離婚を考えたとき、多くの人が気になるのが「慰謝料を請求できるのか」という点ではないでしょうか。
特に浮気やDV、モラハラなど相手の行動に心を深く傷つけられた場合、「せめて金銭的にでも償ってほしい」と感じるのは自然なことです。
しかし実際には、「どのような場合に慰謝料が認められるのか」「自分のケースがその条件に当てはまるのか」といった点が分からず、悩んでいる方もいるはずです。
そこで本記事では、離婚で慰謝料請求できる条件と費用相場を詳しく解説します。
藤垣法律事務所では、離婚・男女問題に精通した弁護士が在籍しております。埼玉県内や大宮エリアなどを中心に、迅速対応によって最適な解決方法をご提案いたします。下記からぜひご相談ください。
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離婚で慰謝料請求できる条件とは

離婚で慰謝料請求できる条件は、主に以下の通りです。
- 不貞行為があった
- DVがあった
- 同居義務違反・扶助義務の違反があった
- 慰謝料請求の時効が過ぎていない
詳しく解説します。
不貞行為があった
離婚で慰謝料請求が認められる代表的なケースの1つが、不貞行為があったことです。
法律上、不貞行為とは単なる浮気や好意ではなく、継続的・一時的を問わず性的関係を伴ったものを指します。
たとえば、パートナーが異性とホテルに出入りしていた証拠や肉体関係を想起させるメール・LINEのやり取りなどがある場合、慰謝料請求が成立する可能性が高まるでしょう
ただし、不貞行為が原因で夫婦関係が破綻したことを証明する必要があるため、証拠が不十分であったり、すでに夫婦関係が破綻していたりする場合、請求が認められないこともあります。
不貞行為が原因で離婚をする場合、概ね150~300万円ほどの慰謝料額になるケースが多く見られます。具体的な金額は、不貞行為の期間や回数、夫婦関係への影響、家族構成など、様々な事情で変動します。
DVがあった
DVには、殴る・蹴るといった身体的暴力だけでなく、怒鳴りつける、無視を続ける、生活費を渡さないといった精神的・経済的な暴力も含まれます。
これらの行為によって被害者の心身に深刻な傷を負わせた場合、慰謝料請求が認められる可能性が高いです。
具体的な証拠としては、暴力による怪我の診断書、暴言や脅迫の録音データ、暴力の現場を記録した写真、警察への相談履歴などが重要です。
DVは被害者が恐怖心から事実を訴えにくいこともあり、証拠集めが難しいケースもありますが、客観的な記録をできるだけ残しておくことが大きなポイントとなります。
DVを原因とする離婚の場合、程度や内容によって数十万~500万円ほどの慰謝料が生じる可能性もあります。DVによって心身の疾患など重大な悪影響が生じている場合には、慰謝料額が大きくなりやすい傾向にあります。
同居義務違反・扶助義務の違反があった
同居義務違反・扶助義務の違反があった場合、慰謝料請求が可能です。
法律上、夫婦には互いに協力し合い、経済的にも精神的にも支え合う義務が課されています。
- 同居義務違反:夫婦が法律上当然に負うべき義務である「一緒に生活をする義務」に反する行為
- 扶助義務違反:夫婦がお互いを経済的、精神的に支え合うべき義務に違反する行為
たとえば、配偶者が理由もなく家を出たまま連絡を絶ち、生活費も負担しないようなケースでは、離婚時に慰謝料請求が認められることがあります。
さらに、病気や困窮状態にもかかわらず必要な扶助を拒否した場合も、慰謝料の対象です。
単に同居していない、というのみで具体的な慰謝料が生じるケースはあまりありませんが、配偶者に悪意・害意を持って行った悪質なケースでは、数十万~100万円程度の慰謝料が発生する場合もあり得るでしょう。
慰謝料請求の時効が過ぎていない
離婚に際して慰謝料を請求する場合、重要な条件の1つが「時効が過ぎていないこと」です。
慰謝料請求には法的な期限があり、不貞行為やDV、その他の不法行為に基づく場合は、加害者を知った日から3年以内、または不法行為があった日から20年以内に請求しなければなりません。
特に離婚に伴う慰謝料の場合、「離婚が成立した日」や「不法行為を知った日」から3年が経過すると、原則として請求する権利は時効により消滅してしまいます。
たとえば、離婚成立後5年経ってから慰謝料を求めても、相手方に支払い義務は生じない可能性があります。
したがって、慰謝料を請求したいと考えている場合は、時効に注意し、できるだけ早く行動に移すことが大切です。
離婚の慰謝料請求の相場

