「配偶者が不倫しているかもしれないけど、確かな証拠がなくて慰謝料請求できるのか不安…」
そう思う方もいるのではないでしょうか。
不倫による慰謝料を請求するためには、相手が言い逃れできない「証拠」を集めることが不可欠です。証拠の内容や集め方次第で、慰謝料の金額や請求の可否が大きく左右されることもあります。
本記事では、不倫慰謝料の請求に必要な証拠の種類や効果的な集め方、証拠をもとに慰謝料を請求する具体的な手順について詳しく解説します。
藤垣法律事務所では、離婚・男女問題に精通した弁護士が在籍しており、迅速対応により最適な解決方法をご提案いたします。下記からぜひご相談ください。
不倫の慰謝料請求には証拠が必要

配偶者の不倫が発覚したとき、多くの人が慰謝料を請求したいと考えるでしょう。しかし、ただ「不倫された」と訴えるだけでは、慰謝料が認められるとは限りません。
慰謝料を請求するためには、法律上「不貞行為」があったことを立証する必要があります。つまり、証拠がなければ慰謝料請求が認められない可能性があるのです。
慰謝料が認められる条件
不倫の慰謝料が法的に認められるためには、まず「配偶者に不貞行為があったこと」が前提です。
不貞行為とは、法律上「配偶者以外の異性と性的関係を持つこと」を意味します。ただの食事や連絡のやりとりでは、基本的に不貞行為とはみなされません。
また、当事者が自由意思で婚姻関係を維持していたかどうか、夫婦関係がすでに破綻していたかどうかも、慰謝料の可否に大きく影響します。
仮に不倫があったとしても、婚姻関係がすでに破綻していた場合、慰謝料が認められないケースもあります。
つまり、慰謝料請求には「不貞の事実」「婚姻関係の維持」「精神的損害」の3点を示す証拠が求められるのです。
証拠が不十分の場合どうなるのか
不倫の証拠が不十分な場合、慰謝料を請求しても相手側に否認されてしまう可能性が高くなります。
証拠が弱いと、相手が「やましいことはしていない」と主張したときに、法的に対抗する手段がなくなるのです。
また、曖昧な証拠で訴訟を起こした場合、逆に名誉毀損などで訴え返されるリスクもあるため注意が必要です。
さらに、裁判所は証拠の信用性と客観性を重視するため、「本人がそう言っていた」「浮気っぽいLINEがあった」程度では慰謝料は認められにくいのが現実です。
不倫の慰謝料請求において、証拠の有無や質は、最終的な結果を大きく左右することを頭に入れておきましょう。
不倫の慰謝料を請求する際に有効的な証拠

不倫による慰謝料を請求する際には、裁判でも通用する強力な証拠を集めることが何よりも重要です。
ここからは、不倫の慰謝料を請求する際に有効的な証拠をいくつかご紹介します。
写真・動画
ラブホテルの出入りや深夜の密会など、決定的な瞬間を捉えた写真や動画は強力な証拠となります。
特に複数回にわたり同様の行動が繰り返されている場合、偶然や誤解では済まされないため、裁判でも高く評価される傾向があります。
ポイントは、「不貞行為を裏付ける状況」が明確に映っているかどうかです。
ピンぼけや日時不明の写真では証拠能力が下がってしまうため、日時入り・鮮明な画像を意識して集めることが大切です。
第三者が撮影したものであれば、より客観性も増します。
LINE・メール・SNSなどのメッセージ
LINEやメールのやりとりの中に、不倫関係を示す内容が含まれていれば、証拠としての価値は高いです。
たとえば、「昨夜はありがとう」「またホテル行こうね」などのやりとりがあれば、明らかに肉体関係を匂わせるものとして扱われます。
ただし、やり取りの一部を切り取ったものだけでは、文脈次第で意味が変わる可能性があるため、やり取り全体を保存するようにしましょう。
また、スクリーンショットだけでなく、トーク履歴のバックアップデータなど信ぴょう性を担保できる形式で保存することも重要です。
探偵報告書やGPS記録
探偵が作成した調査報告書は、法的にも有力な証拠とされます。
日時・場所・相手の顔などが詳細に記録されているため、信ぴょう性が高く、裁判での証拠能力も高く評価されます。
また、GPSによる行動履歴も、浮気相手の自宅やホテルへの訪問記録が残っていれば、有力な証拠です。
ただし、GPSの利用については、違法な取得方法であった場合に逆にトラブルとなるケースもあるため、利用には慎重を要しましょう。
領収書・クレジットカード明細
ラブホテルや高級レストラン、旅行先の宿泊費など、不倫相手との行動が推測される支出が記録された領収書や明細も証拠になります。
特に同じ相手との頻繁な出費が確認できる場合、「恋人関係にある」ことを推定する根拠として扱われます。
ただし、これ単体では不貞行為を直接証明することは難しいため、写真やLINEなどの証拠とあわせて使用するのが効果的です。
支出の時期や利用店舗などを照らし合わせることで、行動の一貫性を示すことができます。
本人の自白・録音データの扱い
本人が不倫を認めた発言や、それを録音した音声データは強力な証拠です。特に自発的に認めたものであることが明確であれば、裁判でも有効な証拠とみなされます。
ただし、録音の仕方には注意が必要です。盗聴や違法な手段で得た場合は、証拠として認められないことがあります。
また、自白が曖昧だったり、冗談ともとれる内容であった場合、証拠能力が弱まる可能性もあるため、録音のタイミングや会話の内容にも細心の注意が必要です。
手帳やスケジュール帳
相手の手帳やスケジュール帳に、不倫相手との密会予定や「〇〇とホテル」などの記載がある場合、それも補助的な証拠となります。
これも単独では決定的とはいえませんが、他の証拠と組み合わせることで不貞行為の裏付けにつながります。
重要なのは、記載が本人の筆跡であることや、日時・場所が現実と一致しているかどうかです。
また、あまりにも主観的すぎる記録は証拠としての価値が薄くなることがあるため、第三者が見ても納得できる内容であることが求められます。
不倫の慰謝料を請求する際にあまり有効ではない証拠

