不倫された側として裁判を考えているけれど、「証拠はどこまで必要?」「裁判って本当に意味があるの?」と不安や疑問を抱えている方もいるでしょう。
不倫による慰謝料請求は、証拠が揃っていれば裁判によって正当な権利を主張できます。しかし、手続きや流れ、費用、そして準備すべき書類などがわからず、踏み出せない人も少なくありません。
本記事では、不倫が原因で裁判に発展した場合の流れや必要な証拠、費用の目安などを詳しく解説します。
藤垣法律事務所では、離婚・男女問題に精通した弁護士が在籍しており、迅速対応により最適な解決方法をご提案いたします。下記からぜひご相談ください。
不倫における裁判とは

不倫による裁判は、配偶者の不貞行為によって精神的苦痛を受けた側が、慰謝料を請求するために法的手段を講じることを指します。
当事者間での話し合いがまとまらなかった場合や相手が慰謝料請求に応じない場合などには、裁判を通じて権利の主張を行うことが一般的です。
不倫が裁判に発展する主なケース
不倫が裁判に発展する主なケースとしては、慰謝料請求に関する交渉が決裂した場合が挙げられます。
不貞行為を働いた配偶者や相手方が慰謝料の支払いに応じなかったり、逆に不倫の事実そのものを否定するケースでは、話し合いによる解決が困難です。
また、不倫相手に対しても責任を追及したいと考える場合、法律上の根拠をもとに正式な手続きを取るために裁判が選ばれることがあります。
さらに、別居や離婚に発展し、親権や財産分与など複数の法的争点が生じる場合にも、裁判を通じた解決が必要です。
裁判をする場所
不倫に関する慰謝料請求の裁判は、民事裁判として地方裁判所または簡易裁判所で行われます。
慰謝料の請求額が140万円以下であれば簡易裁判所、それを超える場合は地方裁判所が管轄です。
どの裁判所に訴えを起こすかは、基本的には被告(不倫相手や配偶者)の住所地を基準に決められます。
ただし、原告の居住地や不貞行為が行われた場所が関係する場合もあるため、慎重に選定する必要があります。
適切な裁判所を選ばないと、訴えが受理されないこともあるため、手続きの前にしっかり確認しましょう。
不倫裁判を起こす流れ

裁判の手続きは、法律に則って段階的に進められます。主な流れは以下の通りです。
- 訴状の作成と裁判所への提出
- 裁判所から訴状が相手方に送達される
- 答弁書の提出と第1回口頭弁論
- 証拠の提出と主張の整理
- 判決
詳しく解説します。
訴状の作成と裁判所への提出
裁判を起こすには、まず訴状を作成し、適切な裁判所に提出する必要があります。
訴状には、原告(慰謝料を請求する人)の氏名や住所、被告(不倫した配偶者や相手)の情報、請求内容(慰謝料の金額など)、不倫があった具体的な事実、証拠の概要などを明記します。
また、提出時には収入印紙や郵券(切手)といった費用が必要となります。訴状の内容に不備があると受理されないため、弁護士に確認してもらうのが一般的です。
裁判所から訴状が相手方に送達される
訴状が裁判所に受理されると、次のステップは裁判所が被告に対して訴状の送付です。
この送達によって、正式に裁判が開始されたことになります。被告が訴状を受け取ったという事実は、裁判の進行にとって重要であり、受け取りの有無は記録として残されます。
送達は原則として裁判所が行い、通常は特別送達という形で郵送され、その後、一定期間内に被告は答弁書を提出する義務を負うのが流れです。
答弁書の提出と第1回口頭弁論
被告は訴状に対する反論や主張を答弁書として裁判所に提出します。
この答弁書では、不貞行為の有無、慰謝料請求への反論、不倫関係の詳細な説明などが述べられます。
答弁書が提出されると、裁判所は第1回の口頭弁論期日を決定し、期日には、原則として原告・被告双方が出廷し、自らの主張を口頭で行うといった流れです。
この段階で、和解の可能性が話し合われることもありますが、争点が明確にならない場合は裁判が継続されることになります。
証拠の提出と主張の整理
裁判が進むと、原告・被告の双方が証拠を提出し、それぞれの主張を明確にしていく段階に入ります。
不倫の証拠としては、LINEやメールの履歴、写真、探偵の調査報告書などが有効です。証拠の信憑性が高く、かつ不貞行為の事実を裏付ける内容であることが求められます。
