刑事事件を起こすと国家資格を失う?逮捕されたら?起訴されたら?弁護士に依頼すると回避できる?弁護士がすべて解説

●逮捕されると国家資格に影響があるか?

●不起訴になれば国家資格への影響はないか?

●どんな刑罰を受けると国家資格がなくなってしまうか?

●自分の国家資格について確認する方法が知りたい

●国家資格がある場合の刑事事件は弁護士に依頼すべきか?

といった悩みはありませんか?

このページでは,刑事事件の国家資格への影響についてお困りの方に向けて,刑事事件と国家資格の関係や,国家資格への影響を避ける方法などを解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

逮捕と国家資格の関係

刑事事件の国家資格に対する影響は,それぞれの資格に関する法律で定められていますが,逮捕されたことを理由に国家資格を失う定めはないため,逮捕されても国家資格に影響の生じることはありません。
そのため,国家資格との関係では,逮捕されるかどうかよりも,最終的にどのような処分を受けるのかという点が重要な基準になります。

不起訴処分の場合の国家資格への影響

刑事事件では,捜査機関が捜査を遂げた後,検察官において起訴又は不起訴の処分がなされます。起訴された場合には,裁判所で刑罰を科すかどうかの判断に移りますが,不起訴の場合にはその判断に移ることなく手続が終了します。そのため,不起訴処分になれば刑罰をうけることはありません。

そして,国家資格に関する法律は,資格者が一定の刑罰を受けたことを要件に国家資格への影響が生じるとの定めになっています。そのため,不起訴処分になったケースであれば,国家資格への影響が生じることはありません

ただし,懲戒処分の可能性に注意が必要となる場合はあります。公務員はその代表例ですが,刑罰を受けなかったとしても,職務に支障を来すような非違行為があれば,別途懲戒処分の対象となるリスクは否定できません。
懲戒処分を受ける場合,最も重大なものは懲戒免職,つまり職を失うという処分になるため,この場合には不起訴処分であっても仕事への影響が出てしまうことになります。
もっとも,懲戒処分は刑事処分の重さに比例して重くなるのが通常であるため,不起訴処分となったにもかかわらず懲戒処分で職を失うというのは,非常に例外的な場合に限られるでしょう。

ポイント
逮捕で国家資格に影響が生じることはない
不起訴処分で国家資格に影響が生じることはない
懲戒処分の対象になる可能性は否定できないが,非常に例外的

刑罰の程度と国家資格との関係

刑罰を受けた場合,国家資格に影響の生じる可能性がありますが,どの程度の刑罰によってどの程度の影響が生じるかは,それぞれの資格によって異なります。というのは,国家資格の場合,その資格を得られる条件や資格を失うケースなどについて,個別の法律にそれぞれ定められているためです。
そのため,具体的なケースで国家資格にどのような影響が見込まれるかは,個別に確認する必要がありますが,具体的なチェックポイントや確認手順を以下解説します。

国家資格と刑罰との関係 チェックポイント①対象になる刑罰の程度

まず,どのくらい重い刑罰であれば資格に影響を及ぼすのか,という点をチェックする必要があります。よくある定め方としては,以下のようなものがあります。

①罰金以上の刑対象:罰金刑,執行猶予,実刑
②拘禁刑以上の刑対象:執行猶予,実刑
拘禁刑以上の刑
特定の犯罪類型では罰金以上の刑
基本的な対象は執行猶予、実刑
職務に関係する事件では罰金以上も対象

特に,その国家資格が罰金刑でも影響の生じるものなのか,特定の犯罪類型の場合だけ罰金刑が対象になるものなのか,など,罰金刑が絡むかどうかは大きな区別の目安になるでしょう。

国家資格と刑罰との関係 チェックポイント②絶対と相対

国家資格に影響を与える場合,懸念されるのは資格を失うことですが,「絶対に失う」か「失うことがある」のかは資格により異なり,チェックが必要です。

チェックポイントとしては,こちらの方がより重要です。
絶対に失うのであれば是が非でも刑罰を避ける必要がありますし,失うことがあるという定めであれば,必ずしも刑罰を避けなければならない,というわけではなくなります。この差異は非常に重大です。

なお,「絶対に失う」という場合を「絶対的」欠格事由「失うことがある」という場合を「相対的」欠格事由といいます。
絶対的か相対的か,という区別は確実にチェックするようにしましょう。

ポイント
対象となる刑罰は,罰金以上・禁固以上・特定の犯罪類型のみ罰金以上とする場合のいずれかが多い
刑罰の国家資格への影響には「絶対的」と「相対的」がある

国家資格と刑罰との関係 確認手順

法律を読む機会がないと,条文が羅列される中で必要な情報を確認することは容易ではありません。そこで,以下では国家資格と刑罰の関係について,個別の資格に関する定めを確認するための基本的な手順を解説します。

①自分の国家資格と関係する法律を見つける

まずは,該当する法律を特定する必要があります。もっとも,医師であれば医師法,弁護士であれば弁護士法など,その特定自体は特に難しくないことが多いでしょう。一般的には,その資格の名称が法令名に含まれていることが多く見られます。

中には,保育士について児童福祉法に定められているなど,資格の名称と法令名が一致しない例もありますが,業務に関係のない名称の法令であることはないと考えてよいでしょう。

②資格が与えられない場合の定めを見つける

国家資格に関する法律には,資格が与えられない場合に関する定めが設けられています。
資格が与えられない要件に該当してしまっていれば,もし受験に合格などしても,資格を取得することができません。

例えば,医師法では,4条に以下のような定めがあります。

次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。
一 心身の障害により医師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
二 麻薬、大麻又はあへんの中毒者
三 罰金以上の刑に処せられた者
四 前号に該当する者を除くほか、医事に関し犯罪又は不正の行為のあつた者

