査を行うことが非常に多い類型です。捜査機関が犯罪捜査を行う場合には,被疑者を逮捕して行う身柄事件と逮捕せずに行う在宅事件がありますが,重大事件であり逮捕の必要性が高い場合には,身柄事件として扱われる傾向にあります。侵入窃盗事件は,類型的に逮捕の必要性が高いと理解されているわけです。

この点,逮捕前に被害者との示談を成立させることができれば,その後逮捕される可能性は非常に小さくなります。なぜなら,被疑者の逮捕は被害者保護を大きな目的の一つとして行うところ,示談成立後であれば被害者保護の必要はほとんどなくなるためです。
逮捕前に示談を成立させることは容易ではありませんが,逮捕前の示談は極めて利益が大きいため,可能性がある場合には最優先で試みるのが適切でしょう。

②早期釈放

逮捕勾留をされた侵入窃盗事件の場合,示談によって早期釈放を図ることのできるケースが少なくありません。
逮捕前に示談ができれば,その後に逮捕をする必要がほとんどなくなる,という点を紹介しましたが,これは逮捕後であっても大きな違いはありません。つまり,逮捕後に示談が成立した場合,その後に逮捕勾留といった身柄拘束を続ける必要はほとんどなくなる場合が非常に多く見られます。

そのため,侵入窃盗事件で身柄拘束を受けている場合には,少しでも早い示談の成立を目指すことで,少しでも身柄拘束の期間を縮め,早期釈放を実現させるのが理想的です。認め事件の場合には,速やかに示談の試みを進めるようにしましょう。

③不起訴の獲得

侵入窃盗事件は,被害者の自宅など,部外者が入ってはならない場所への侵入を伴うために,窃盗事件の中でも悪質な事件類型とされやすいです。そのため,侵入窃盗事件で犯罪の立証に必要な証拠が揃えば,基本的には起訴されるものと考える必要があります。
そして,起訴された場合は,無罪判決を獲得しない限りは刑罰を受けることになり,前科が付くことも避けられません。

この点,起訴前に被害者と示談ができた場合には,同一の事件であっても不起訴処分となる可能性が非常に高くなります。それは,ほかならぬ被害者が不起訴を希望することになるためです。

起訴前に示談を行う場合,加害者側が求める最大の条件が,被害者に不起訴を希望してもらうこととなります。侵入窃盗事件のように被害者の存在する事件類型では,その被害者が起訴を望むか不起訴を望むかによって,処分が非常に大きく変わってきます。侵入窃盗事件でも,被害者が不起訴を望むのであればその通りに不起訴とするのが一般的と言えます。
そして,被害者に不起訴を希望してもらうための唯一の方法が,示談です。示談の内容として被害者が不起訴を希望する旨を盛り込み,捜査機関に提出できれば,不起訴の獲得が極めて現実的になるでしょう。

④実刑判決の回避

侵入窃盗事件は,その重大性から初犯であっても実刑判決の対象となる可能性があります。刑事裁判の判決には,大きく分けて執行猶予判決と実刑判決がありますが,執行猶予判決は刑務所に入る必要がない一方,実刑判決は直ちに刑務所に入ることを強制されてしまいます。

判決の種類

執行猶予判決刑務所に入る必要がない
実刑判決直ちに刑務所に入る必要がある

したがって,実刑判決になることは非常に大きな不利益であり,何としてでも避ける必要があると言えます。

この点,示談が成立している侵入窃盗事件の場合,一般的には実刑判決の対象となる可能性が非常に低くなります。特に実刑判決とするべき事情がなければ,示談成立後に実刑判決となることは考え難いと言ってもよいでしょう。
侵入窃盗事件で示談を行う場合,損害を補填するための金銭の支払を行った上で,少なくとも当事者間では一定の解決をすることを内容とするため,当事者間で解決した事件について,重ねて実刑判決という重い刑罰を科す必要はあまりないと考えられるのです。

侵入窃盗事件で起訴が避けられない場合にも,実刑判決の回避を目指すために示談を試みることを強くお勧めいたします。

⑤民事事件の同時解決

侵入窃盗事件では,被害者に重大な精神的苦痛が生じるとともに,盗まれた財産の分だけ被害者に経済的な損害も生じます。そのため,被害者は,これらの損害を加害者に金銭で賠償するよう求める権利を持つことになります。
当事者間の権利義務に関する問題を「民事事件」と言いますが,侵入窃盗事件は被害者と加害者の間における民事事件の側面も持つというわけです。仮に示談をしなかった場合,刑罰を受けてもそれで全て終わりではなく,今度は被害者から民事事件として金銭賠償を求められる可能性も十分に考えられます。

この点,示談が成立する場合,示談の中で民事事件の解決も行うことが通常です。具体的には「示談で定めるほかには互いに権利義務がない」ということを合意することになります。
このような合意をすれば,示談の内容以外には請求することもされることもないため,民事事件についても同時に解決でき,当事者間の関係を適切な形で終えることが可能になります。

侵入窃盗事件で示談をする方法

侵入窃盗事件で示談を試みる場合,基本的には捜査を受けている状態であるため,捜査を担当する警察や検察を通じて行うことが適切です。もっとも,警察や検察は,当事者間での直接のやり取りを許すわけにはいかないため,自ら行うのではなく,弁護士に依頼し弁護士を通じて行うことが必要です。

弁護士に依頼をした場合,弁護士が警察や検察に示談の希望を伝え,捜査担当者から被害者に連絡を入れてもらうことが一般的です。その後,被害者側から示談交渉が可能であるとの返答が得られれば,弁護士限りで被害者の連絡先が伝えられ,弁護士と被害者との連絡が始まることになります。

示談交渉の流れ

示談交渉の流れ

1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する

侵入窃盗事件では,被害者が加害者側との直接のやり取りを希望している可能性がほとんどないため,どれだけ示談を希望する気持ちが強くても直接話をしようとすることは控えましょう。謝罪の意思を伝えるつもりであったとしても,その気持ちが正しく理解してもらえず,かえって逆効果になる可能性が非常に高く見込まれます。
正しいステップを踏むことで,謝罪や支払の意思を適切に伝えることが重要です。

ポイント
示談交渉は,弁護士が捜査機関に申し入れる方法で行う
被害者側への直接の交渉は控える

侵入窃盗事件の示談金相場

侵入窃盗事件の示談金は,ケースによって非常に大きな開きがあります。ただ,基本的な考え方としては,「侵入行為の精神的苦痛に対する支払」と「窃盗行為による財産的損害への支払」を合計したものということができるでしょう。

侵入窃盗事件の示談金

侵入行為の精神的苦痛に対する支払」

窃盗行為の財産的損害に対する支払」

この点,侵入行為の精神的苦痛を金銭換算する際の判断要素としては,以下の事情が挙げられます。

示談金の判断要素

1.侵入行為の回数
→多いほど示談金の増額要素となる

2.侵入した場所
→プライバシーの侵害が大きい場所であるほど増額要素となる

3.侵入方法
→悪質な方法であるほど増額要素となる

4.当事者間の関係
→被害者の信頼を裏切る侵入は増額要素となる

実際の示談交渉では,これらの要素を踏まえながら当事者間で協議を試みることになります。一般的には,増額要素に当たるものがない場合,侵入行為に対する支払額は20~30万円ほどが目安になりやすいところです。盗まれた財産が高額なものでなければ,30万円ほどを示談金とする例は少なくないでしょう。

ただし,増額すべき要素がある場合にはこれを大きく超える金額を要する可能性もある点には注意が必要でしょう。最も多く見られるのは,侵入行為が複数回に渡る場合です。
侵入窃盗事件は,その性質上,同じ場所に複数回侵入を繰り返すケースが少なくありません。当然ながら,頻繁に侵入されている場合の方が被害者の苦痛は大きくなり,示談に必要な金銭も多くなるのが通常です。
多数回の侵入があった事件では,概ね100~300万円といった高額の示談金とならざるを得ないことも考えられます。具体的な示談金額に関しては,個別の事情を踏まえて弁護士と十分に協議することをお勧めします。

ポイント
単純な事件であれば20~30万円ほどが目安か
複数回に渡る侵入行為があると金額が跳ね上がることも

侵入窃盗事件の示談内容・条項

①一般的な示談条項

【確認条項】

加害者の被害者に対する支払金額を確認する条項です。

【給付条項】

確認条項に記載した金銭の支払をどのように行うのかを定める条項です。

【清算条項】

示談で定めた条項以外には,当事者間に権利義務の関係がないことを定める条項です。清算条項があることによって,民事事件との同時解決が可能になります。

【宥恕条項】

宥恕(ゆうじょ)条項とは,被害者が加害者を許す,という意味の条項です。
示談が刑事処分に有利な影響を及ぼすのは,基本的にこの宥恕条項があるためです。被害者が加害者を許している,という事実が,刑事処分を劇的に軽減させる要素となります。

②侵入窃盗事件で特に定めやすい条項

【接触禁止】

加害者が被害者への接触を試みない,という内容を定める条項です。特に,加害者が被害者への性的な興味関心から事件を起こした場合に定めることが多く見られます。

【立入禁止】

加害者に対して,一定の場所への立入を禁止する条項です。侵入窃盗事件の場合,侵入場所や近辺への立入禁止を被害者が希望するケースが非常に多く見られます。この点は,被害者の求めに応じて可能な限り応じるのが適切でしょう。

侵入窃盗事件の示談で注意すべきこと

①事件が複数の場合が少なくない

侵入窃盗事件は,複数回行われているケースが少なくありません。この場合,回数を重ねるごとに行動や内容がエスカレートしていることも多く見られます。
事件が複数あることは,侵入窃盗事件の示談に大きな影響を及ぼします。具体的には,以下のような影響が挙げられるでしょう。

事件複数の場合の影響

【同一の被害者に対する複数の事件】

同じ被害者に対して複数の侵入窃盗事件がある場合,示談金がより高額にならざるを得ない可能性に注意が必要です。回数が多く,内容もエスカレートしていると,それだけ被害者の損害や苦痛は大きくなるため,被害者の損害を埋め合わせるための示談金も大きくなることが通常です。

【複数の被害者に対する事件】

事件が複数であり,かつ被害者も複数の場合,一人の被害者と示談ができても,全体が不起訴になるわけではない,という点に注意が必要です。一人の被害者が不起訴を希望したとしても,それはほかの被害者の事件には関係しないためです。

全体が不起訴となるには,処分される事件のすべてについて示談を行うことが必要になるでしょう。

②転居の問題が生じ得る

特に住宅への侵入窃盗事件の場合,被害者側が転居を希望し,転居費用を含めた示談金を請求する,ということも珍しくありません。そのため,示談を試みる場合には転居の話が生じ得る点に注意が必要でしょう。

この点は金銭の問題となるため,転居費用名目の金銭を上乗せするかどうか,という判断になりますが,基本的には被害者の希望に応じていくらかの上乗せをする方針が適切でしょう。これは,上乗せに応じないという対応では示談の成立が困難となりやすいためです。
裏を返せば,金額面の調整で示談の可能性がある,ということでもあるため,被害者側に示談交渉を拒絶される場合よりもはるかに望ましい状況と考えてもよいかもしれません。

③逮捕前の示談は容易でない

逮捕前に示談が成立すれば,侵入窃盗事件でも逮捕の可能性が非常に大きく低下しますが,現実に逮捕前の示談を行うことは容易ではありません。これは,自分に対する捜査がなされたことを知るのが逮捕のタイミングであるためです。「自分の事件が捜査されているから示談したい」では遅いのですね。

そのため,逮捕前の示談を試みる場合には,自分に対する捜査が行われているか分からない段階で自分からアクションを起こす必要があります。具体的には,警察などに自首(出頭)し,自分の犯罪行為を積極的に伝え,その上で示談を希望することを要するでしょう。

ただ,自分から出頭することは大きなリスクも付きまとう行為であるため,検討する場合には刑事事件に精通した弁護士へのご相談を強くお勧めします。

ポイント 注意点
複数事件の場合には配慮が必要
転居費用の支払が問題になり得る
逮捕前の示談は自首を要しやすい

侵入窃盗事件における弁護士依頼のポイント

侵入窃盗事件で弁護士を選ぶタイミング

①逮捕されたとき

侵入窃盗事件は,捜査に際して被疑者を逮捕することが非常に多く見られます。身柄拘束をすることで,逃亡や証拠隠滅を防ぎながら捜査を行うケースの多い事件類型と言うことができるでしょう。
そのため,侵入窃盗事件の捜査において,逮捕は出発点の一つであり,被疑者に対する本格的な捜査の開始を意味するものでもあります。