主張の整理とは、争点を絞り込み、双方の見解を明確化するプロセスであり、裁判官が判決に向けた準備を進めるためにも重要です。
判決
すべての審理と主張・証拠の確認が終わると、裁判所は最終的な判断を下します。判決では、慰謝料の支払い義務の有無や金額、不倫の事実認定などが示されます。
判決に納得できない場合は、控訴することも可能ですが、期間が限定されているため注意が必要です。判決確定後、支払いが行われない場合は強制執行の手続きを取ることもできます。
判決は当事者にとって大きな節目となるため、最終的な内容がどのように導かれたのかを正確に理解しておくことが重要です。
不倫裁判でかかる費用
裁判を起こすには、訴訟費用や証拠収集のための実費、弁護士費用などがかかります。
不倫裁判にかかる費用は、まず裁判所に納める収入印紙代と郵券代があります。
慰謝料請求額に応じて収入印紙代は変動します。たとえば、100万円を請求する場合は5,000円程度の印紙代が必要です。
加えて、郵券(切手)代として数千円程度が必要です。また、弁護士に依頼する場合には着手金として10万円〜30万円程度、成功報酬として請求額の10〜20%程度が相場となります。
さらに、探偵による調査費用を加えると、総額で数十万円〜100万円以上に達することもあります。
費用対効果を見極めた上で、裁判を選択するか慎重に判断しましょう。
望ましい結果が実現できるかどうかによっても異なりますが、成果があまり出なかった場合で50万円程度、十分な成果が出た場合で100万円程度の費用が発生することは相当数見られるところです。
不倫裁判を起こす際のポイント
不倫裁判を有利に進めるには、主に以下のポイントを抑えておく必要があります。
- 裁判で通用する証拠を確実に用意する
- 感情的にならず冷静な判断と戦略を策定する
- 弁護士に相談し専門的なサポートを受ける
詳しく解説します。
裁判で通用する証拠を確実に用意する
不倫裁判において勝敗を大きく左右するのが、裁判で有効と認められる証拠の有無です。単なる疑惑や推測ではなく、不貞行為を客観的に示す証拠を用意する必要があります。
代表的な証拠としては、不倫相手とのLINEのやり取り、ラブホテルへの出入りを記録した探偵の調査報告書、写真や動画、メール履歴などが挙げられます。
ただし、違法な手段で取得した証拠(盗聴や無断録画など)は証拠能力を否定されることがあるため注意が必要です。
証拠が十分に揃っていない状態で裁判を起こしても、不倫の事実が立証できず、慰謝料請求が棄却されるリスクもあります。
感情的にならず冷静な判断と戦略を策定する
不倫問題は感情が大きく揺さぶられるため、つい相手を責め立てたくなるものです。
しかし、裁判はあくまで法に基づいて判断される場であり、感情論だけでは不利に働く可能性があります。
たとえば、相手を必要以上に糾弾する発言や無理な要求は、裁判官から「協調性がない」と判断され、心証を悪くすることもあるでしょう。
冷静に状況を把握し、勝てる可能性が高い主張に絞って戦略を立てることが大切です。
また、必要に応じて和解の選択肢も検討することで、精神的・金銭的負担を軽減できる可能性があります。
弁護士に相談し専門的なサポートを受ける
不倫裁判は法律や手続きが複雑で、一般の方が一人で進めるには限界があります。
訴状の作成や証拠の選定、主張の構築などを適切に行うためには、弁護士の専門的なサポートが欠かせません。
特に不倫慰謝料の請求に強い弁護士に相談すれば、裁判に勝つための戦略を練りやすくなりますし、相手との交渉も有利に進められます。
また、精神的な支えとしての役割も大きく、安心して裁判に臨むためにも、早めの相談をおすすめします。
費用はかかりますが、それに見合うリターンを得られる可能性は十分にあるでしょう。
不倫裁判を起こすか迷っている方は弁護士にご相談を
不倫されたショックや怒りから「裁判で決着をつけたい」と考える方は少なくありません。しかし、裁判は時間も費用もかかるため、安易な判断は後悔につながる可能性があります。
もし裁判を起こすかどうかで迷っているのであれば、まずは弁護士に相談してみましょう。
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