医師の場合,上記4つ場合のいずれかに当たると,他の条件を満たしていても免許を与えられないことがあることになります。

③資格を失う場合も同じルールであることを確認する

国家資格に関する法律では,資格を失う場合の定めを設けるとき,資格が与えられない場合の定めを流用するのが一般的です。資格を与えられないのか失うのかは,資格を得た前後の違いしかないため,そのルールは概ね共通します。
そのため,資格が与えられない場合の定めを確認できた場合には,資格を失う場合も同じルールであることを確認するのが円滑です。

同じく医師の場合を例に挙げると,医師法7条1項に以下のような定めがあります。

医師が第四条各号のいずれかに該当し、又は医師としての品位を損するような行為のあつたときは、厚生労働大臣は、次に掲げる処分をすることができる。
一 戒告
二 三年以内の医業の停止
三 免許の取消し

若干付け加えられてはいますが,基本的には4条のいずれかに該当する場合に免許取り消しを含む処分をすることができる,というルールになっています。4条は免許が与えられない場合の定めなので,免許を取り消すときのルールも概ね共通していることが分かります。

ポイント 確認手順
①該当する法律を特定
②資格が与えられない場合の定めを確認
③資格を失う場合も同じルールを用いていることを確認

刑罰による国家資格の影響一覧

資格制限の生じる刑罰の程度とその効果を基準に分類し,以下に一覧にして紹介します。
(厳密には資格に該当しないものも含みます)

①「罰金刑以上」で「相対的に」資格を失う場合

【対象資格】【制限の内容】
医師取消又は3年以内の停止
歯科医師取消又は期間を定めて停止
獣医師取消又は期間を定めて停止
保健師・助産師・看護師取消又は3年以内の停止
薬剤師取消又は3年以内の停止

②「拘禁刑以上」で「絶対的に」資格を失う場合

【対象資格】【対象期間】
公認会計士刑の執行終了後3年までの間
司法書士刑の執行終了後3年までの間
行政書士刑の執行終了後3年までの間
社会保険労務士刑の執行終了後3年までの間
税理士(※)刑の執行終了後5年までの間
国家公務員刑の執行終了までの間
地方公務員刑の執行終了までの間
教員・校長刑の執行終了後3年までの間
保育士刑の執行終了後2年までの間
建築士刑の執行終了後5年までの間
宅地建物取引業者刑の執行終了後5年までの間
宅地建物取引士刑の執行終了後5年までの間
建設業の許可刑の執行終了後5年までの間
土地家屋調査士刑の執行終了後5年までの間
不動産鑑定士刑の執行終了後3年までの間
中小企業診断士刑の執行終了後3年までの間
業務管理主任者刑の執行終了後2年までの間
取締役・監査役・執行役刑の執行終了までの間
※国税関係法令,地方税関係法令,税理士法の違反の場合

③「拘禁刑以上」で「相対的に」資格を失う場合

【対象資格】【対象期間】
古物商許可(※)執行後5年までの間
通関業許可(※)執行後3年までの間
警備業者・警備員(※※)執行後5年までの間
特定保険募集人(※※※)執行後3年までの間
※ 許可前では「絶対的」に不許可となる
※※ 開始段階では「絶対的」にできない
※※※ 登録前では「絶対的」に登録拒否

④特定の事件類型に限り「罰金刑以上」で「絶対的に」資格を失う場合

【対象資格】【対象となる法令】【対象期間】
税理士国税・地方税関係法令,税理士法執行後3年までの間
社会保険労務士労働社会保険諸法令執行後3年までの間
建築士建築士法又は建築に関する罪執行後5年までの間
古物商許可(※)窃盗・背任・占有離脱物横領・盗品等罪執行後5年までの間
※許可前では「絶対的」に不許可

国家資格がある場合の刑事事件は弁護士に依頼すべきか

国家資格がある場合の刑事事件は,その刑事処分の重さが直接資格に影響を及ぼす恐れが大きくあります。そのため,弁護士に依頼し,できる限り刑事処罰の回避や軽減を目指すのが適切でしょう。

また,自分の資格が失われる可能性があるのか,失われるのはどのような場合なのかは,やはり自身での確認が困難ではあるので,弁護士に依頼し,専門的なアドバイスを受けながら方針を決めるのが適切です。方針を誤れば,結果的に国家資格への影響が生じ,動いた意味がないという事態にもなりかねません。

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

国家資格がある場合,資格の内容によっては刑事処分を若干軽減するだけでは問題解決にならない場合があります。
刑事処分の見通しは,刑事手続の初期段階で立てる必要があるので,国家資格への影響も初期段階で検討しなければなりません。
個別の資格に応じた具体的な対応については,刑事事件に精通した弁護士への相談・依頼が適切でしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

従業員が逮捕された場合何ができる?状況を把握する方法や処分軽減のための対応法、会社への影響などを弁護士が解説

●従業員が逮捕されたが,何をしてあげられるか?

●従業員の事件について,内容や状況を把握することはできるか?

●従業員のために自分が弁護士を選ぶことはできるか?

●従業員の刑事処分を軽くするためにできることはあるか?

●従業員を雇用し続けると意思表明するのは従業員に有利になるか?

●従業員に前科がついた場合,会社にとって不利益はあるか?

といった悩みはありませんか?