これは裏を返すと,逮捕された被疑者は,逮捕後の本格的な取調べなどの捜査に適切な対応をする必要がある,ということになります。捜査への対応をどうできるかによって,その後の取り扱いや刑事処分の結果が大きく左右することは珍しくないためです。

もっとも,個別のケースでどのような対応が適切かを判断することは,専門的な知識経験を持った弁護士以外には困難です。逮捕後の対処を誤らないため,逮捕されたときには速やかな弁護士選びが重要となるでしょう。

ポイント
侵入窃盗事件は逮捕がなされやすい
逮捕後の対応を適切にするため,弁護士への依頼をするべき

②示談を目指すとき

侵入窃盗事件の刑事処分は,被害者との間で示談が成立したか,という点が決定的な影響を及ぼすことが少なくありません。漫然と手続が進めば起訴され実刑判決が懸念されるケースでも,早期に示談が成立することで不起訴処分となり,刑罰自体を受けない結果になることすらあります。
ただ,実際に示談を試みるためには,弁護士に依頼をし,弁護士を通じて行うことが不可欠です。当事者や親族同士で直接の連絡を取らせるわけにはいかないため,弁護士が捜査機関に示談を申し入れ,被害者側の了承があれば弁護士と被害者との間で連絡先を交換する,という運用が取られています。

そのため,事件解決のために示談を目指すときには,示談の対応に適した弁護士を選ぶべきタイミングと言えるでしょう。

ポイント
侵入窃盗事件の処分は,示談の有無で決定的に変わりやすい
示談の試みには弁護士が不可欠

③起訴されたとき

侵入窃盗事件は,犯罪事実に間違いがなければ起訴が見込まれる事件類型です。この点,起訴される場合の具体的な手続には,「公判請求」と「略式請求」の二つがあります。

起訴の手続

1.公判請求
公開の裁判を行う手続。罰金にとどまるケースはあまりない

2.略式請求
公開の裁判を省略する手続。罰金刑になる

一般的に,公判請求よりも略式請求の方が軽微な処分とされています。略式請求であれば,公開の裁判を受ける必要がなく,処罰は比較的軽微な罰金刑となるためです。逆に,罰金刑にはとどまらない重大な事件では,略式請求はできず公判請求を用いることになります。

この点,侵入窃盗事件での起訴は,基本的に公判請求となることが多いでしょう。それだけ重大事件と位置付けられやすく,見込まれる処罰も小さなものではないということになります。
そのため,侵入窃盗事件で起訴された場合には,公判で適切な対応を尽くし,少しでも軽微な処分にとどめる動きが非常に重要となります。

公判請求への対応を行う際は,十分な弁護士選びをするべきでしょう。

侵入窃盗事件の弁護士を選ぶ基準

①速やかな接見が可能か

侵入窃盗事件は,逮捕勾留を伴う身柄事件であることが非常に多いです。そのため,侵入窃盗事件の対応を行う弁護士は,身柄事件に不可欠な接見を行う必要があります。
特に,逮捕後の初回の接見は,被疑者本人が誤った対応をしていれば正す必要があるほか,事件の内容を把握したり親族との連携を仲介したりするためにも非常に重要なものです。初回の接見は,どれだけでも速やかに行うことが,被疑者の利益に直結すると言えるでしょう。

もっとも,初回の接見をどれだけ迅速に行うかは,専ら個別の弁護士の判断次第です。直ちに接見の時間を確保しても,後日ゆったりと接見をしても,違法というわけではないため,基本的には弁護士の裁量の問題となります。
しかし,初回の接見が遅れることで被疑者に利益はなく,むしろ重大な不利益の原因となる恐れすらあります。刑事事件に精通した弁護士であれば,初回接見の重要性は深く理解しているはずです。

そのため,弁護士選びに際しては,初回の接見をどれだけ速やかに行えるか,初回接見のためにどれだけスケジュールを調整してくれるか,という点を重視するのが良いでしょう。

ポイント
逮捕後初回の接見は特に重要性が高い
初回接見を迅速に行ってくれるかどうかを重視する

②処分の見通しは具体的か

侵入窃盗事件は,窃盗罪に当たる事件の中でも類型的に重大犯罪と評価されやすく,相応の重大な手続や処罰を想定すべきケースも少なくありません。弁護士としては,他の窃盗事件よりも慎重に見通しを検討し,最悪の場合にも備えることが望ましいところです。

また,一口に侵入窃盗事件と言っても,その内容は様々であり,事件の具体的内容によっても処分の重さは変わることが考えられます。侵入した場所,侵入の方法や目的,盗んだ金品の内容,余罪の数など,処分に影響し得る個別の事情は多岐に渡ります。

そのため,侵入窃盗事件の弁護士選びに際しては,侵入窃盗事件の重大性を踏まえた見通しを示してくれるか,個別の内容を踏まえてその見通しをどこまで具体的にしてくれるか,という点を重視するのが有力でしょう。
もちろん,見通しには限界があり,分からないことも多くあります。しかしながら,分かる部分と分からない部分を明確に区別できていることは非常に重要であり,弁護士の適性が現れる点とも言えるでしょう。

ポイント
侵入窃盗事件は,類型的に処分見通しが重くなりやすい
侵入行為や窃盗行為の詳細によって処分見通しが変わりやすい

③弁護士の説明に納得できるか

弁護士と依頼者との関係は,信頼関係を土台にすることで初めて成り立つものです。なぜなら,弁護士による案内や弁護士が決めた方針,弁護士が実現した結果などが適切かどうかは,依頼者自身が内容を評価して判断できる性質のものではないからです。
弁護活動が法律の専門家しか行えないものである以上,依頼者としては「弁護士が正しいと言ったから正しい」という評価をせざるを得ません。

そうすると,依頼者が弁護士を選ぶ基準として,その弁護士の判断に信頼を置けるかどうか,という点が極めて重要になってきます。弁護士の判断を信頼できるからこそ,「弁護士が正しいと言ったから正しい」という考え方ができるのです。
そのため,弁護士選びの際には,弁護士の判断やその根拠となる説明に心から納得できるか,という点を基準に設けるとよいでしょう。最初の説明に対する納得は,最終的な結果に対する納得にも直接つながるほど重要なものです。

ポイント
弁護士への信頼や納得は,結果に納得できるかを大きく左右する

④弁護士と円滑に連絡が取れるか

弁護士と連絡を取る方法や連絡の頻度は,弁護士により様々です。特に,「弁護士と連絡したくても連絡が取れない」という問題は,セカンドオピニオンとして相談をお受けする場合に最も多く寄せられるお話の一つです。
電話をしても常に不通となって折り返しがない,メールへの返信も全くない,といったように,弁護士との連絡が滞るという問題は生じてしまいがちです。

そのため,弁護士とはどのような方法で連絡が取れるか,どのような頻度で連絡が取れるか,という点を重要な判断基準の一つとすることは,事件解決のために有力でしょう。

なお,法律事務所によっては,事務職員が窓口になって弁護士が直接には対応しない運用であるケースも考えられます。そのような運用が希望に合わない場合は,依頼後の連絡方法を具体的に確認することも有益でしょう。

ポイント
弁護士との連絡の停滞は数多く見られるトラブル

侵入窃盗事件で弁護士を選ぶ必要

①不起訴処分を目指すため

侵入窃盗事件は,犯罪事実が明らかである限り起訴することが通常です。犯罪事実があっても起訴されないのは,示談が成立して被害者が起訴を望まないとなった場合に限られるでしょう。

そのため,侵入窃盗事件で不起訴になるのは,示談が成立した場合か犯罪事実が立証できない場合に限定されますが,いずれの場合にも弁護士の力を借りることが不可欠になりやすいところです。
示談の場合は,弁護士を窓口にしなければそもそも示談の試みに着手することもできません。また,犯罪事実が立証できるかどうかは高度に法律的な問題であるため,法律の専門家である弁護士を通じての対応が必要になるでしょう。

侵入窃盗事件の場合,不起訴処分を目指すのであれば弁護士選びを十分に行うことが極めて重要です。

②適切な取り調べ対応のため

刑事事件の捜査では取調べが不可欠です。特に,被疑者への取調べは捜査の中核であって,被疑者からどのような話が引き出せるかによってその後の捜査が決定づけられる事件も少なくありません。

逆に,被疑者の立場にある場合,取調べにどのような対応を取るのが最も有益であるのかを把握していることは非常に重要です。自分が何を話すか,どのように話すかによって,その後の捜査や処分が決定づけられる可能性もあるため,取調べ対応の方法・内容は十分に検討する必要があるでしょう。

この点,個別の事件に応じてどのような取調べ対応をすべきかは,弁護士の法的な判断を仰ぐことが適切です。そのため,取調べ対応に万全を期すためには,弁護士選びが重要なポイントとなるでしょう。

③家族や関係者と連携を取るため

身柄事件の場合,逮捕勾留されたご本人は,自分で外部と連絡を取ることができません。電話を携帯することも認められないため,連絡を取るための手段は以下のような方法に限られます。

逮捕勾留中に外部と連絡を取る手段

1.手紙の送受
→数日~1週間ほどのタイムラグが避けられない

2.(一般)面会
→時間制限が厳しい。接見禁止の場合は面会自体ができない

3.弁護士の接見
→時間的制限なくコミュニケーションが可能

手紙の送受は現実的でなく,面会の時間制限の中で必要な連絡をすべて取ることも難しいため,ご本人と周囲との連絡には弁護士の接見を活用することが不可欠になりやすいでしょう。
身柄事件で必要な連絡を取り合うためには,弁護士への依頼が適切です。

有効な弁護活動

侵入窃盗事件における弁護活動としては,以下の内容が挙げられます。

①接見を通じた対応方針の決定

逮捕勾留される場合,ご本人とのコミュニケーションには大きな制限がありますが,捜査はコミュニケーションを待つことなく進むため,捜査への対応方針は速やかに決めなければなりません。
弁護士は,いつでも接見ができますので,接見を行って事件の内容等を確認し,状況や内容に応じた適切な対応方針を検討・判断することができます。

②釈放を求める活動

起訴後の保釈に代表されるように,釈放を求めることのできる局面があるため,可能な限り釈放を求める弁護活動を行うことが可能です。
また,個別のケースにおいてどのような釈放の可能性があるか,専門的な立場からご案内することができます。

③示談の試み

認め事件の場合は,示談の成否が結果を決めると言っても過言ではありません。
弁護士が被害者との示談交渉を実施し,示談の成立を目指す弁護活動を行うことが可能です。

④刑罰の軽減を目指す試み

示談以外にも,刑罰の軽減を目指す方法がないか検討の上,ご案内することが可能です。
一例としては,金銭的な損害が生じていれば被害弁償を行う事件の原因に何らかの精神疾患が影響していれば通院等による解消を目指す,といったものが挙げられます。

⑤周囲の方との協力・環境調整

刑事処分の判断には,再発可能性の程度が考慮されます。
そのため,再発防止がどの程度見込めるか,という点は重要な判断材料になるでしょう。
この点,ご家族など周囲の方の協力を含め,今後の生活の見通しや再発が生じない根拠を明らかにしていくことで,処分の軽減を図る弁護活動が可能です。

侵入窃盗事件における弁護士選びの準備

①早期に動き始める

逮捕勾留といった身柄拘束が生じやすい侵入窃盗事件では,手続に法律上の期間制限があり,時期を逃すと手段を講じる余地がなくなってしまうものも少なくありません。また,期間制限内であっても手続が遅れた場合には,手続をしていなかった間に被った不利益を補填する手段がありません。純粋に,遅れれば遅れるほど損をするということになります。

そのため,弁護士選びと弁護活動の開始は,どれだけでも早い方が有益であり,早期に動き始めることは非常に重要であると言うことができるでしょう。

②情報をできる限り整理する

逮捕勾留された侵入窃盗事件で,ご家族等の関係者の方が弁護士選びを行う場合,問題になりやすいのが情報不足や情報の不正確さです。事件の当事者ではない以上,情報が正しいかを判断することは難しい上に,得られる情報にも限りがあることから,事件を正しく把握した状態で弁護士選びをすることは容易ではありません。
もっとも,弁護士が適切な案内をするには,情報不足や不正確な情報は避ける必要があり,情報の整理が不可欠です。

この点,事件の情報を把握する手段に乏しい場合には,弁護士に接見を依頼し,弁護士に被疑者ご本人から話を聞いてもらうことをお勧めします。弁護士接見を行えば,弁護士自身が必要な情報を漏れなく確認し,その情報を踏まえた案内をすることが容易になるでしょう。

③弁護士選びの目的を明確にする

侵入窃盗事件は,重大事件と評価される場合も多いため,必ずしも希望する結果のすべてが実現されるとは言えません。刑事罰を避けられないことも往々にして見られ,中には実刑判決の対象となることも考えられます。