不倫の慰謝料を請求する際には、ただ「浮気をしていそう」と思わせるだけの証拠では足りません。
ここでは、慰謝料請求にはあまり役に立たない、もしくは慎重に扱うべき証拠の例を解説します。
浮気相手とのツーショット写真だけ
配偶者と浮気相手が一緒に写っているツーショット写真は、一見すると決定的な証拠に思えるかもしれません。
しかし、ただ一緒に写っているだけでは、不貞行為があったと証明することはできません。
食事やレジャーなどのシーンであっても、「ただの友人関係」と主張されれば、反論が難しくなるのです。
特に複数人での集まりの中で撮影された写真や、場所や時間が明確でないものは、証拠能力が大きく下がってしまいます。
慰謝料を請求するには、「肉体関係を持っていた」と認められる状況を証明する証拠が求められるため、ツーショット写真だけに頼るのは危険です。
会話の一部だけ・スクショの一部だけ
LINEやメール、SNSのメッセージなどは証拠として有効になることもありますが、やり取りの一部だけを切り取ったスクリーンショットや断片的な会話ログでは、証拠能力が不十分です。
たとえば、「昨日は楽しかったね」というメッセージだけでは、何が楽しかったのか、誰とのやり取りなのかが不明確です。
文章全体の流れや相手との関係性を客観的に示せる形で記録しておかなければ、信頼性が低いと見なされてしまいます。
証拠として使うには、やり取りの前後や送信日時、相手の情報なども含めて保存しておくことが重要です。
不倫の慰謝料を請求するための証拠が集まった後の流れ

証拠を活かすには、適切な流れに沿って冷静かつ慎重に対応することが重要です。ここでは、慰謝料請求の一般的な流れを解説します。
まずは相手との話し合いを検討する
証拠がそろった段階で、いきなり法的措置に進むのではなく、まずは配偶者や不倫相手との話し合いを試みることが多くあります。
冷静に状況を説明し、証拠を提示したうえで慰謝料についての話し合いを持つことで、円満に解決できる場合もあります。
ただし、感情的になってしまうと話し合いがこじれる可能性があるため、第三者(信頼できる家族や専門家)を同席させるのも有効です。
証拠の提示は一度きりが基本なので、切り札として慎重に使いましょう。
内容証明郵便で慰謝料請求書を送る
話し合いがまとまらなかった場合や、相手が誠意ある対応をしない場合には、内容証明郵便で慰謝料請求書を送付する方法が有効です。
内容証明郵便とは、「いつ」「誰が」「誰に」「どのような内容を送ったか」が証拠として残る郵送方法です。
ここで請求金額、支払い期限、支払い方法、証拠の概要などを明記します。この段階で誠実な回答が得られれば、示談書を取り交わして解決するケースもあります。
ただし、法的拘束力がないため、相手が支払いに応じないことも想定しておきましょう。
弁護士に依頼して法的手続きを進める
相手が請求に応じない場合や、金額や責任の所在に争いがある場合には、弁護士に依頼して法的手続きを進めることを検討しましょう。
弁護士が代理人として交渉に入ることで、相手も真剣に対応せざるを得なくなり、和解や示談につながることが多くなります。
また、弁護士を通して交渉を行えば、精神的負担が軽減され、交渉がスムーズに進む可能性も高まります。
必要に応じて、家庭裁判所や地方裁判所への申し立てに備えた準備も進められるため、早めの相談が望ましいです。
協議がまとまらない場合は訴訟も検討する
どうしても話し合いや交渉で解決できない場合、最終手段として民事訴訟に踏み切ることになります。
訴訟では、裁判所が証拠をもとに慰謝料の支払いの可否や金額を判断します。
訴訟に発展する場合には、事前に集めた証拠の信頼性が重要になるため、これまで解説してきたように強力な証拠を整えておくことが必要です。
裁判では精神的・金銭的な負担が伴うため、事前に弁護士としっかり協議した上で、リスクとメリットを踏まえた判断を下すことが重要です。
不倫慰謝料を確実に取りたい方は弁護士へご相談を
不倫による慰謝料を請求するには、法律の知識だけでなく、適切な証拠の収集や交渉のノウハウも必要です。
証拠が揃っていたとしても、その扱い方や請求方法を間違えると、本来得られるはずの慰謝料が減額されたり、請求自体が退けられたりする可能性もあります。
特に相手が否定してくるようなケースでは、個人で対応するには限界があります。
確実に慰謝料を請求し、納得のいく解決を目指すのであれば、早い段階で弁護士に相談するのが賢明です。
藤垣法律事務所では、離婚・男女問題に精通した弁護士が在籍しており、迅速対応により最適な解決方法をご提案いたします。下記からぜひご相談ください。