このページでは,自社の従業員が刑事事件の当事者となった場合の対応でお困りの方に向けて,従業員のためにできること弁護士への依頼に関する注意点などを解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

従業員が逮捕された場合に状況を把握する方法

①弁護士接見の重要性

従業員が逮捕された場合,被疑者である従業員の関係者に対して捜査機関から十分な情報が提供されることは期待できません。そのため,状況を把握するためには従業員本人から聴取する必要が生じます。
もっとも,特に逮捕直後には面会することも困難であり,警察が特に許可しない限り直接聴取することはできません。

そのため,弁護士に依頼し,弁護士に接見をしてもらう方法で,本人から事情を聴取するのが適切な手段となります。弁護士であれば曜日や時間帯を問わず接見を行い,従業員の方から話をお聞きすることが可能です。あわせて,弁護士が専門的な見地から今後の対応などについて助言をし,適切な対応を促すこともできるでしょう。

②従業員家族との連携

従業員の家族には,警察から連絡が入り,何らかの内容が告げられている場合も多いです。そのため,状況や内容を把握するための手段としては,従業員家族との連携も非常に重要でしょう。
その後の動きに際しても,ご家族と一緒に進めることによって,より円滑な対応ができる局面の増えることが見込まれます。

③報道を通じた確認は適切か

従業員の事件が報道された場合,その報道内容を通じて事件の内容を把握することも考えられます。
しかしながら,報道を通じた事件の把握には注意すべき点があります。

まず,報道される事件の内容が事実関係を網羅したものではない,ということです。
報道は,紙面や文字数の制限,その時点で得られる情報の限りなどがあり,どうしても事件の一部分を強調したものにならざるを得ません。そのため,報道のみで情報の把握を試みようとすると,事件の理解に不十分なところが生じやすいでしょう。

また,被疑者の認否に関する報道内容が正確でない可能性がある,という点も挙げられます。
報道においては,被疑者の認否が簡潔に報じられますが,その内容は被疑者の実際の認否を正しく反映したものでないことが少なくありません。実際に,報道で「容疑を否認している」と報じられていた事件の接見を行った際,実際は被疑者が全面的に認めていたという場合もあるため,直接本人の言い分を聴取しないかぎりは鵜呑みにしない方が適切でしょう。

従業員のために弁護士への依頼ができるか

①弁護人の選任ができるか

従業員のためを考える場合,従業員の弁護を行う弁護人を会社関係者の判断で選任したい,と考えるケースはあると思います。
しかし,法律上,会社関係者に従業員の弁護人を選任する権利はありません。弁護人選任権者は,被疑者・被告人,その法定代理人,補佐人,配偶者,直系の親族及び兄弟姉妹と定められているためです。弁護人を選任できるのは,基本的に本人とその家族に限られるという理解でも差し支えないでしょう。

②従業員のために弁護士へ依頼ができるか

もっとも,会社関係者が従業員のために弁護士をつけるのは,従業員にとっても有益なことが多いでしょう。特に,刑事事件の弁護活動には期間制限が付きまとうため,刑事事件で弁護人を選任するのは少しでも早いに越したことがありません。

そこで,先に会社関係者が従業員のために弁護士へ依頼(弁護士と契約)してしまう,という方法は非常に有力です。あくまで会社の人と弁護士が契約する,というのみなので,法律で制限されるものではありません。依頼後,弁護士が従業員の方と接見し,その意思を確認することができれば,本人から弁護士を弁護人として選任してもらうことができ,弁護活動に着手することができるでしょう。

【流れまとめ】

①弁護士との契約従業員のための契約だが,契約者はあくまで会社関係者と弁護士
②従業員に接見弁護士が従業員と接見し,弁護人選任の意思を確認
③従業員による選任弁護人選任権のある従業員が,弁護士を弁護人に選任
④弁護士の活動開始弁護人に選任されれば,弁護活動に着手することができる

従業員の刑事処分を軽くする方法

①会社関係者の働きで従業員の処分が軽減する場合

従業員の刑事処分を判断する際には,その従業員が今後どれだけ安定した生活を送る見込みであるか,周囲に理解者のある環境があるか,という点が考慮の対象になります。なぜなら,それらの事情は従業員の再犯可能性に重大な影響を及ぼすからです。
刑事処分後,不安定な生活を強いられる人の場合,犯罪に及ぶ際の心理的な障壁が低くなりやすく,犯罪の歯止めに欠けるとの理解がなされる傾向にあります。また,周囲に理解のある監督者がいない場合,やはり犯罪を食い止めることが難しく,再犯可能性が高いと判断されやすくなります。

そのため,会社関係者が今後も従業員との関係を継続する予定であることや,従業員の更生のために協力する意向であることなどが明らかになれば,従業員の刑事処分は軽減する可能性があります。
刑事処分後も従業員への協力を続ける予定である場合には,その旨を適切な相手に適切な方法で表明するのが望ましいでしょう。

②具体的な対応方法

【捜査段階】
→捜査の終了時に,検察によって起訴又は不起訴の判断が行われることとなります。そのため,判断を行う検察官に対し,不起訴処分を促す事情の一つとして会社関係者の協力体制を示すのが適切です。

【公判段階(起訴後)】
→公判では,検察官と弁護人がそれぞれ提出する証拠を踏まえて,裁判官が判決の内容を検討します。そのため,公判期日において,その裁判手続の中で提出する証拠として裁判所に示すのが適切です。

【提出物】
→基本的には内容を書面化することが適切です。具体例は以下の通りです。
・陳述書や上申書(会社関係者の話を書面化したもの)
・電話聴取書や報告書(弁護士が聞いた内容を書面化したもの)
・会社関係者の署名

従業員が刑罰を受けた場合の会社への影響

刑事責任は専ら個人責任であるため,従業員が刑罰を受けても会社に法律的な影響が生じることは基本的にありません。企業イメージの悪化や業務の混乱・停滞といった影響は懸念されますが,会社が法律的に不利益を被ることはないと理解してよいでしょう。

もっとも,従業員が資格を利用した仕事をしている場合,その資格に影響が生じることで業務への影響が生じることは考えられます。特に建築関係で影響の生じるケースが散見されますが,土地建物関係を例とすると,以下のようなものが挙げられます。

①建築士拘禁刑以上の刑又は建築に関する罪の罰金刑で免許取消
②宅地建物取引業者拘禁刑以上の刑で免許取消
③宅地建物取引士拘禁刑以上の刑で登録削除
④建設業拘禁刑以上の刑で許可取消
⑤土地家屋調査士拘禁刑以上の刑で登録取消
⑥不動産鑑定士拘禁刑以上の刑で登録削除