弁護士選びの局面では,このような侵入窃盗事件の特徴を踏まえ,弁護士によって実現できることとできないことを可能な限り明確に線引きできるのが望ましいです。そのためには,弁護士選びによって何を実現したいのか,という目的を明確にして,その目的が実現できる事件なのかを弁護士に判断してもらうことが有益でしょう。

事前に目的が明確であり,その目的が実現可能か,実現手段は何かがはっきりしていれば,弁護士選びはより実りのあるものになるでしょう。逆に,目的が実現困難なものである場合には,早期に目的を修正できるため,後々になって弁護士とのトラブルになることが防ぎやすくなります。

侵入窃盗事件で弁護士に依頼する場合の注意点

①早期釈放が容易でない可能性

侵入窃盗事件は,逮捕された場合,早期釈放が困難になりやすい類型の一つです。特に早期釈放が困難になりやすいケースとしては,以下のような場合が挙げられます。

侵入窃盗事件で特に早期釈放が困難なケース

1.侵入行為が複数回ある
→事件の数だけ必要な証拠も多くなり,捜査が長期化しやすい

2.被害者の住居に侵入している
→被害者への接触が容易であるため,釈放すべきでないと評価されやすい

3.侵入行為が計画的である
→悪質と評価されやすい上,計画内容に関する証拠収集に時間がかかりやすい

多くの侵入窃盗事件は,上記の各ケースのいずれかには該当するため,早期釈放が難しく,相当期間の身柄拘束を想定する必要が生じやすい傾向にあります。逮捕後の釈放が容易でないことには,あらかじめ注意しておくのが望ましいでしょう。

②余罪の対応を要する可能性

侵入窃盗事件は,類型的に余罪のあることが多く見られます。初めての侵入で発覚した場合でなければ,1回だけは終わらずその後にも複数回侵入している,という場合が少なくありません。

そのため,現在捜査されている事件のほか,複数の余罪にも対応を要する可能性があり得ることには注意が必要です。余罪がある場合,捜査も長期化しやすく,刑事責任も重大と評価されることになるため,より積極的に処分の軽減などを目指すべきとも言えるでしょう。

③土日祝日の対応を要する可能性

侵入窃盗事件では,逮捕勾留を伴いやすいことから,対応する弁護士は勾留されている場所での接見をすることが不可欠です。
この点,逮捕勾留には期間制限があるところ,その期間制限は土日祝日も含めたものになります。10日間の勾留は,土日祝日を含む10日間であり,長期休暇の期間でも例外ではありません。

そのため,弁護士選びに際しては,場合によって土日祝日の対応を要することになっても対応が滞らないかどうか,注意するのが望ましいでしょう。曜日を問わず毎日対応してもらう,というのは現実的ではありませんが,「土日祝日は一律対応不可」という場合には不都合が生じないか注意したいところです。

④経済的負担が大きくなる可能性

侵入窃盗事件では,被害者との間で示談できるかどうかが非常に重要なポイントとなります。そのため,弁護士への依頼時には示談金の負担を想定することが適切ですが,その示談金は高額となることも珍しくはありません。
窃盗の金額的な規模が大きくない場合であっても,侵入行為等によって被害者に与えたダメージが大きく,高額の示談金でないと被害者が了承しない,ということは少なくないでしょう。

また,逮捕勾留が長期化しやすい侵入窃盗事件では,その分弁護士の費用もかかりやすいところです。一般的に,必要な接見の数が多くなるほど弁護士費用は大きくなりやすいため,長期の逮捕勾留を伴う事件では弁護士費用の負担が重くなる可能性に留意したいところです。

このように,侵入窃盗事件では,示談金と弁護士費用がともに大きくなりやすい面があります。弁護士選びに際しては,全体の経済的負担が重くなってしまう可能性を踏まえておくことをお勧めします。

侵入窃盗事件に強い弁護士をお探しの方へ

住居侵入を伴う窃盗事件は,窃盗事件の中でも悪質性の高いものと理解されやすく,取り扱いや刑罰も重くなる傾向にあります。内容や程度によっては,初犯でも実刑判決の対象となることが考えられる類型です。
そのため,適切な方法で処分の軽減を目指すことが非常に重要となりますが,具体的にどのタイミングでどのような行動を取るかは,侵入窃盗事件の弁護に精通した弁護士との協議が必要です。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
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特設サイト:藤垣法律事務所

自転車窃盗の前科や示談について弁護士が解説|初犯や現行犯以外の注意点も

●放置自転車に乗るのも自転車窃盗になってしまうのか?

●自転車窃盗は刑事事件化してしまうのか?

●自転車窃盗が捜査されるケースは?

●自転車窃盗は現行犯以外も逮捕されてしまうのか?

●自転車窃盗で逮捕された場合、早期の釈放は可能か?

●初犯の自転車窃盗は前科になるか?

●自転車窃盗で示談をする方法は?

といった悩みはありませんか?

このページでは,自転車窃盗について不安をお持ちの方に向けて,自転車窃盗の逮捕や早期釈放の可能性自転車窃盗で前科を防ぐための弁護活動などを解説します。

自転車窃盗に当たる行為と刑罰

自転車窃盗は,多くの場合窃盗罪に該当します。
代表的な行為は,駐輪場に停めてある自転車を無断で持っていく,というものですね。

もっとも,いわゆる放置自転車の場合には,持ち主がその自転車を支配しているとは言えない状況であるケースもあり,そのような自転車窃盗は占有離脱物横領罪の対象になります。
また,ゴミ捨て場に置いてあるなど,誰かが占有している状態とは言えない自転車を持っていく行為は,窃盗にも占有離脱物横領にも当たらない可能性があります。
ただし,自治体によっては,条例でごみ集積場に置かれた物を自治体の帰属としていたり,処理業者以外の者によるごみの持ち去りに罰則を設けていたりする場合があり,その場合には窃盗罪や条例違反に当たる場合があるでしょう。

自転車窃盗の罪名

一般的な自転車窃盗窃盗罪 10年以下の懲役又は50万円以下の罰金
放置自転車占有離脱物横領罪 1年以下の懲役又は10万円以下の罰金
ゴミの場合自治体によっては窃盗罪や条例違反になる可能性あり

また,自転車窃盗に伴って他の犯罪が成立する場合もあります

器物損壊罪 3年以下の懲役又は30万円以下の罰金
自転車窃盗の際にカギを壊すと,カギを壊してしまった行為について別途器物損壊罪が成立します。
その他,駐輪場に設置してある機材を壊した場合にも器物損壊罪の対象となるでしょう。

住居侵入罪・建造物侵入罪 3年以下の懲役又は10万円以下の罰金
自転車窃盗のために他人の住居やその敷地に侵入した場合には,住居侵入罪や建造物侵入罪が成立します。
一般的には,戸建ての住宅やマンションの専有スペースへの侵入は住居侵入罪,マンションの共用スペースへの侵入は建造物侵入罪に当たるでしょう。

参照:刑法 | e-Gov 法令検索

自転車窃盗が刑事事件化する場合

自転車窃盗が刑事事件化するケースは,概ね以下の3通りです。

①被害者が警察に被害届を出すなどし,事後的に捜査が開始されたケース

自転車窃盗に気づいた被害者が,警察に捜査を依頼した場合です。被害者から捜査を求められた警察は,可能な限り被疑者(加害者)を特定すべく捜査を行うことになりますので,証拠が見つからない場合を除いては被疑者を特定し,刑事事件として取り扱うことになるでしょう。

②自転車の利用中に職務質問され,盗品と判明したケース

窃盗された自転車に乗車している際,警察官の職務質問を受けると,自転車の防犯登録を確認されるのが通常ですが,その際,自転車の所有者が自分でないと分かり,自転車窃盗が判明する場合があります。
その自転車について盗難届が出ているなどすれば,窃盗事件として刑事事件の対象となることが見込まれます。
このケースは,職務質問を受けるかどうかという偶然に影響されるため,この流れで刑事事件化する可能性は非常に不明確でしょう。

③窃盗行為を目撃された場合(現行犯)

駐輪場の警備員や付近の通行人など,周囲の人物に窃盗行為を目撃された場合には,その場で刑事事件化する可能性があります。
このケースでは,目撃者が窃盗行為を指摘してきたり警察に通報したりするかによって,刑事事件化するかどうかが変わりやすいでしょう。目撃者が警察に通報した場合には,刑事事件化するのが通常と思われます。

自転車窃盗の逮捕

逮捕の可能性

自転車窃盗事件では,逮捕される可能性もあります。
もっとも,全てが逮捕されるものではなく,個別の事件や状況によって変わるでしょう。

逮捕をされるケースの代表例は,現行犯逮捕です。
特に,警察官が張り込みや待ち伏せといった方法で被疑者の窃盗をマークしていた場合には,窃盗を現認した警察官によって現行犯逮捕される可能性が高くなります。

また,現行犯以外では後日の通常逮捕(後日逮捕)もありますが,後日に被疑者を特定した場合,逮捕するかどうかはいずれも考えられます。
一般的には,放置自転車など容易に利用できる自転車を勝手に利用したという単発の事件であれば,決して逮捕の可能性が高いとは言えません。

もっとも,自転車窃盗事件の中でも逮捕の可能性が高くなりやすいケースはあります。具体的には,以下のような場合が挙げられます。

自転車窃盗で可能性が高くなる場合

1.件数が多い

2.営利目的である

3.計画性・集団性がある

4.不合理な否認をしている

【1.件数が多い】

自転車窃盗事件で逮捕の可能性低くなるのは,その場の感情で行われた一回のみの犯罪行為である場合です。逆に,複数の余罪があるなど,決してその場の感情だけでは説明できない事件の場合,逮捕の可能性が高くなりやすいでしょう。

また,件数が多い場合,それだけ刑事責任も重くなるのが一般的であるため,刑事責任や最終的な処分が重くなることを踏まえた逮捕の可能性も高くなります。

【2.営利目的である】

自転車窃盗は,その場で自転車を使用する目的で行われるのが一般的です。徒歩で移動をしていたところ,より手軽な移動手段として自転車を利用したいと思った,という目的での事件がほとんどでしょう。

一方,自転車の財産的な価値に着目して,自転車を換価することで経済的な利益を得ようとする場合には,事件の性質が大きく異なります。通常,刑事事件は自己使用目的よりも営利目的で行われる場合の方が悪質と評価され,処分も重くなる傾向にあります。そのため,自転車窃盗についても,その場で乗るためでなく,利益を得るために行われた場合の方が,処分が重くなり,その処分を科す手続も逮捕を伴った厳重なものになりやすいでしょう。

【3.計画性・集団性がある】

刑事事件は,事前に計画が立てられていたり,集団で役割分担したりといったケースの方が,重大事件と評価されるのが通常です。自転車窃盗の場合,このような計画性や集団性のない場合がほとんどですが,逆に計画性や集団性が見受けられるケースでは,他の自転車窃盗事件よりも重い取り扱いの対象となるでしょう。

また,共犯者のいる事件では,共犯者間の口裏合わせを封じることが必要です。口裏合わせによる証拠隠滅を防ぐ手段としても,逮捕は活用される可能性が高くなるでしょう。

【4.不合理な否認をしている】

被疑者として犯罪事実を疑われている場合,基本的な対応は認めるか否認するかの二択です。この点,否認自体は問題のある行為ではありませんが,明らかに内容不合理な否認に終始していると,証拠隠滅の意思が強いと理解される恐れがあります。

この点,被疑者に証拠隠滅の意思が強いと思われる場合,証拠隠滅を防ぐ手段を取る必要がありますが,その具体的な手段は逮捕です。そのため、不合理な否認は逮捕の原因になりやすいのです。

逮捕の種類・方法

法律で定められた逮捕の種類としては,「通常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」が挙げられます。それぞれに具体的なルールが定められているため,そのルールに反する逮捕は違法ということになります。逮捕という強制的な手続を行うためには,それだけ適切な手順で進めなければなりません。

①現行犯逮捕

現行犯逮捕とは,犯罪が行われている最中,又は犯罪が行われた直後に,犯罪を行った者を逮捕することを言います。現行犯逮捕は,逮捕状がなくてもでき,警察などの捜査機関に限らず一般人も行うことができる,という点に特徴があります。

典型例としては,目撃者が犯人の身柄を取り押さえる場合などが挙げられます。犯罪の目撃者であっても,他人の身柄を強制的に取り押さえることは犯罪行為になりかねませんが,現行犯逮捕であるため,適法な逮捕行為となるのです。

ただし,現行犯逮捕は犯行と逮捕のタイミング,犯行と逮捕の場所それぞれに隔たりのないことが必要です。犯罪を目撃した場合でも,長時間が経った後に移動した先の場所で逮捕するのでは,現行犯逮捕とはなりません。