従業員がこれらの資格制限の対象となった場合,従業員の業務に制限が生じる結果,会社業務への影響が避けられず生じることがあり得ます。

従業員の刑事事件で弁護士を依頼すべきか

①ご家族との連携ができる場合

ご家族と連絡が取れ,その意向が確認できる場合には,会社関係者の方と従業員家族との間で方針や希望が合致しているか十分に協議することをお勧めします。それぞれが別に弁護士への依頼を検討しており,二つの依頼が競合してしまうと,かえって弁護活動の遅滞が生じ,従業員の不利益になってしまうためです。

また,弁護士探しや弁護士への依頼,依頼後の連絡窓口をするのは誰か,という点も十分に調整の上,情報共有ができる段取りをご家族との間で取っておくのが適切です。関係する人数が増えるほど情報共有が不足しがちですが,関係者すべてが弁護士と直接連絡を取るのも現実的でないため,弁護士とのやり取りや関係者間での情報共有の方法は明確にするのが有益でしょう。

②ご家族との連携ができない場合

ご家族と連絡が取れる間柄にないなど,連携が困難な場合には,まず弁護士と従業員本人の接見を実施し,ご本人の意向を確認するのが適切でしょう。多くの場合,従業員本人が拒否の意向を示すことは考えにくいですが,念のためご本人の意向を確認の上,確認ができ次第弁護活動に着手する,という流れが円滑です。

また,もし会社関係者の方と従業員本人の面会が可能な状況であれば,留置施設での面会を実施し,弁護士に依頼したいとの気持ちをお伝えの上,事前に従業員の了承を得ておくことも有力です。

刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

従業員が刑事事件の当事者となった場合,事業への影響が生じるだけでなく,従業員との関係によっては力になってあげられないかと悩みが生じる方もおられるかと思います。
従業員本人やその家族と一枚岩になることができれば,勤務先の方のお力添えは非常に心強いものであり,本人の刑事処分にとっても大変有益でしょう。
具体的な対応方法については,刑事事件に精通した弁護士への相談・依頼を検討してみてください。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

未成年の刑事事件の特徴は?どんな処分をされるのか?逮捕される?前科は?将来の影響を防ぎたい方への徹底解説

●未成年の場合,刑事事件の取り扱いはどうなるのか?

●取り扱いが変わるのは18歳か?20歳か?

●未成年は何歳から逮捕されるか?

●未成年が逮捕された場合,早く釈放してもらえないか?

●少年院とは何か?少年鑑別所とは何か?

●未成年の事件は弁護士に依頼すべきか?

といった悩みはありませんか?

このページでは,未成年に対する刑事事件(少年事件)についてお困りの方に向けて,少年事件の制度や年齢別の取り扱い手続や処分(処遇)の内容などを解説します。

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藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

未成年と成人の刑事事件の違い

①制度の違い概要

未成年が行った刑事事件は,「少年事件」といい,成人と異なる手続の対象となります。
少年事件と成人の刑事事件は,その制度の目的が異なるため,手続にも様々な違いがあります。

成人の刑事事件は,犯罪に対して刑罰を行う手続であるのに対し,少年事件は,少年がどうすれば更生できるのかを検討するための手続です。そのため,少年事件では刑罰が科されず,代えて少年の更生に必要な「保護処分」がなされることとなります。
保護処分としては,少年院に収容して更生を図る「少年院送致」や,保護観察所・保護司による監督を通じて更生を図る「保護観察」が代表的ですが,いずれも犯罪に対する制裁でなく,非行からの立ち直りに向けた措置であるという特徴があります。

②共通点

未成年と成人では,刑事事件に対する手続が異なりますが,手続の共通点もあります。
具体的には,事件が捜査されている間の取り扱いは,未成年と成人との間で基本的に相違はありません。

厳密には,未成年の場合のみ少年鑑別所での勾留ができるといった違いもありますが,逮捕や勾留,勾留中の捜査など,基本的な枠組みは同様です。
未成年と成人との違いが鮮明に現れるのは,犯罪捜査が一段落した後の手続ということになるでしょう。

何歳までが成人と区別されるか

少年事件の対象となる年齢は,20歳未満とされています。近年,成人年齢が20歳から18歳となる法改正もありましたが,少年事件の対象年齢に変更は生じていません。
そのため,少年事件の対象となる「少年」は,20歳未満の男女を指します。

ポイント
20歳未満は少年事件の対象になる
少年事件は刑罰を科すのでなく更生を図るための手続
捜査されている間の取り扱いは,成人の事件と基本的に同じ

18歳以上の場合の特例

もっとも,成人年齢が18歳へ引き下げられたことに伴い,18歳以上20歳未満の少年については,取り扱いに新たな定めが設けられました。
少年が18歳又は19歳の場合,「特定少年」とされ,主に以下のような違いが生じます。

①原則逆送事件の拡大

逆送とは,成人の刑事事件と同じ扱いを受けること,と理解して差し支えありません。
少年でありながら,成人のように刑罰の対象になることを指します。
少年事件でも,「原則逆送事件」に該当すると,原則として成人と同じように刑罰を受けることになるのです。

特定少年の場合は,他の少年よりも原則逆送事件の範囲が広くなっています。具体的な要件は以下の通りです。

・罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるとき
・故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた罪の事件
・死刑又は無期若しくは短期1年以上の拘禁刑に当たる罪の事件

特徴的なのは,家庭裁判所が「刑事処分を相当と認めるとき」に可能である点と,「短期1年以上」の罪の事件でも原則逆送となっていることです。
特定少年以外では,「16歳以上」かつ「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件」のみが原則逆送事件とされているため,その範囲は大きく広がっていることが分かります。