なお,現行犯逮捕の要件を満たさない場合でも,犯罪から間がなく,以下の要件を満たす場合には「準現行犯逮捕」が可能です。

準現行犯逮捕が可能な場合

1.犯人として追いかけられている

2.犯罪で得た物や犯罪の凶器を持っている

3.身体や衣服に犯罪の痕跡がある

4.身元を確認されて逃走しようとした

ポイント
現行犯逮捕は,犯罪直後にその場で行われる逮捕
捜査機関でなくても可能。逮捕状がなくても可能

②通常逮捕(後日逮捕)

通常逮捕は,裁判官が発付する逮捕状に基づいて行われる逮捕です。逮捕には,原則として逮捕状が必要であり,通常逮捕は逮捕の最も原則的な方法ということができます。

裁判官が逮捕状を発付するため,そして逮捕状を用いて通常逮捕するためには,以下の条件を備えていることが必要です。

通常逮捕の要件

1.罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
→犯罪の疑いが十分にあることを言います。「逮捕の理由」とも言われます。

2.逃亡の恐れ又は罪証隠滅の恐れ
→逮捕しなければ逃亡や証拠隠滅が懸念される場合を指します。「逮捕の必要性」ともいわれます。

通常逮捕の要件がある場合,検察官や警察官の請求に応じて裁判官が逮捕状を発付します。裁判官は,逮捕の理由がある場合,明らかに逮捕の必要がないのでない限りは逮捕状を発付しなければならないとされています。

ポイント
通常逮捕は,逮捕状に基づいて行う原則的な逮捕
逮捕の理由と逮捕の必要性が必要

③緊急逮捕

緊急逮捕は,犯罪の疑いが十分にあるものの,逮捕状を待っていられないほど急速を要する場合に,逮捕状がないまま行う逮捕手続を言います。

緊急逮捕は,逮捕状なく行うことのできる例外的な逮捕のため,可能な場合のルールがより厳格に定められています。具体的には以下の通りです。

緊急逮捕の要件

1.死刑・無期・長期3年以上の罪
2.犯罪を疑う充分な理由がある
3.急速を要するため逮捕状を請求できない
4.逮捕後直ちに逮捕状の請求を行う

緊急逮捕と現行犯逮捕は,いずれも無令状で行うことができますが,緊急逮捕は逮捕後に逮捕状を請求しなければなりません。また,現行犯逮捕は一般人にもできますが,緊急逮捕は警察や検察(捜査機関)にしか認められていません。

緊急逮捕と現行犯逮捕の違い

現行犯逮捕緊急逮捕
逮捕状不要逮捕後に請求が必要
一般人の逮捕可能不可能

逮捕後の流れ

逮捕されると,警察署での取り調べが行われた後,翌日又は翌々日に検察庁へ送致され,検察庁でも取り調べ(弁解録取)を受けます。この間,逮捕から最大72時間の身柄拘束が見込まれます。
その後,「勾留」となれば10日間,さらに「勾留延長」となれば追加で最大10日間の身柄拘束が引き続きます。この逮捕から勾留延長までの期間に,捜査を遂げて起訴不起訴を判断することになります。

逮捕から起訴までの流れ

ただし,逮捕後に勾留されるか,勾留後に勾留延長されるか,という点はいずれの可能性もあり得るところです。事件の内容や状況の変化によっては,逮捕後に勾留されず釈放されたり,勾留の後に勾留延長されず釈放されたりと,早期の釈放となる場合も考えられます。

逮捕をされてしまった事件では,少しでも速やかな釈放を目指すことが非常に重要になりやすいでしょう。

ポイント
逮捕後は最大72時間の拘束,その後10日間の勾留,最大10日間の勾留延長があり得る
勾留や勾留延長がなされなければ,その段階で釈放される

自転車窃盗事件で逮捕を避ける方法

①捜査を受けていない場合

自転車窃盗を行ってしまったものの,まだ捜査を受けていない場合,自分が被疑者と特定されていない可能性があります。このような状況では,自ら捜査機関に名乗り出て自首をすることで,逮捕を避けられる可能性が非常に高くなるでしょう。

自ら警察等に出頭し,自分の行ったことやその証拠を積極的に示せば,その後捜査を行うに際して逮捕が必要であるとは見なされにくくなります。捜査協力の姿勢を明確にすればするほど,逮捕の回避につながりやすくなると言えるでしょう。

②捜査を受けている場合

自転車窃盗事件で既に捜査を受けている場合,逮捕なく捜査されている状況なのであれば,基本的にはそのまま逮捕をしないで捜査を継続することが予定されていると考えられます。これは,捜査機関としては逮捕せずとも必要な被疑者の対応が得られると考えているためです。
そのため,逮捕回避のためには,捜査機関の期待に沿う形で必要な対応を尽くすのが適切でしょう。呼び出されたときに出頭する,求められた提出物は提出するなど,具体的な動きとしては「求めに応じる」というくらいで差し支えありません。

また,被害者との示談の試みも,逮捕回避の効果が期待できる動きの一つです。被疑事実を認め,被害者への謝罪や賠償を試みる姿勢を見せている場合,逮捕の必要が高いとは評価されにくく,逮捕回避につながる可能性は高いでしょう。

③否認事件の場合

見に覚えのない否認事件の場合,逮捕される筋合いはないと感じるところですが,逮捕自体は適法に行う余地があり得るため,自ら逮捕を招く行動を取ってしまわないよう気を付けるのが適切です。

具体的には,連絡が来たら応じる,出頭の求めには可能な範囲で応じる,という点を軽視しないようにしましょう。身に覚えがない事件で連絡への応答や警察への出頭を求められても,感情的には拒んでしまいたくなるところですが,感情的に拒むことで逮捕リスクを自ら高めることは合理的とは言えません。

否認事件ほど冷静に対処することを心掛けるのが賢明でしょう。

自転車窃盗の前科・不起訴

自転車窃盗事件で不起訴になる(前科が付かない)可能性

自転車窃盗の事件は,不起訴処分となる可能性が十分に考えられる事件類型です。他の窃盗事件と比較しても,不起訴処分となる余地が大きい傾向にあると言っても過言ではないでしょう。
自転車窃盗の場合で不起訴の可能性が高くなる要因としては,以下のような点が挙げられます。

自転車窃盗事件で不起訴処分の可能性が高まる要因

1.突発的な事件であることが多い

2.被害が大きくないことが多い

3.軽微な罪名に該当する可能性がある

【1.突発的な事件であることが多い】

自転車窃盗は,自転車を利用したいと考えたときに犯意が生じ,その直後に犯罪行為をする,という流れがほとんどです。事件が事前から計画的に進められていることは考えにくく,大多数が突発的なものになるでしょう。

刑事事件は,用意周到に計画を立てて行った場合よりも,その場の感情で突発的に行った場合の方が,責任が軽微と評価されやすい傾向にあります。計画的な事件は,それだけ悪質とみなされやすいためです。
裏を返せば,突発的な事件である自転車窃盗は,悪質である,刑事責任が重大であるといった理解にはつながりにくく,不起訴処分の可能性が十分に残りやすいところです。

【2.被害が大きくないことが多い】

自転車窃盗の被害は,自転車1台であることが通常です。そして,相当期間使用していた自転車である場合,経年劣化によって価値が減少していると評価されるため,時価額はそれほど大きくないことも少なくありません。

自転車窃盗事件も窃盗罪に該当する事件である以上,窃盗の対象となった財産の大きさは処分の重さに大きな影響を及ぼすことになります。この点,被害が大きくない自転車窃盗の場合には,刑事処分も大きなものにはなりにくく,不起訴処分に該当する可能性が高まりやすくなります。

【3.軽微な罪名に該当する可能性がある】

自転車窃盗の場合,基本的には窃盗罪の対象ですが,内容によっては占有離脱物横領罪に該当する場合であったり,それすら成立せず各都道府県の条例で取り締まられる場合であったりすることが考えられます。占有離脱物横領罪や条例違反に該当するケースの場合,窃盗罪よりも軽微な犯罪類型と評価されるのが通常です。

この点,窃盗罪より軽微な罪名に該当する自転車窃盗は,それだけ事件の内容が軽微であるため,刑事処分の結果も軽微なものになりやすいところです。窃盗罪に該当しない自転車窃盗の場合には,不起訴の可能性が類型的に高くなりやすいと言えるでしょう。

自転車窃盗事件で不起訴を目指す方法

①自首を行う

自転車窃盗の事件は,特に内容が軽微と判断できる場合,深い反省を大きな理由に不起訴処分となる可能性が考えられる事件類型です。内容軽微と判断されるケースとしては,自転車の経済的価値がほとんどない,放置自転車であった,被害者の被害感情がない,といった場合が挙げられます。このようなケースでは,真摯に反省を深めており,再発の可能性がないと期待できる状況であれば,検察官の裁量で不起訴処分となる可能性もあり得るところです。

この点,深い反省を示す有力な手段の一つが自首です。自首は,自ら名乗り出て自分の犯罪行為を申告し,自分に対する刑事処分を求める行動であるため,犯罪行為に対する深い反省や後悔,責任を全うしたいという意思などが捜査機関に伝わりやすいという利点があります。
自首は,真摯な反省を外部に表明するために最初にできる行動ということできるでしょう。

自転車窃盗事件で不起訴処分を目指す場合,捜査を受けていない状況であれば,まずは自首を検討することが有力です。

ポイント
比較的軽微な自転車窃盗事件は,反省状況を踏まえて不起訴とされることもある
反省の意思を示す最初の手段が自首

②示談を試みる

自転車窃盗事件は,盗品となった自転車の所有者を被害者とする犯罪です。そして,被害者のいる事件で刑事処分を決める際には,被害者の意向が強く反映されやすい傾向にあります。
そのため,自転車窃盗事件の場合,被害者である自転車所有者の意向によって,起訴不起訴の判断が変わる可能性が非常に高いところです。

そうすると,自転車窃盗事件で不起訴を目指す場合には,被害者に不起訴を希望してもらうことが有益ですが,被害者に不起訴を希望してもらう手段が示談です。示談が成立した場合には,示談の内容に「被害者が不起訴を希望する」という旨を明記することになるのが一般的であるため,これを踏まえて不起訴とされる可能性が高くなるでしょう。

また,自転車窃盗は「財産犯」と呼ばれる事件類型であり,被害者に財産的なマイナスをもたらした犯罪行為への責任が問われることになります。そのため,示談によって被害者の財産的なマイナスを自発的に補填する動きを取ることは,犯罪の責任を事後的に軽減する意味でも不起訴処分を近づける効果が期待できるでしょう。

ポイント
被害者が不起訴を希望すれば,不起訴の可能性が高まる
財産的な損害を補填することで,刑事責任の軽減につながる

③事件の軽重を踏まえた処分を求める

自転車窃盗の場合,対象となった自転車の価値や保管状況などによって,その事件の軽重に大きな幅が生じやすいところです。例えば,財産的な価値が高く,厳重に管理されていた自転車を被害者の駐輪スペースから持ち出した場合と,無造作に横倒しされている長年使い古したような自転車を拾い上げて利用した場合とでは,その重さに差が生じるのは明らかです。

そして,事件が非常に軽いと評価する余地がある場合には,その事件の程度を踏まえて不起訴処分を求めることも有力な方針でしょう。起訴不起訴の処分は,先例を踏まえて矛盾の内容に行うことが一般的であるため,過去に類似の内容で不起訴とされている規模の事件であれば,不起訴処分の対象となる可能性はあり得ます。

ただし,事件の重さだけを踏まえて処分を決めるわけではないため,深い反省や再発防止策の実施など,不起訴処分を促す他の事情を可能な限り示すことも重要です。事件の軽重は,単独で処分を左右するものではなく,総合考慮されるときの判断材料の一つ,という理解をするのが適切でしょう。

ポイント
自転車の価値や保管状況により,事件の軽重には大きな差が生じる
軽微な内容の場合,不起訴処分を促す事情の一つになり得る

自転車窃盗事件で不起訴を目指す場合の注意点

①被害者の意向が反映されやすい

自転車窃盗事件の刑事処分は,被害者が起訴を望むか不起訴を望むか,という意向を反映した結果になりやすい傾向にあります。被害者のいる事件では,被害者の処罰感情が処分に直結しやすいですが,自転車窃盗の事件でもこの点は顕著に見られるところです。