②実名報道の一部解禁

少年については,少年法で実名報道が禁止されていますが,特定少年については,逆送後にその事件で起訴された場合に実名報道の禁止がありません。

なお,起訴後に実名報道の禁止がなくなるのは,「公判請求」された場合のみです。公判請求は,公開の法廷で正式な刑事裁判を行う内容の起訴をいいます。
公判請求と対になるのは「略式請求」で,こちらは公判を省略する内容の起訴です。略式請求の場合は,引き続き実名報道は禁じられます。

③保護観察や少年院送致の期間

通常,保護観察や少年院送致を行う場合,期間を定めずに処分されていましたが,特定少年の保護処分は期間の定めをあわせて行う必要があります。具体的な内容は以下の通りです。

・6月の保護観察
・2年の保護観察
・3年以内の少年院送致

また,特定少年の場合,「犯罪の軽重」を考慮して処分を決めることとされたため,重大な犯罪であるほど少年院送致になりやすく,その期間も長くなりやすいとのルールになりました。

④不定期刑の不適用

少年事件が逆送され,刑罰の対象になる場合,「不定期刑」を科すのが原則です。「●年以上●年以下の拘禁刑」というように,刑罰の期間に幅を設け,少年の更生が見られた場合に刑罰を軽減させる目的があります。

しかし,特定少年の場合にはこの不定期刑が適用されないため,言い渡される刑罰は成人と同じものになります。

未成年は何歳から逮捕されるか

少年の犯罪行為が確認された場合,捜査機関が逮捕を行うのは,少年が14歳以上の場合です。
法律上,刑事責任を負うのが14歳以上とされているため,捜査(逮捕を含む)を行う対象も14歳以上とされています。
なお,14歳以上で犯罪行為に及んだ少年を「犯罪少年」と言います。犯罪少年は逮捕されることがあります。

一方,14歳未満の場合,刑事手続の対象とはなりませんが,児童福祉法に基づいて児童相談所が保護措置を取ることになります。
保護措置としては,一時保護,保護者指導,施設入所といったものがありますが,刑事事件として捜査を受けることはありません。
なお,14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年を「触法少年」と言います。触法少年の行為は犯罪にならないため,触法少年は逮捕されません。

ポイント
14歳未満は逮捕されない
14歳以上は逮捕され得る
18歳,19歳は「特定少年」とされ取り扱いが成人と近くなる

未成年の刑事事件の特徴 ①起訴・不起訴がない

少年事件の場合,警察や検察で捜査が遂げられた後,原則として全ての事件が家庭裁判所に送致されます。その後,家庭裁判所における審判の対象となり,保護処分がなされます。
そのため,検察庁が捜査を遂げた段階で,少年を起訴することはできず,逆に不起訴とすることもできません(逆送された場合を除く)。

これは,刑罰を科せられないという意味で有益であることは間違いありません。ただ一方で,成人であれば不起訴で終了したであろう事件でも,少年の場合には家庭裁判所で審判を受けなければならない可能性がある,という意味でもあります。刑罰を科す必要がなくなっても,更生の必要がないということにはならないわけですね。

未成年の刑事事件の特徴 ②処分は家庭裁判所が決定する

少年事件の最終的な処分は,家庭裁判所によって決定されます。家庭裁判所による少年への処分としては,以下のようなものが挙げられます。

①保護観察
概要: 少年を家庭や社会の中で更生させるために,保護観察官が指導監督を行います。
目的: 少年が社会生活を送りながら更生できるよう支援すること。
期間: 原則として20歳まで。短期の場合は6か月程度で解除が検討される。

②児童自立支援施設送致
概要: 少年が家庭や社会から離れて生活することが必要と判断された場合,児童自立支援施設に入所させる。
目的: 生活指導や職業訓練を通じて,少年の自立を支援すること。
期間: 少年の状況に応じて施設に収容される期間が決まる。

③児童養護施設送致
概要: 家庭環境が悪い少年に対し,適切な養護と生活指導を提供するために児童養護施設に入所させる。
目的: 安定した環境での生活を提供し,少年の健全な成長を支援すること。
期間: 少年の状況に応じて施設に収容される期間が決まる。

④少年院送致
概要: 重度の非行や犯罪行為を行った少年に対し,更生と再教育を目的として少年院に収容する。
目的: 専門的な教育や訓練を通じて,少年の更生を図ること。
期間: 少年の更生状況に応じて決定される。標準期間は1年程度。

⑤試験観察
概要: 一定期間,家庭裁判所の観察下に置き,少年が更生するかどうかを見極める。
目的: 少年が再び非行を犯さず,社会生活を送れるかどうかを判断すること。
期間: 数ヶ月程度が一般的。

⑥その他の措置
家庭裁判所の指導
→保護者に対して少年の監督や教育の方法について指導が行われることもあります。
福祉機関との連携
→少年の状況に応じて,福祉機関や医療機関との連携が図られ,必要な支援が提供されます。

⑦一般的な運用
基本的には,保護観察とするか少年院送致とするか,という判断になります。
どちらにするかの判断が難しいケースでは,試験観察として一定期間保護観察類似の状況に置き,試験観察中の経過を踏まえて保護観察で足りるかを判断することがあります。

未成年の刑事事件の特徴 ③裁判でなく審判が行われる

少年事件は,「審判」という手続で処分が決定されるのが一般的です。
この審判は,成人の受ける裁判(公判)とは多くの面で異なるものですが,代表的な相違は以下の通りです。

①非公開であること

少年審判は非公開の場で行われます。これは,少年のプライバシーを保護することで,更生の機会を確保するための制度であるとされています。
成人の公判が原則として公開されていることとは非常に大きな違いと言えます。

②調査の上で行われること

少年審判は,家庭裁判所における「調査」の上で,調査の結果を踏まえて行われます
調査は,家庭裁判所の調査官が中心となって,少年の家庭環境や内面の問題点などを把握するための手続です。調査官は,少年とコミュニケーションを取ったり,家族と面談を行ったりしながら,審判においてどのような保護処分を行うべきか検討し,裁判官に進言します。