これまで,自転車窃盗の事件では内容の軽微さを踏まえた不起訴処分の可能性があり得ることを指摘してきましたが,これはあくまで他の事件類型と比較して,という程度にとどまります。事件の重さと被害者の意向とでは,処分結果への影響力には歴然とした差があると言わざるを得ません。
そのため,被害者が刑事処罰を強く望んでいる状況で,被害者への示談の試みなく事件が軽微であると主張しても,不起訴処分となることは考えにくい場合がほとんどでしょう。事件の重さを指摘することよりも,被害弁償や示談を通じて被害者の処罰感情を緩和させる方がはるかに不起訴につながりやすいため,不起訴を目指す手段には注意が必要でしょう。

ポイント
事件の軽重よりも被害者の処罰感情の方が圧倒的に重要

②被害額の予測が難しい

自転車窃盗事件の被害額は,基本的に自転車の時価額ですが,一見してその金額を具体的に想定することは容易ではありません。ただ乗れればよい,と思って自転車窃盗をしたケースであっても,思いのほか価値の高い自転車であったということは十分に考えられます。

また,示談交渉をする際には,自転車窃盗によって被害者が被った損害を考慮する必要がありますが,どのような損害が生じたかは被害者の行動やスケジュールなどによっても様々です。例えば,自転車レースへの出場を逃した,自転車でしか移動できない大事な予定に支障が生じたなど,被害者側の事情によって損害が広がる可能性も否定できません。

一般的には,明らかに高価な自転車である場合を除き,損害額があまりに大きくなることは考えにくいところですが,特に示談交渉に際しては被害額の予測が困難な可能性に注意をしておくのが望ましいでしょう。

ポイント
被害者にどのような損害が生じたかは,事前には分からないことも多い

③記憶に限りがある場合の対応

自転車窃盗事件の中には,酩酊状態など記憶に限りのある状況で起きるものも珍しくありません。飲酒を伴う飲食の帰り道に,徒歩が億劫になって付近の自転車を乗り捨ててしまう,といったケースが一例です。
このようなケースでは,事件後に行動の流れや窃盗行為の内容を聞かれても,十分に答えられないことが考えられます。記憶自体が不足している以上,やむを得ないところがあります。

もっとも,記憶に限りがある場合に,「覚えていない」と対応を諦めてしまったりいい加減な返答に終始したりすることはお勧めできません。記憶が不十分であるからこそ,丁寧な対応を心掛けるのが有益です。

具体的には,認否を明確にすることが非常に重要となりやすいでしょう。
「覚えていない」という供述は,基本的に認めないスタンスとみなされやすいものです。少なくとも認めていないため,認め事件とは扱われません。しかしながら,「覚えていないものの否認の意思はない」という場合,単に「覚えていない」と回答するのは意図に反した取り扱いを招く結果となってしまい,適切ではありません。

特に認める方針の場合には,認否を明確に示すことに注意しましょう。

ポイント
記憶がない旨の供述は,認めているとは評価されない

自転車窃盗の示談

自転車窃盗事件で示談をする方法

自転車窃盗事件で捜査を受けている場合,示談をするためには捜査機関(警察や検察)にその旨を申し入れ,捜査機関から被害者に連絡を取ってもらうことが必要です。
もっとも,捜査機関は加害者本人と被害者を引き合わせることをしません。当事者同士で連絡を取らせるのは,被害者にとって不適切である上,二次被害の原因になる可能性がある,と考えるためです。
そのため,自転車窃盗事件で示談を試みるためには,弁護士に依頼の上,弁護士を通じて動くことが必要となります。

具体的な流れは,以下の通りです。

示談交渉の流れ

示談交渉の流れ

1.弁護士が捜査機関に示談したい旨を申し入れる
2.捜査機関が被害者に連絡を取り,示談に関する意思確認をする
3.被害者が捜査機関に返答をする
4.被害者が了承すれば,捜査機関を介して連絡先を交換する
5.弁護士が被害者に連絡を取り,交渉を開始する

自転車窃盗事件は,他人の財産に損害を与える事件のため,その財産を埋め合わせる金銭の支払を行うのが通常です。金銭の支払いは,示談金という形で行うことになりますが,これも直接当事者間で支払うのではなく,弁護士に金銭を預け,弁護士から被害者に支払う方法を取るのが適切でしょう。

ポイント
弁護士から捜査機関に対して示談の申し入れをしてもらう
金銭の支払も弁護士を通じて行う

自転車窃盗事件で示談を試みる時期

自転車窃盗事件における示談は,早ければ早いほど望ましいでしょう。それは,示談のメリットは示談成立が早いことが前提となっているためです。

示談のメリットと早期示談の関係

1.前科の回避
→起訴される前に示談をすることが必要

2.逮捕の回避
→逮捕するかが判断される前の示談が必要
(逮捕されるかどうかは捜査中の早い段階で判断される)

3.早期終了の可能性
→警察が検察に送致する前の示談が必要

自転車窃盗事件の示談を検討する場合は,少しでも早く動き出すため,まずは一度弁護士に相談してみましょう。

自転車窃盗事件における示談のメリット

自転車窃盗事件は,弁護士に依頼するメリットが非常に大きい事件類型の一つと言えます。具体的なメリットとしては,以下の各点が挙げられます。

①前科が防げる

自転車窃盗事件は,方法や内容によって以下のような刑罰の対象になることが考えられます。

一般的な自転車窃盗窃盗罪 10年以下の懲役又は50万円以下の罰金
放置自転車占有離脱物横領罪 1年以下の懲役又は10万円以下の罰金
ゴミの場合自治体によっては窃盗罪や条例違反になる可能性あり

特に,放置されている自転車であることが明らかな場合には,出来心で乗り捨てをしてしまってもそれほど大きな問題がないように感じることがあるかもしれません。しかし,仮に放置自転車であっても占有離脱物横領罪に該当する犯罪行為になってしまいます。
また,自分は放置自転車だと思っていても,実際には放置自転車でなく人が管理している自転車であった,という場合,より重い窃盗罪に該当することが見込まれます。窃盗罪に該当するような自転車窃盗であれば,刑罰を受けて前科が付く可能性はより高くになるでしょう。

この点,刑罰が科されるかどうかを決める重要な判断要素の一つに,被害者の処罰感情が挙げられます。被害者のいる事件類型では,被害者が加害者の刑罰を望んでいるかどうかがとても大きな基準になるのです。
捜査が始まるときには,被害者が刑罰を望んでいることがほとんどです。捜査のきっかけは被害者の被害申告であることが一般的ですが,被害者は加害者への刑罰を望むからこそ被害を警察などに相談しているはずだからです。

そのため,自転車窃盗事件で刑罰を避けるためには,示談を行って「事後的に被害者が処罰を望まなくなった」という状態を作ることが極めて重要になります。逆に,被害者が処罰を望まなくなった場合,刑罰が科される可能性は非常に低くなり,ほとんどの場合では前科を防ぐことができるでしょう。

ポイント
自転車窃盗は窃盗罪や占有離脱物横領罪の対象
前科を防ぐためには被害者が刑罰を望まないことが重要
被害者が刑罰を望まないことを示す手段は示談

②逮捕を防げる

自転車窃盗は,決して逮捕されやすい事件類型ではありませんが,ケースによっては逮捕される場合も十分にあり得ます。一例としては,現行犯で見つかって逃走していた場合や,多くの余罪で事前にマークされていた場合,計画性があり悪質と考えられる場合などが挙げられるでしょう。

この点,自転車窃盗事件で逮捕をする大きな理由は,被害者を保護することにあります。加害者が被害者を特定した場合に,自分に不利益なことを言わせない目的や物証の隠滅を図る目的で被害者に接触する可能性があるため,接触を未然に防ぐ手段として逮捕する,というわけです。

しかし,示談の成立した自転車窃盗事件では,もはや加害者が被害者に接触する必要がありません。加害者にとって最も利益の大きい示談が,既に実現されているためです。
そうすると,自転車窃盗の事件で示談が成立した場合,逮捕の必要はほぼなくなることから,逮捕されることは通常なくなるでしょう。

ポイント
逮捕には加害者の被害者への接触を避ける目的がある
示談済みであれば被害者に接触する必要はなく,そのため逮捕の必要もない

③捜査を終了させられることがある

刑事事件で捜査が開始すると,警察が取り調べや証拠収集を進め,事件を検察庁に送致し,送致を受けた検察庁で処分を受ける,という流れをたどります。

捜査の流れ

1.警察による証拠収集
2.警察から検察への送致
3.検察での処分(起訴又は不起訴)

この点,示談できれば検察での処分は不起訴になりやすいですが,逆に言えば示談してもその場で手続が終わるのでなく,検察での処分までは進むのが大原則です。
しかし,自転車窃盗で早期に示談が成立し,被害者が許す意思を明らかにした場合,事件が比較的小さなものであれば,警察が直ちに捜査を終了させて検察に送致せず終了する可能性もあります。

検察による処分までは,一般的に数か月を要するため,その間の手続負担を回避できるとなれば非常に大きなメリットになるでしょう。

ポイント
示談しても警察から検察に送致されるのが通常
軽微な事件で早期に示談できれば,例外的に送致されず終わることも

自転車窃盗事件の示談金相場

自転車窃盗事件の示談金は,対象となった自転車の価格によって大きく変わりやすいところです。具体的には,自転車の時価額に迷惑料又は慰謝料としていくらか上乗せをし,示談金とすることが一般的でしょう。

個別のケースにおける示談金は,被害者と自転車との関係によっても左右されやすい傾向にあります。被害者にとって重要な自転車であるほど金額は大きくなりやすく,逆に被害者にとって価値のない自転車であれば,金額は小さくなりやすいです。

示談金額が大きくなりやすい場合

1.自転車の価値が非常に高い
2.被害者にとって重要な自転車である

示談金額が小さくなりやすい場合

1.自転車の価値が高くない
2.被害者にとって重要度の低い自転車である(放置自転車など)

一般的に,それほど重要な自転車や高価な自転車でなければ,慰謝料を含む示談金の目安は5~10万円ほどになりやすいでしょう。
また,被害品の自転車が無事被害者の手元に戻っている場合,自転車の価格をすべて支払う必要がない可能性もあり,金額はより小さくなりやすいです。

ポイント
示談金は自転車の価格に迷惑料を乗せた金額
高額とする事情がなければ5~10万円ほどが目安

自転車窃盗事件における示談の特徴

①金額の定め方

自転車窃盗の事件では,自転車の価値をベースに示談金を定めるのが通常ですが,自転車の価値は被害者によって様々に異なります。

例えば,被害者にとって必要がなく,むしろゴミとして処分したかったような自転車である場合,自転車の価値に対する賠償はそれほど求められないケースも珍しくありません。
一方,カスタマイズを重ねた高価な自転車である場合,被害者にとっての価値は実際の価格より高く,思い入れの強さから高額の支払を要することもあり得ます。

金銭とは異なり,同じものでも人によって価値の違うことがある,という点は自転車窃盗の示談における大きな特徴です。

②被害者の特定が困難な場合

自転車窃盗の場合,被害者の特定は自転車の登録を基準に行います。しかし,自転車が譲渡などされて転々流通しており,登録の変更がなされていない場合,現実の被害者と登録上の所有者が異なるため,被害者の特定が難しい場合もあり得ます。

また,所有者から盗んだのはほかの人であり,その犯人が乗り捨てたものを自分が盗んだ,という流れになることもあります。この場合は,被害者がもともとの所有者であることは明らかなので,自分が所有者から直接盗んだわけでなくても所有者との示談が適切です。

③自転車所有者以外との示談が必要な場合

自転車窃盗事件は,私有地や建物内の駐輪場で行われると,住居侵入罪又は建造物侵入罪もあわせて成立することになります。窃盗罪と住居侵入罪(建造物侵入罪)は別々の犯罪であるため,それぞれについて示談が必要ですが,住居侵入罪(建造物侵入罪)の被害者(=敷地や建物の管理者)は自転車の所有者とは別の人物であることが通常です。

そのため,駐輪場やマンションなどで起きた自転車窃盗事件については,その敷地や建物の管理者とも別途示談が必要となる可能性に注意することが必要です。

自転車窃盗で弁護士に依頼するメリットと方法

弁護士に依頼するべき理由

①不起訴処分のため

刑事事件の被疑者となった場合には,最終的な結果として不起訴処分となることを目指すのが通常です。検察は,捜査を遂げた段階で「起訴」するか「不起訴」とするか判断をしますが,起訴されれば裁判所から刑罰を言い渡される可能性が高く,不起訴となれば刑罰を受けることなく手続が終了するため,その差は極めて大きなものとなります。
そのため,不起訴処分を目指すことが,刑事事件における最大の目標と言っても過言ではないでしょう。

この点,不起訴処分となるかどうかは,高度に法的な問題となることがほとんどです。認め事件であれば,「犯罪事実があるにもかかわらず不起訴とする」ための法的な根拠が必要ですし,否認事件であれば,「犯罪事実が立証できないから不起訴とする」という判断を引き出す必要があります。
これらは,過去の先例や個別の証拠を踏まえ,法的に整理した上での判断が必要となるため,法律の専門家以外には対応が困難と言わざるを得ないでしょう。

そのため,不起訴処分を獲得するという最大の目標を実現する手段として,弁護士を選ぶことは非常に重要と言えます。

②早期釈放のため

自転車窃盗の場合,逮捕されてしまったとしても,早期釈放の可能性がないわけではありません。むしろ,事件によっては早期釈放を見込むことのできるケースも珍しくはないでしょう。

しかしながら,実際に早期釈放を目指す動きを取るためには,弁護士の存在が不可欠です。手続の局面に応じて,適切な申立てなどを行うためには,手続に精通した弁護士に依頼するほかないためです。

逮捕後の早期釈放を目指すためには,できる限り速やかに弁護士選びをすることをお勧めします。なお,身柄拘束されている場合,弁護士選びが遅くなればその分だけ拘束期間が長くなってしまうため,弁護士選びの早さも大切なポイントとして留意することが望ましいでしょう。

③家族や関係者との連携のため

身柄事件の場合,逮捕勾留されたご本人は,自分で外部と連絡を取ることができません。電話を携帯することも認められないため,連絡を取るための手段は以下のような方法に限られます。

逮捕勾留中に外部と連絡を取る手段

1.手紙の送受
→数日~1週間ほどのタイムラグが避けられない

2.(一般)面会
→時間制限が厳しい。接見禁止の場合は面会自体ができない

3.弁護士の接見
→時間的制限なくコミュニケーションが可能

手紙の送受は現実的でなく,面会の時間制限の中で必要な連絡をすべて取ることも難しいため,ご本人と周囲との連絡には弁護士の接見を活用することが不可欠になりやすいでしょう。
身柄事件で必要な連絡を取り合うためには,弁護士への依頼が適切です。

④適切な取り調べ対応のため

刑事事件の捜査では取調べが不可欠です。特に,被疑者への取調べは捜査の中核であって,被疑者からどのような話が引き出せるかによってその後の捜査が決定づけられる事件も少なくありません。

逆に,被疑者の立場にある場合,取調べにどのような対応を取るのが最も有益であるのかを把握していることは非常に重要です。自分が何を話すか,どのように話すかによって,その後の捜査や処分が決定づけられる可能性もあるため,取調べ対応の方法・内容は十分に検討する必要があるでしょう。

この点,個別の事件に応じてどのような取調べ対応をすべきかは,弁護士の法的な判断を仰ぐことが適切です。そのため,取調べ対応に万全を期すためには,弁護士選びが重要なポイントとなるでしょう。

自転車窃盗事件の弁護士を選ぶ基準

①自転車窃盗という事件類型への理解

自転車窃盗の事件は,具体的な内容によって,以下のように該当する刑罰法令が異なる可能性があります。

一般的な自転車窃盗窃盗罪 10年以下の懲役又は50万円以下の罰金
放置自転車占有離脱物横領罪 1年以下の懲役又は10万円以下の罰金
ゴミの場合自治体によっては窃盗罪や条例違反になる可能性あり

また,自転車窃盗に伴って他の犯罪が成立する場合もあります

器物損壊罪 3年以下の懲役又は30万円以下の罰金
自転車窃盗の際にカギを壊すと,カギを壊してしまった行為について別途器物損壊罪が成立します。
その他,駐輪場に設置してある機材を壊した場合にも器物損壊罪の対象となるでしょう。

住居侵入罪・建造物侵入罪 3年以下の懲役又は10万円以下の罰金
自転車窃盗のために他人の住居やその敷地に侵入した場合には,住居侵入罪や建造物侵入罪が成立します。
一般的には,戸建ての住宅やマンションの専有スペースへの侵入は住居侵入罪,マンションの共用スペースへの侵入は建造物侵入罪に当たるでしょう。

当然ながら,どの罪に当たるかによって,その後の取り扱いも最終的な処分の見込みも異なりやすいです。また,被害者との示談を試みる場合にも,どの罪に当たる内容かという点が示談の方法・内容に影響を及ぼしやすいでしょう。

このように,自転車窃盗の場合,一口に自転車窃盗と言っても様々な罪名に該当し得るものですが,これは他の事件類型にはない自転車窃盗の特徴とも言えます。そして,この自転車窃盗の特徴を踏まえているかどうかによって,弁護活動の内容や結果に大きな差が生じる可能性があります。

自転車窃盗の弁護士を選ぶ場合には,事件類型の特徴に理解があるか,という点を重要な基準とするのがよいでしょう。

②見込まれる刑事手続の理解

適切な弁護活動を行うには,今後にどのような手続が見込まれるか,正しく理解していることが不可欠です。今後なされる手続を把握していなければ,手続の中で何を行うべきかも判断できないためです。

そのため,弁護士選びに際しては,個別事件の内容を踏まえて,今後に見込まれる刑事手続を具体的に見通せている弁護士か,という点を重要な判断基準とすることをお勧めします。手続の見通しが具体的であることは,弁護活動の内容が具体的であることにもつながるため,安心して弁護士に依頼できる結果にもなるでしょう。

③弁護方針の具体的内容

弁護士選びは,依頼した際にどのような弁護方針で活動してくれるか,という点を慎重に検討して行うことが必要です。依頼した結果,弁護方針が希望と合致していなかったり,弁護方針に違和感があったりすれば,弁護士選びはうまくいかなかったと言わざるを得ないでしょう。

そのため,弁護士選びの際には,その弁護士がどのような方針で弁護活動をしてくれるのか,可能な限り具体的に把握することをお勧めします。例えば,認め事件であれば示談を試みることが有力ですが,一口に示談を試みると言っても,示談金額はどの程度を想定するか,示談金以外の示談条件として考えられるものはあるか,謝罪の意思を伝える方法はどうするか,事件の経緯や具体的内容についてはどのように説明するかなど,事前に決めなければならない具体的な内容は少なくありません。

弁護方針が具体的であればあるほど,その弁護士は弁護活動のイメージを詳細に持てているということが分かります。これは,弁護士に経験値や解決能力があることの端的な現れでもあるので,弁護士選びに際しては注意してみるとよいでしょう。

④弁護士との連絡方法・頻度

弁護士と連絡を取る方法や連絡の頻度は,弁護士により様々です。特に,「弁護士と連絡したくても連絡が取れない」という問題は,セカンドオピニオンとして相談をお受けする場合に最も多く寄せられるお話の一つです。
電話をしても常に不通となって折り返しがない,メールへの返信も全くない,といったように,弁護士との連絡が滞るという問題は生じてしまいがちです。

そのため,弁護士とはどのような方法で連絡が取れるか,どのような頻度で連絡が取れるか,という点を重要な判断基準の一つとすることは,事件解決のために有力でしょう。

なお,法律事務所によっては,事務職員が窓口になって弁護士が直接には対応しない運用であるケースも考えられます。そのような運用が希望に合わない場合は,依頼後の連絡方法を具体的に確認することも有益でしょう。

自転車窃盗事件で弁護士に依頼する場合の注意点

①弁護士との相性の重要性

依頼者も弁護士も人である以上,相性の問題を避けて通ることはできません。依頼者目線では,相性が良くないと感じながら弁護士に依頼するメリットはないと考えるべきでしょう。

この点は,最善の解決に至ればそれほど大きな問題にはなりません。しかしながら,弁護活動は事前に最善の結果になるとお約束することが不可能であり,どうしても結果が伴わない場合があります。示談を試みたものの被害者に拒否された,全部無罪を主張したものの一部の主張が認められなかった,といった場合が代表例でしょう。

そして,弁護士との相性を軽視することは,最善の結果でなかった場合に大きな問題となります。弁護士が最善の活動をしてくれたのか,結果はやむを得ないものだったのか,という点について疑念が生じやすくなるためです。
弁護士との相性が良く,弁護士の活動を心底信頼できれば,心から「やむを得なかった」と納得しやすいですが,相性が悪いと感じている場合にはそうもいかないことが多くなりがちです。

弁護士との相性を率直にどう感じるか,という点は,弁護士選びに際して軽視しないことが適切でしょう。

②弁護士によって案内が異なる可能性

自転車窃盗の事件では,処分の見通しなど,案内の内容が弁護士によって異なることも少なくありません。特に,起訴されるか不起訴になるか,という点は,法律相談の段階で具体的に見通すことが困難な場合も多く,確実に回答できないという方がむしろ自然でしょう。

そのため,ある弁護士に相談した結果と他の弁護士に相談した結果が異なる場合もありますが,それはどちらかが誤っているというよりも,見通しの不透明さが影響した結果と理解すべきものです。それにもかかわらず,「どちらの回答が正しいのか」という視点で結論を出そうとすると,答えのない泥沼にはまる恐れもあるため,注意しましょう。

弁護士によって案内が異なることは,決しておかしな出来事ではないと分かっているだけでも,弁護士選びは格段にやりやすくなるはずです。

自転車窃盗事件に強い弁護士をお探しの方へ

自転車窃盗は,まぎれもない犯罪であるため,警察の捜査を受けるなどの問題になった場合には,適切な対応が必要です。
裏を返せば,捜査を受けることになっても,適切な対応ができれば,最悪の事態を回避することは十分に可能なことが多いです。
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自転車窃盗事件は少しでも早い対応が大事になりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

置き引きとは?被害届が出たら逮捕される?示談すべき?弁護士が重要ポイントを解説

●置き引きは何罪に当たるのか?

●置き引き事件は逮捕されてしまうのか?

●置き引きで逮捕されてしまったらどうすればいいか?

●置き引きは前科がついてしまうのか?

●置き引きで不起訴になる方法は?

●置き引きの示談金相場は?

●置き引き事件は弁護士に依頼すべきか?

といった悩みはありませんか?

このページでは,置き引き事件の適切な対応について知りたい,という方に向けて,
置き引き事件の基礎知識置き引き事件で逮捕や前科を防ぐための弁護活動について解説します。

置き引き事件の罪名

置き引き事件は,具体的な状況・内容によって窃盗罪に当たる場合と横領罪に当たる場合があります
両者の区別を単純にすると,対象物を被害者が所持(支配)している状況と言えるか言えないか,ということができるでしょう。
法的には,被害者が占有している物だと窃盗罪の対象になり,被害者の占有を離れた物だと横領罪(占有離脱物横領罪)の対象になります。

①窃盗罪に当たる場合

窃盗罪は,他人が持っている財産を盗む犯罪です。
置き引きの場合,置いてはあるが被害者の手元を離れているとは言えない,という場合が該当します。
具体的には,置いてからの時間が短い,置いてある場所の近くに被害者がいる,というケースがこれに当たります。
被害者が置いたばかりでその場を離れていない状況であれば,被害者が支配していると理解できるわけですね。

②占有離脱物横領罪に当たる場合

占有離脱物横領罪は,他人の占有を離れた財産を手に入れる犯罪です。
置き引き事件で言うと,置かれた財産が被害者の手元を離れたと評価できる場合が該当します。
具体的には,置かれてから既に長時間が経っている,被害者は遠くに離れている,というケースが当たります。
電車の網棚に放置されたままになっているカバンに代表されるように,持ち主が支配しているとは考えにくいわけですね。

置き引き事件の刑罰

置き引き事件は窃盗罪又は占有離脱物横領罪に該当しますが,両者を比較すると,刑罰の程度には以下のような違いがあります。

①窃盗罪:10年以下の懲役又は50万円以下の罰金
②占有離脱物横領罪:1年以下の懲役又は10万円以下の罰金

非常に大きな差がありますが,これは,窃盗の方がより強く責められるべき行為であるから,と説明できるでしょう。
放置された物を持っていくより,人の所持している物を盗む方が,道徳的なハードルがより高い行為と言えます。

置き引き事件と逮捕

置き引き事件は逮捕されるか

置き引き事件は,決して類型的に逮捕可能性が高いわけではありません。被疑者が特定できた場合であっても,逮捕せずに捜査を行うことは珍しくないでしょう。そのため,被害届が出たからと言って必ず逮捕されるわけでなく,適切な対応を尽くすことで,逮捕を回避しながらの解決も目指せる場合は多いと言えます。

ただし,内容によっては逮捕可能性が高くなるケースがあり得ます。具体的には,以下のような場合が挙げられます。

逮捕の可能性が高くなりやすいケース

1.盗品が悪用された場合

2.被害規模が大きい場合

3.同種の余罪が多数ある場合

【1.盗品が悪用された場合】

置き引き事件では,盗品が複数あり,その中には悪用される恐れのあるものも含まれていることが少なくありません。財布の中に保管されているキャッシュカードやクレジットカードは代表例でしょう。