調査官は,審判の場にも立ち会い,少年への指導を兼ねた質問を行うなどすることもあります。裁判官の判断は,調査官の意見を強く尊重する傾向にあるため,調査官の存在は少年審判において非常に重要です。

③教育的配慮がなされること

少年審判は,少年の更生のため最良の処分を決定するものであるため,少年に対する教育的配慮の上で行われます。裁判官や調査官は,少年から期待する回答が得られなかったり,少年の理解が不足していたりする場合には,粘り強く質問や説明を繰り返すことで少年の理解や反省を促すこともあります。

④保護者が同席すること

少年審判では,親権者等の保護者による同席が一般的です。保護処分の検討には,処分後の少年の環境が非常に重要な判断要素となるため,保護者に対しても事件の受け止めや今後の監督方針などが質問されます。
出席者は同居する親であることが通常ですが,その他,雇用を継続する予定の雇用主や,少年と関わりの深い教員の出席が有益なケースもあり得るところです。

未成年の刑事事件の特徴 ④処分の判断基準は「要保護性」

①要保護性とは

少年審判における保護処分は,「要保護性」を基準に判断するものとされています。
要保護性とは,少年の更生を実現するために外部からはどれだけ手を出す必要があるか(保護の必要があるか)という程度を言います。要保護性が高い場合は,少年院送致などの保護処分が必要になり,要保護性がない場合は,特段の処分なく少年や家族に委ねても構わない,という結論になるでしょう。

②要保護性の判断基準

要保護性の判断要素としては,以下のようなものが挙げられます。

非行の内容と状況
→非行の種類として,少年が犯した非行や犯罪の内容,その重大性や継続性が判断基準となります。また,犯行時の状況として,非行を行った際の状況や背景,計画性の有無なども考慮されます。

少年の性格や行動特性
→性格評価として,少年の性格,行動特性,精神状態などが調査されます。攻撃性や衝動性,反社会的行動の傾向などが評価の対象となります。また,更生の可能性に関し,少年が反省しているか,更生の意欲があるかなども重要な要素です。

家庭環境と生活環境
→家庭の状況として,少年の家庭環境,親の監護能力,家庭内の問題(例えば,虐待や家庭内暴力の有無)などが評価されます。また,学校生活や地域社会での関係,友人関係など,日常生活の環境も考慮されます。

過去の非行歴
→少年が過去にどのような非行を行っていたか,その頻度や内容が判断材料となります。また,過去に保護処分を受けたことがあるか,その後の経過なども重要です。

③要保護性の判断方法

要保護性に関する調査は,主に調査官が行い,その結果を裁判官が確認する方法で判断されます。調査官は,要保護性の有無について裁判官に意見を提出し,裁判官はそれを尊重するので,調査官に要保護性がないとの意見を出してもらうことができれば,それだけ軽微な処分が見込まれることになります。

ポイント
少年の刑事事件は起訴不起訴の対象とならず,少年審判の対象になる
少年審判は家庭裁判所にて必要な調査の上で行われる。判断の基準は要保護性

少年院とは・少年鑑別所とは

①少年院

少年院は,非行や犯罪を犯した少年を収容し,更生と教育を行う施設です。施設に収容の上,学習教育,職業訓練,生活指導,矯正教育などのプログラムを提供することで,少年の更生を図ります。
少年院には,以下のような種類があります。

第1種少年院(従来の初等・中等少年院)心身に著しい障害がない概ね12歳以上23歳未満の者が対象
第2種少年院(従来の特別少年院)心身に著しい障害がなく,犯罪傾向が進んだ概ね16歳以上23歳未満の者が対象
※第1種よりも事件の重大性や再非行の恐れが大きい
第3種少年院(従来の医療少年院)心身に著しい障害がある概ね12歳以上26歳未満の者が対象
第4種少年院刑の執行を受ける者が対象
第5種少年院特定少年のうち,2年間の保護観察処分を取り消された者が対象

②少年鑑別所

少年鑑別所とは,少年の心身の状態や生活状況を鑑別するための施設です。
通常,被疑者として勾留された後,家庭裁判所に送致された段階で,少年鑑別所に移され,収容が継続します。少年鑑別所での鑑別結果も,調査官の意見や裁判官の保護処分に影響します。
基本的に,少年事件が家庭裁判所に送致された後,審判が行われるまでの間,少年が収容される施設と理解して差し支えないでしょう。

主な特徴は以下の通りです。

【鑑別の内容】

心理鑑別心理検査や面接を通じて,少年の性格,精神状態,非行の原因などを評価します。
身体鑑別少年の身体的健康状態を確認するための健康診断や医学的評価が行われます。
生活環境調査少年の家庭環境や生活状況を調査し,非行に至る背景や更生のために必要な環境要因を評価します。


【鑑別技官の存在】
鑑別技官(専門職)は,少年の心身の状態や生活環境を科学的に評価し,家庭裁判所に対して鑑別結果を報告します。鑑別技官には,心理学,医学,教育学などの専門知識を持つ職員が含まれます。

【生活環境】

規則正しい生活少年鑑別所では,規則正しい生活が求められます。日課表に基づいて,学習や運動,面談などが行われます。
教育プログラム鑑別期間中,少年は基礎的な学習や生活指導を受けます。特に,鑑別の結果に基づいた個別指導が行われることもあります。

【収容期間】
原則として4週間とされ,概ね4週目に少年審判が行われる傾向にあります。
審判の結果,保護観察処分や不処分になると,審判が終了次第帰宅することができます。

未成年の事件は弁護士に依頼すべきか

少年事件は,審判というあまり馴染みのない手続の対象となる上,審判に向けた環境調整や更生の試みは早期に開始する必要があります。それらの対応は,手続に精通した弁護士への依頼が適切です。