この点,キャッシュカードを用いて多額の現金が引き出されている,クレジットカードを用いて商品を購入している,といった事情がある場合,盗品の悪用が重大視され逮捕の可能性が高まることが考えられます。単純に被害が拡大するというのみならず,盗品をさらに悪用する動きは別の犯罪に当たる可能性の高い悪質な行為であるため,逮捕をして厳重に捜査を尽くす必要が大きくなってしまうのです。

【2.被害規模が大きい場合】

明らかに経済的価値の高いものを置き引きしている,際立って多くの物を置き引きしているなど,被害の規模が大きい場合には,事件の重大性を踏まえて逮捕される可能性が高まる傾向にあります。

置き引き事件で逮捕がなされないケースは,突発的な事件であること大きく評価されていることが多く見られます。「魔が差した」というべき事件であれば,証拠隠滅の可能性も低く,逮捕までする必要はないと評価されやすいためです。
一方,価値の高い物を選んでいる場合や,簡単に持ち出せない物を持ち出している場合には,突発的ではなく計画的な事件であることが見込まれやすくなります。特に,計画的な事件と考えなければ説明のつかない行動を取っている場合には,計画性があるとみなされやすいでしょう。そして,このようなケースでは,突発的な置き引き事件とは異なり,計画性に関する証拠隠滅を防ぐために逮捕に踏み切る必要が大きいと判断されかねません。

【3.同種の余罪が多数ある場合】

場所や方法,対象となる盗品など,特徴の共通した事件が多数発生している場合,捜査機関としては同一犯の事件を想定するとともに,再発防止のために被疑者を逮捕する必要が高いと考える傾向にあります。多数の余罪がある被疑者の場合,放置していると再び同様の事件を起こす可能性が高いため,逮捕によって事件を予防しつつ捜査を行う手段が選択されやすいのです。

また,余罪が多数あるということは,捜査すべき事件がそれだけ多いため,事件の数に比例して必要な証拠も多くなります。逮捕しないでいると,余罪に関する重要な証拠を隠滅される恐れがあるため,速やかに逮捕をし,余罪を含む事件の全容解明を目指す方針が取られやすい傾向にあります。

置き引き事件で釈放される方法

置き引き事件では,逮捕された場合でも,その後速やかに釈放される場合は決して少なくありません。

逮捕されると,その後,10日~20日間勾留されるか,釈放されて在宅事件に切り替えられるか,という判断がなされます。
在宅事件となった場合,日常生活に戻った上で,捜査機関に求められた際に出頭する,という対応が可能ですので,勾留を防げるかは非常に重要なポイントになります。
置き引き事件の場合,適切な対応ができれば,勾留を防いで在宅事件となることも十分に考えられますので,弁護士に依頼の上で釈放を求める弁護活動をしてもらうことをお勧めします。

なお,逮捕されてから勾留の判断がなされるまでの期間は,概ね2日以内,長くても3日程度であり,勾留を防ぐための試みをするにはそれより前に弁護士が活動を開始しなければなりません。その期間が経過し,勾留が決定されると,遡って勾留を防ぐことは困難になってしまいます。逮捕された場合の弁護士へのご相談は,逮捕当日または翌日には行われることをお勧めします。

置き引き事件で逮捕を避ける方法

①捜査を受ける前の段階

置き引き事件では,目撃者の存在が期待できないため,防犯映像などの明らかな証拠がなければ,被疑者の特定に時間のかかる場合も少なくありません。そのため,逮捕の回避を検討する段階ではまだ被疑者が特定されておらず,取調べ等の捜査を受けていない状況であることも考えられます。

この段階で逮捕の回避を目指す場合には,自ら捜査機関に出頭する動きが一案です。捜査機関に特定されるより前に,自分から被疑者として扱ってもらうよう申し出ることで,逮捕しない判断を促すことが可能になります。
自分が被疑者として特定される前に出頭を試みれば,法的には「自首」が成立し,取り扱いがより緩和される効果も期待できます。

②捜査開始後

置き引き事件で既に捜査を受けており,その内容に争いがない場合には,被害者との示談を通じて逮捕回避を目指す方法が有力です。

置き引き事件の場合,被害者との間で示談が成立すれば,その後に逮捕されることはほとんどありません。しかも,示談は最終的な刑事処分の軽減にも非常に大きな意味を持つものであるため,行わないメリットはないと言っても過言ではないでしょう。

示談は,被害者側の対応によっては速やかに成立しないため,「示談が成立したから逮捕しない」という判断になるケースはあまり多くはありません。しかし,「示談を希望している」という事実を捜査機関に把握してもらうだけでも,逮捕回避につながることは非常に多く,少しでも早期に示談の試みに着手することはとても有益でしょう。

③逮捕の判断基準を踏まえた対応

逮捕を行うかどうかの判断基準は,「逃亡の恐れ」と「罪証隠滅の恐れ」です。逮捕をしないと逃亡する可能性が高いか,犯罪の証拠を隠滅される可能性が高いか,ということを基準に,逮捕の判断が行われることになります。
裏を返せば,逃亡や罪証隠滅の恐れが小さい場合,逮捕の可能性は大きく低下することになります。捜査への対応にあたっては,逃亡や罪証隠滅の恐れに配慮することが有益でしょう。

具体的な対応としては,呼び出しの連絡は無視せず対応し,出頭を拒否せず可能な範囲で応じる,という方針が適切です。円滑に連絡が取れれば,逃亡の恐れは小さいと評価されやすく,出頭の求めに応じてくれれば罪証隠滅の恐れが小さいとの理解につながりやすいでしょう。

置き引き事件の逮捕に関する注意点

①対象となる罪名

置き引き事件は,「窃盗罪」に当たる場合と「占有離脱物横領罪」にあたる場合があります。主な違いは以下の通りです。

窃盗罪:置いてはあるが被害者の手元を離れているとは言えない場合
占有離脱物横領罪:置かれた財産が被害者の手元を離れたと評価できる場合

基本的には,置かれてから時間が経っていない場合に窃盗罪,長時間が経過している場合に占有離脱物横領罪の対象となります。犯罪としては,置かれて間もない財産を置き引きする方が責任が重いと評価されやすいため,窃盗罪の方が重大であり,逮捕の可能性も窃盗罪に当たる方が高い傾向にあります。

同じ置き引きでも,責任の重さによって罪名が異なることには注意しておくとよいでしょう。

②逮捕後の身柄拘束期間

逮捕が防げなかった場合には,逮捕後の身柄拘束がどの程度の期間となるか,という点が重要な問題になります。

逮捕されると,最大72時間以内に「勾留」されるかが判断され,勾留された場合には10日間の身柄拘束が生じます。そして,勾留後には最大10日間の「勾留延長」がなされる可能性もあります。そうすると,起訴不起訴の判断までの間に,最長で23日程度の身柄拘束があり得るということになります。

逮捕から起訴までの流れ

この点,置き引き事件では勾留や勾留延長が回避できるか,という点がケースによって様々に異なりやすい傾向にあります。他の置き引き事件では勾留されなかったから,と安易に釈放を見込むことは不適切であり,大きな危険があると考えるべきでしょう。

釈放時期の具体的な見込みについては,個別の内容を踏まえた判断が不可欠であるため,弁護士への十分な相談を行うことをお勧めします。

置き引き事件と前科・不起訴

置き引き事件は前科になるか

置き引き事件は,前科になる可能性が十分に考えられる事件類型です。
前科とは,刑罰を受けた経歴を指すことが一般的ですが,刑事事件では,捜査の結果検察官に起訴されると,刑罰を受けて前科が残ることとなります。
そのため,前科を防ぐためには,検察官に起訴されない(不起訴処分となること)が必要です。

この点,置き引き事件は被害者がいる事件類型のため,検察官による起訴不起訴の判断は,被害者の意向に配慮したものとなるのが通常です。
被害者が処罰を求めるのであれば起訴し,被害者が許していれば不起訴にする,という判断になることが非常に多く見られます。

そのため,置き引き事件で不起訴処分を獲得し,前科を防ぐためには,被害者に許し(宥恕)をいただけるかどうかが最重要となるでしょう。
具体的には,弁護士を通じて示談を試み,示談が成立することで,被害者の宥恕を得る必要があります。

置き引き事件で不起訴を目指す方法

①示談交渉

置き引き事件で不起訴を目指す場合,最も端的な方法は被害者側に不起訴を希望してもらうことです。置き引き事件のように被害者がいる事件では,被害者が起訴を望むか不起訴を望むか,という意向が刑事処分に直接の影響を与えやすい傾向にあるためです。
そして,被害者に不起訴を希望してもらうための手段が,被害者との示談です。被害者との間で示談が成立した場合,被害者からは「不起訴を希望する」という意向を表明してもらうのが通常であるため,示談が成立すれば不起訴となる可能性が極めて高くなるでしょう。

なお,被害者側との示談を試みるのは,基本的に認め事件の場合です。否認事件でも,金銭的解決を図る趣旨で示談を試みる選択肢はあり得ますが,内容を慎重に検討する必要があるため,弁護士の法的な判断を仰ぐことを強くお勧めします。

ポイント
被害者が不起訴を希望すれば不起訴になりやすい
示談が成立した場合,被害者からは不起訴希望の意向を表明してもらうことになる

②再発防止・贖罪

不起訴処分を目指して示談を試みたとしても,必ず示談の成立に至るとは限りません。示談は相手のあるお話であるため,相手から拒否をされてしまえば,どれだけ希望しても示談成立に至ることは困難です。
相手に示談の意思がない場合には,示談によって不起訴処分を目指すことはできないため,次善策の検討が必要となります。

この点,認め事件であれば,二度と同様の事件が発生しない状況が整っている,と判断してもらうことが,不起訴処分を目指す有力な手段として考えられます。具体的には,事件の原因を予防できる再発防止策を講じたり,贖罪(しょくざい)の意思を贖罪寄付などの方法で表明したりすることが一案でしょう。
個別の事件でどのような再発防止策が考えられるか,贖罪寄付はどこへ,いくら,どのように行うべきか,という点は,弁護士と十分に協議することが望ましいところです。

なお,再発防止や贖罪の動きは,それだけで不起訴処分が獲得できる性質のものでない,という点には予め注意が必要です。起訴不起訴の判断で検察が迷う場合に,不起訴処分を促す事情になり得る,という程度の位置づけと理解するのが適切でしょう。

ポイント
再発防止策を講じることや贖罪寄付を行うことも有力
もっとも,再発防止や贖罪があれば不起訴になる,というわけではない

置き引き事件で不起訴を目指す場合の注意点

①示談金額

置き引き事件で示談を行う場合,示談金額は実際の損害額を目安にすることが通常です。一般的には,損害額にお詫びの趣旨でいくらか上乗せをした金額を示談金額とする,という考え方が用いられやすいでしょう。

もっとも,損害額に上乗せするお詫びの部分については,ケースによって損害額を大きく超える金額を希望されることもあり得ます。被害者としては,警察への相談やクレジットカード等の悪用を防ぐ対応など,置き引き被害にあったばかりに数々の面倒な動きをさせられているため,加害者への怒りの感情が増大していることも少なくはありません。また,損害額が小さい場合,その金額を支払うだけで加害者にお咎めなく事件が終わる,ということに被害者の納得が得られないことも多く見られます。

置き引き事件の示談に際しては,実際の損害額を超える示談金額が想定されやすいことにあらかじめ注意しておくようにしましょう。

②盗品の中身に争いが生じる可能性

置き引き事件の特徴として,盗品が複数になりやすい,という点があります。通常,バッグや財布など,中に他の金品が入っているものが盗品となるためです。

この点,加害者が置き引きした盗品の中身と,被害者が記憶している中身が一致しない,というケースは珍しくありません。自分のバッグや財布の中身を常に正確に把握するのは難しいため,やむを得ないところではあります。
現実に盗品の中身に関する争いが生じた場合には,以下のような対応方針が賢明でしょう。

盗品の中身に争いが生じた場合

1.対捜査機関(取調べ等)
→自分の記憶を述べ,被害者の主張に合わせる必要はない

2.対被害者(示談交渉)
→被害者の言い分に沿った示談条件を検討する
→「実際の中身は違った」という指摘をすること自体は問題ない

捜査機関に対しては,記憶に反する話をするメリットはないため,実際の内容を一貫して述べ続けるのが適切です。一方,示談交渉に際しては,被害者の言い分を踏まえた条件でなければ被害者の納得を得ることは困難です。そのため,実際の中身が被害者の言い分通りであるかは別として,示談条件は被害者の言い分に沿って検討するのが現実的でしょう。

③否認事件の対応方法

否認事件の場合,取調べにどのような対応をできるか,という点が起訴不起訴を大きく左右しやすいところです。
具体的には,事件の争点を念頭に置いた対応を心掛けることが適切でしょう。