また,少年の場合,成人よりも変化に富んでおり,事件直後と審判終了時では別人のように成熟するケースも少なくありません。そのような少年に対する処分は,必然的に軽微なものとなりやすいです。審判に向けて少年の成熟を促すため,少年事件に精通した弁護士への依頼が適切でしょう。
もっとも,これは周囲の適切な協力を前提とするものであって,少年がひとりでに変化していくわけではありません。具体的な協力の内容や方法は,事件や少年により様々ですので,あわせて弁護士へのご相談をお勧めいたします。

加えて,被害者のいる事件で被害者との示談を試みる場合にも弁護士が必須です。被害者との示談は最終的な処分にも多大な影響を及ぼしますので,この点でも弁護士に依頼するべきということができるでしょう。

未成年の刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

未成年が当事者となった刑事事件は,成人とは異なる手続の対象になります。処分の内容や判断基準も異なり,必然的に必要な弁護活動も異なってきますので,未成年の刑事事件(少年事件)に精通した弁護士への相談・依頼が適切でしょう。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
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特設サイト:藤垣法律事務所

公務員が刑事事件を起こすと職場にバレる?起訴されると失職する?前科がついた場合は?制度の詳細や弁護活動を解説します

●公務員が被疑者の場合,取り扱いに特徴はあるか?

●公務員の事件は職場にバレてしまうのか?

●公務員が逮捕されると職を失ってしまうのか?

●公務員が起訴されると職を失ってしまうのか?

●弁護士に依頼することで失職を防げるか?

といった悩みはありませんか?

このページでは,公務員の刑事事件についてお困りの方に向けて,公務員が被疑者・被告人となった場合の特徴や,公務員の仕事への影響などを解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

公務員が被疑者の場合の特徴 ①報道の対象になりやすい

公務員が被疑者となる刑事事件は,報道されやすいという特徴があります。刑事事件が報道される場合,逮捕された事件について,逮捕の直後に行われるのが一般的ですが,全てが報道されているわけではなく,報道の対象とすべき事件を取捨選択するのが基本的な運用です。

公務員の刑事事件が報道されやすい主な理由としては,以下の点が挙げられます。

①公務員の社会的責任
公務員は公共の利益のために働く立場にあり,高い倫理基準や責任が求められます。そのため,刑事事件に関与することは社会的な関心を引きやすく,報道価値が高いと見なされます。

②公共の信頼
公務員の不祥事は,政府機関や公共サービスに対する信頼を損なう可能性があります。メディアは公共の利益を守るために,このような事件を積極的に報道し,透明性と説明責任を確保しようとします。

③報道の役割
報道機関は公共の知る権利を守る役割を果たしています。公務員の刑事事件は公共の利益に関わるため,報道機関はこれを伝える義務があると判断することが多いです。

④市民の関心
市民は,公務員の行動が自分たちの生活に直接影響を与えるため,公務員の刑事事件には高い関心を持っています。この関心が報道機関の報道方針に影響を与えることがあります。

公務員が被疑者の場合の特徴 ②職場への通知がなされやすい

公務員の刑事事件は,職場である国や自治体への通知が見込まれやすいです。その主な理由としては,以下の各点が挙げられます。

①報道機関による報道
公務員の刑事事件は報道されやすく,報道を通じて事件が広く知られるため,職場の同僚や上司にも知られるきっかけとなることが多く見られます。

②警察からの通知
公務員が刑事事件に関与した場合,警察や検察は通常,所属する行政機関に通知します。これは,所属機関が適切な対応を取るために必要な手続とされることが一般的です。

③内部調査
公務員が刑事事件に関与した場合,所属する機関は内部調査を行うことがあります。この調査により,事件の詳細が職場内で共有されることになります。

④行政手続
公務員が刑事事件に関与した場合,懲戒処分などの行政手続が行われることがあります。この過程で,職場内で事件に関する情報が共有されることが多いです。

⑤職務上の影響
公務員の刑事事件は,その職務遂行能力に直接的な影響を及ぼす可能性があります。そのため,職場は迅速に対応する必要があり,事件に関する情報が共有されます。

公務員が刑事事件で受ける処分 ①休職させられることがある

公務員の場合,刑事事件の影響で仕事を休職させられる場合があります。
本人の意に反して休職させるこの制度を「起訴休職」と言い,国家公務員,地方公務員いずれにも存在するルールです。

①休職させられるケース

「起訴休職」という制度名の通り,起訴された場合に用いられる制度ですが,起訴された場合の全てに当てはまるわけではありません。
前提として,起訴のやり方には,大きく以下の二通りがあります。

公判請求公開の裁判を求める方法。公判を開いた上で,裁判所が判決を言い渡すことになります。
略式請求公判を省略し,書面の交付のみで裁判を行う方法。罰金の場合に限り行うことができます。

起訴する場合の手続は,公判請求するのが原則であり,例外的に軽微な処理で済ませる場合に略式請求を行う,という運用がなされています。

このうち,起訴休職の対象となるのは,公判請求をされた場合に限られます。略式請求は起訴休職の対象にはなりません。
そもそも,略式請求の場合には,起訴後ただちに裁判所の決定が出ることもある上,起訴された事実が分かるのが裁判所の決定後であることも多いため,現実的にも休職の措置を取ることは難しいでしょう。

②休職させられる理由

公務員が刑事事件の被告となることで職務の遂行に支障をきたす恐れがあることへの備えや,公務員としての信用を保持する目的があるとされています。
公務員が公共の利益のために業務を行う立場であること,その業務への国民の信頼が前提となることが,制度の背景にあります。

公務員が起訴されたという事実に着目した制度なので,起訴された事件の内容にかかわらず,公判請求された段階で起訴休職とされることになります。

③休職の期間

休職を要する期間は,起訴された日から判決が確定する日までとされています。
つまり,公判の手続が終了したと確認が取れるまでの間は,休職を強いられることになるのが通常です。