例えば,「自分のバッグだと勘違いして他人のバッグを持って行ってしまった」という主張は,犯罪の故意を否認する内容です。そのため,ここでの争点は故意の有無であり,故意があったと立証できるかどうかが唯一最大の問題点となります。
この場合,「自分が他人のバッグを持って行ったかどうか」は当然ながら争点にはなりません。他人のバッグを持って行ったことは前提であり,持って行った時の内心が争点であるためです。
しかしながら,このような場合に「他人のバッグを持って行ったから悪い」といった内容の取調べを受けることも珍しくはありません。このような指摘を真に受けて争点と無関係の話に終始してしまうのは,不合理と言わざるを得ないでしょう。

否認事件では,争点をしっかりと整理して取調べに臨むことが必要です。そうすることで,取調べの内容を「重要な点」と「重要でない点」に区別することもでき,より適切な対応を尽くせるようになるでしょう。

置き引き事件の示談

置き引き事件で示談をする方法

置き引き事件で示談を目指す場合,まずは弁護士に依頼することが必要です。
示談を試みるには,警察や検察に示談をしたい旨申し入れ,被害者に連絡を取ってもらうことが必要ですが,当事者が申し入れても通常は応じてもらえません。
被害者側の精神的苦痛につながる上,当事者同士を引き合わすことでトラブルになる可能性が懸念されるからです。

そのため,示談を試みる場合は,弁護士が間に入り,弁護士限りで連絡先の交換をしてもらうことができないか,捜査担当者に相談をすることになります。
捜査担当者から被害者に連絡し,弁護士限りでの連絡先の交換が許された場合には,弁護士と被害者との連絡が始められる,という流れとなります。

置き引き事件の示談金相場

示談で宥恕(許し)を獲得するためには,引き換えに加害者から被害者へ示談金を支払うのが通常です。
置き引きの場合,この示談金の相場は,被害品の価値相当額を目安にすることが多く見られます。
具体的には,被害品の価値相当額にお詫びの趣旨でいくらか上乗せした金額を示談金とするのが有力でしょう。
被害品の価値相当額自体は,示談をしなくても被害者に賠償する義務があるものですので,被害者が宥恕する(許す)メリット・利益として,金銭賠償をいくらか上乗せするというのが基本的な考え方です。

なお,被害品の価値相当額については,明確に分からないことも少なくありません。
カバンや財布といった時価額の分かるものだけならば単純ですが,中にあったカードを紛失したケースや,金銭的価値はあまりないが大切にしていたものがなくなってしまったケースなどは,個別のお話合いが必要になるでしょう。
多くの場合は,被害者の宥恕(許し)に値する金額へと賠償額を引き上げることで示談を目指す方針になりやすいかと思われます。

置き引き事件は弁護士に依頼すべきか

弁護士への依頼が必要な場合

①不起訴処分を獲得したいとき

置き引き事件は,不起訴処分の可能性が十分にある事件類型です。認め事件であれば,被害者との示談が成立しているかどうかが不起訴処分を決定づける傾向にあり,示談が成立した事件では不起訴処分となる方が通常と言っても過言ではありません。
この点,示談交渉には弁護士の存在が不可欠です。当事者同士を直接引き合わせるわけにはいかないので,捜査機関は弁護士から依頼があった場合にのみ,弁護士限りで被害者と引き合わせることを認める運用をしています。

一方,否認事件の場合,起訴不起訴の判断は高度の法律的なものとならざるを得ません。犯罪の構成要件を満たしているか,犯罪の立証に足りる証拠はあるかなど,被疑者に刑罰を科すために必要な事項を精査し,刑罰を科せられない可能性が見込まれる場合には,不起訴処分の対象となります。
このような法律的な判断に際して,不起訴を求める意見を述べたり捜査機関との協議を試みたりするには,専門家である弁護士の存在が不可欠でしょう。認め事件のみならず,否認事件でも弁護士選びが不起訴処分を大きく左右することになります。

②取調べに適切な対応をしたいとき

置き引き事件で捜査を受けるとなれば,事件の内容に関する取り調べは避けられません。警察や検察から事件に関する話を聴取され,その内容を供述調書の形にすることは必須のステップとなります。
この点,事件によっては取調べへの対応次第で起訴不起訴の判断が大きく分かれる場合も少なくありません。特に置き引き事件の場合,立証に必要な証拠が数多く残されていることが期待できないため,足りない部分を取調べで埋め合わせる必要があることも考えられます。

そうすると,置き引き事件で不起訴を目指すためには,取調べへの対応を十分に準備し,不利益のない適切な取調べ対応を尽くすことが非常に重要となります。そして,適切な取調べ対応には弁護士の法的な判断や助言が極めて有益であるため,この点でも弁護士選びは重要な意味を持つことになるでしょう。

③早期釈放を目指したいとき

置き引き事件で逮捕された場合,その後の動き次第では早期釈放される可能性も十分に考えられます。
逮捕されると,最大72時間以内に「勾留」されるかが判断され,勾留された場合には10日間の身柄拘束が生じます。そして,勾留後には最大10日間の「勾留延長」がなされる可能性もあります。そうすると,起訴不起訴の判断までの間に,最長で23日程度の身柄拘束があり得るということになります。

もっとも,勾留されずに釈放となれば,最大72時間の身柄拘束にとどまり,日常生活への悪影響は最小限にとどまります。早期釈放は,生活を守るために極めて重要なものであり,その可能性があるならばできる限り目指すことが有益でしょう。
この点,釈放を目指す具体的な手続や申立てには,弁護士への依頼が必要となります。法律の手続に則って弁護士に対応をしてもらうことで,早期釈放の可能性が大きく上昇することは決して珍しくないでしょう。

④刑罰の軽減を図りたいとき

刑罰が避けられない置き引き事件の場合は,どれだけ軽微な刑罰にとどまるかが非常に重要な問題となります。刑罰には,大きく分けて「罰金」「執行猶予」「実刑」の3つがありますが,金銭を支払うことで終了する罰金が最も軽く,刑務所に収容させられる実刑が最も重い刑罰となります。
この点,罰金で終了させられることができれば,裁判所での裁判を受けることなく,略式手続という形で速やかに終了することも多いため,不利益は最小限にとどまります。罰金ではとどまらないケースでも,執行猶予となるか実刑となるかは,刑務所に収容されるかどうかという極めて大きな違いになります。

刑事罰の種類

刑罰の軽減を目指す場合,具体的な方法や内容は個別の事情を踏まえて決定する必要があるため,弁護士の専門的な判断が不可欠です。可能な限り円滑な解決を目指すためには,弁護士選びが重要となるでしょう。

置き引き事件の弁護士を選ぶ基準

①置き引き事件の解決実績

弁護活動は,過去の経験を踏まえた経験則を元に行うのが通常です。事件ごとによくある問題点や注意点なども,それが問題となった過去のケースを経験しているからこそ把握できるものです。

そのため,弁護士を選ぶ基準としては,過去に解決実績があるかどうかを重要なポイントとすることをお勧めします。この点,刑事事件の場合には,事件類型ごとに特徴が異なるため,置き引き事件の場合には同様の置き引き事件を解決した実績があると望ましいでしょう。

②示談交渉に長けているか

置き引き事件の解決は,否認事件でない限り示談交渉が不可欠です。認め事件では,被害者と示談が成立しているかどうかが最終的な刑事処分に直結していると言っても過言ではないでしょう。

そのため,置き引き事件での弁護士依頼では示談交渉を重視するべきですが,刑事事件の示談交渉に精通しているかどうかは,弁護士ごとに大きく異なります。特に,刑事事件では加害者側の立場で示談交渉をする必要があるため,相手に金銭などの請求をする事件とは勝手が違い,得手不得手の差が生じやすいものです。
しかも,置き引き事件の場合,盗品が被害者にとって思い入れのある場合など,金額面以外の点で被害者への配慮を要するケースが少なくありません。そのような特徴に無頓着だと,示談交渉が難航する原因にもなりやすいです。

置き引き事件で弁護士を選ぶ場合は,置き引き事件の加害者として示談交渉を行うことに長けているか,という基準を重視するのが有益です。

③弁護士と円滑に連絡が取れるか

弁護士への委任後は,事件に関する状況や進捗の把握を基本的に弁護士を通じて行うことになります。弁護士が捜査機関や被害者と接触した内容などを,弁護士から聞く形で把握していく,という流れが通常でしょう。

そのため,依頼した事件について不明な点は,全て弁護士から回答してもらう方法で解決する必要がありますが,弁護士とどのような方法,頻度で連絡を取ることができるかは,弁護士の取り扱いによる面が非常に大きいものです。
もちろん,弁護士も複数の事件を同時にこなしているため,常に連絡が取れるわけではありませんが,できるだけ連絡の時間を確保しようとしてくれるかは各弁護士の方針次第,というのが実情です。法律事務所によっては,連絡の窓口に弁護士が一切現れず,事務職員としか連絡が取れないということもあるようです。

弁護士選びに際しては,依頼後に弁護士と円滑に連絡が取れるか,という点を重要な基準とすることをお勧めします。可能であれば,弁護士が依頼者との連絡にどの程度時間を割いてくれるタイプの人か,という点も事前に把握したいところです。

④弁護士費用の見込みは具体的か

一般的な置き引き事件の場合,手続の流れにそれほど多くの可能性はありません。刑事事件の手続に精通している弁護士であれば,考えられる進行を一通り想定することが可能でしょう。
そのため,弁護士費用がどの程度発生するか,という金額の面についても,ある程度具体的な見通しを立てられる場合が多い傾向にあります。ある程度の幅はやむを得ず生じるものの,「この流れになればこのくらいの金額」というシナリオを一通り立てられるケースがほとんどです。

そこで,弁護士選びに際しては,依頼後の弁護士費用がどのくらいの金額になるか,という点の説明をできるだけ具体的に受けてみることをお勧めします。費用見込みの具体性に欠ける場合,金銭面に不安が残るのみでなく,具体的な説明をしてくれない弁護士への信頼にも大きな懸念が生じるため,依頼には慎重な検討が望ましいところです。

置き引き事件で弁護士に依頼する場合の注意点

①本人が依頼する

置き引き事件で必要となりやすい示談は,加害者と被害者の間における契約です。そのため,示談を試みるかどうか,示談ができる場合にどのような内容とするか,という点については,契約の当事者である本人の判断が必要となります。
また,弁護士が依頼を受けて活動をするためには,個別事件の詳細な内容を把握していなければなりません。そのため,弁護士が本人から事件の内容を直接聴取することは不可欠と言えるでしょう。

そうすると,弁護士に依頼する場合には,本人が依頼する,という考え方が非常に重要となります。弁護士も本人の意思が沿わない弁護活動はできないため,依頼者がご家族であっても,ご家族と本人の気持ちが一致していることは必要です。

②弁護士の聴取には個人差がある

弁護士への依頼は,法律相談を受けた上で検討することになりますが,弁護士がどのように話を聞くか,どのように回答してくれるか,話し方や言葉遣いはどうか,といった点は,当然ながら弁護士により大きく異なります。これは個人差の問題であり,依頼者目線では「合うか合わないか」という問題でもあります。
弁護士への依頼は,その後の弁護活動や判断の多くを弁護士に委ねるものであるため,弁護士との相性は思いのほか重要です。「この弁護士とは合わない」と感じながら依頼するのは,トラブルの原因にもなりかねません。

そのため,弁護士への相談においては,弁護士の応対には大きな個人差があることを念頭に置き,応対に違和感を覚えない弁護士(=自分と合う弁護士)を選ぶようにすることをお勧めします。

③相談時間には限りがある

弁護士への法律相談は,30分以内,又は1時間以内といった形で時間を区切って行われるのが通常です。その時間内で,必要な情報を伝え,弁護士から案内を受け,弁護士選びの検討を行う必要があります。
もっとも,その時間は決して長くはありません。無意識に相談時間を浪費してしまうと,肝心の弁護士選びに必要な話が聞けないまま相談が終了してしまう可能性もあるでしょう。

そのため,弁護士選びに際しては,弁護士への法律相談に時間的な制限があることを踏まえ,弁護士選びの基準や聞きたいことなどを可能な限り整理して法律相談に臨むことをお勧めします。そのようなスタンスは,法律相談をより有益な内容とする結果にもつながるでしょう。

置き引き事件に強い弁護士をお探しの方へ

置き引き事件の場合,対応次第では逮捕や前科を防ぐことのできる場合も少なくありません。
そのため,置き引き事件の捜査を受けることになってしまった場合には,速やかに弁護士へのご相談やご依頼を検討するのが非常に有益です。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
置き引き事件は少しでも早い対応が大事になりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所