④休職中の給与

原則
休職期間中,給与を受けてはならないのが原則です。
起訴休職中の公務員は,職印としての身分を保有するものの,職務には従事しないため,職務の対価である給与も受けてはならない,ということになります。

特別の定め(国家公務員)
→国家公務員については,「一般職の職員の給与に関する法律」によって,起訴休職中にも,給与及び各種手当について60%以内の金額を支給することができると定められています。
一般的には,60%の金額を支給することが多いようです。

特別の定め(地方公務員)
→地方公務員の場合,各自治体の条例によって制度が定められることになりますが,国家公務員と同じく60%までの支給が可能であるとのルールになっていることが一般的です。

公務員が刑事事件で受ける処分 ②失職する場合

①失職の根拠となる制度

公務員の刑事事件では,法律上のルールとして直ちに失職する結果となる場合があります。これを「当然失職」と言います。
国家公務員については,国家公務員法に,地方公務員については地方公務員法に,それぞれ定めがなされています(ただし,地方公務員の場合は各自治体の条例で例外を定めることが可能です)。

当然失職の対象となるのは,拘禁刑以上の刑になった場合です。これは執行猶予付きの判決も含みます。
刑罰には,軽いものから罰金,執行猶予,実刑の概ね3種類あるところ,罰金以外は当然失職の対象であることになります。そして,罰金の場合は略式請求,執行猶予又は実刑の場合には公判請求されるのが通常であるため,公判請求された段階で休職,判決が確定した段階で失職,という流れをたどることが多く見られます。

②失職の理由

当然失職が生じるのは,公務員の欠格条項に関係しています欠格とは,その資格を欠いていることをいい,つまりは公務員になる資格を欠いているのはどういう場合かを定めたのが欠格条項です。

この点,公務員の欠格条項には,「拘禁刑以上の刑に処せられ,その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者」というものがあります。これは,「実刑や執行猶予の刑になると公務員になる資格がありませんよ」という意味です。

そのため,公務員になった後,実刑や執行猶予の刑罰を受けた場合,事後的に公務員となる資格がなくなったこととなるため,失職に至るというわけですね。
当然失職は,公務員の職務倫理や法的遵守が厳しく求められることを反映した措置であると言えます。

公務員が刑事事件で受ける処分 ③懲戒処分を受ける場合

当然失職の対象とならない場合,具体的には罰金刑や不起訴処分にとどまった場合については,別途懲戒処分の対象になるかどうかが問題になります。
刑事事件の対象となる行為は,「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行」に該当するため,国家公務員法及び地方公務員法に基づく懲戒処分の対象になることがあり得るのです。

①懲戒処分の種類

免職 職を解かれる最も重い処分。
停職一定期間の職務停止。期間中は給与が支給されません。
減給給与を減額する処分。一定期間、給与の一部が差し引かれます。
戒告書面での厳重注意。職務には影響しませんが、記録が残ります。

なお,懲戒免職の場合,退職手当法により退職の全部又は一部が不支給となるのが通常です。そのため,経済的にも非常に不利益の大きな処分となります。

②懲戒処分の判断基準

国家公務員の場合には,人事院が懲戒処分の指針を公表していますが,そこで示されている判断材料は以下の通りです。

・非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか
・故意又は過失の度合いはどの程度であったか
・非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか
・他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか
・過去に非違行為を行っているか
・日頃の勤務態度や非違行為後の対応等

刑事事件との関係では,刑事処分の重さと懲戒処分の重さが比例する傾向にあります。
重大な懲戒処分を避ける意味でも,刑事事件への対応は適切に行うべきでしょう。

ポイント 公務員の特徴
逮捕直後に報道されやすい
職場に事件が発覚しやすい
公判請求されると起訴休職の対象になる
執行猶予以上の刑罰を受けると当然失職の対象になる
当然失職の対象外である場合は,懲戒処分を受けるかが問題になる

公務員の事件で弁護士に依頼すべき場合

①刑事処分の軽減を目指す場合

公務員の刑事事件では,公務員としての地位への影響も生じるため,刑事処分の軽減を目指す必要性が他の場合よりも非常に高い,という点に特徴があります。
もっとも,刑事事件の処分を軽減させるのに必要な動きは,自分だけで取るのが非常に困難です。弁護士に依頼の上,具体的な活動方針や内容を十分に相談して実行に移すのが適切でしょう。

②懲戒処分の軽減を目指す場合

不起訴処分や罰金刑にとどまった場合,当然に失職することはありませんが,懲戒処分を受ける可能性は否定できません。このとき,懲戒処分は裁量的な判断の対象になるため,その裁量の範囲内でできるだけ軽い処分にもらうよう試みることが適切でしょう。
弁護士に依頼した場合は,刑事処分を可能な限り軽くすることはもちろん,懲戒処分の判断に際しても意見書を提出するなどし,法律家及び弁護人の立場から処分の軽減を促す活動が可能です。

③職務への影響を防ぎたい場合

特に,逮捕や勾留といった身柄拘束の対象になる場合には,職務や職場関係者に大きな影響を及ぼすことが避けられません。中でも,刑事事件の内容や状況が職場にどう伝わるか,という点は,非常に重大な問題となりやすいところです。
弁護士に依頼した場合,弁護士から適宜適切な情報提供を行うなどしながら,職務や職場関係者に対する影響を最小限に抑える弁護活動が可能です。

公務員の刑事事件に強い弁護士をお探しの方へ

公務員の方は,公共の利益を代表する立場にあることから,刑事事件の被疑者・被告人となった場合には民間の方とは違う不利益を受ける可能性があります。
もっとも,必ず不利益な処分を受けるわけではなく,刑事事件に強い弁護士に依頼をして適切な対応をしてもらえれば,処分を避けられることも少なくはありません。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,500件を超える様々な刑事事件に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内することができます。
早期対応が重要となりますので,お困りごとがある方はお早めにお問い合わせください。

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