離婚の慰謝料請求の相場は、原因となった行為の内容や程度、婚姻期間、被害者の精神的苦痛の度合いなどによって異なります。
一般的な目安は、50万円から300万円程度です。不倫の期間が長く、配偶者が深く傷ついていると判断された場合には200万円以上となることもあります。
詳しい慰謝料の費用相場については、以下の記事で解説しているのでぜひ参考にしてください。
関連記事:不倫の示談金相場はケースによって異なる!金額に影響する内容や意識すべきことなどを徹底解説
離婚で慰謝料請求ができないケース

離婚で慰謝料請求ができないケースは、主に以下のパターンです。
- すでに十分な慰謝料を受け取っている
- 証拠がない、または不十分でである
- 時効が経過している
詳しく解説します。
すでに十分な慰謝料を受け取っている
離婚に際して慰謝料請求ができないケースの1つに、「すでに十分な慰謝料を受け取っている場合」があります。
たとえば、離婚協議や調停、あるいは裁判などの過程で、一定額の慰謝料を受け取ることに合意し、その支払いが完了している場合、原則としてそれ以上の追加請求はできません。
これは、一度慰謝料の支払いを受けることで精神的損害に対する補償が完了したと法的に評価されるためです。
また、離婚協議書や調停調書に「今後、互いに一切の請求をしない」旨の条項が盛り込まれている場合、さらに慰謝料を求める権利自体が放棄されたとみなされます。
証拠がない、または不十分でである
慰謝料請求は、相手による不法行為や婚姻関係破綻の原因となった行為があったことを、原則として請求する側が証明しなければなりません。
たとえば、不貞行為の場合なら、単なる異性との交流だけではなく、肉体関係を推認できる証拠(写真、メッセージのやり取り、宿泊記録など)が必要です。
DVを理由にする場合も、暴力による怪我の診断書や、警察への通報履歴などの客観的な証拠が求められます。
証拠が全くなかったり、内容が曖昧で具体性に欠けたりすると、たとえ実際に被害を受けていたとしても、慰謝料の請求は難しくなります。
時効が経過している
離婚に際して慰謝料請求をしようと考えても、時効が経過している場合は請求が認められません。
慰謝料請求の時効は、原則として「加害行為と損害を知った時から3年」、または「不法行為が行われた時から20年」が期限とされています。
たとえば、配偶者の不貞行為が発覚してから3年以上経過している場合や、DVの被害に気づいてから長期間放置している場合には、時効により慰謝料請求の権利が消滅する可能性があります。
また、離婚成立後に慰謝料を請求する場合も、離婚が成立した日を基準に3年以内に手続きを取らなければなりません。
時効を迎えると、たとえ事実関係に問題がなくても、法的には慰謝料を求めることができなくなってしまうのです。
離婚の慰謝料請求の期限

離婚の慰謝料請求には期限が存在します。ここからは、離婚の慰謝料請求の期限について詳しく解説します。
慰謝料請求の時効は原則「3年」以内
離婚に伴う慰謝料請求には法律で定められた時効があり、原則として「損害および加害者を知った時から3年以内」に請求を行わなければなりません。
これは、たとえば不貞行為やDVなどによって精神的苦痛を受けた場合、その事実を知った日から3年が経過すると、慰謝料請求の権利が時効により消滅するという意味です。
また、離婚が成立してから慰謝料を請求する場合には、離婚成立日を起算点として3年以内に手続きを行う必要があります。
つまり、被害者が慰謝料を請求できる期間には限りがあり、その期間を過ぎてしまうと、たとえ正当な理由があっても法的に相手に請求できなくなるのです。
離婚成立から時間が経過しても請求できるケース
離婚の慰謝料請求は原則として離婚成立から3年以内に行う必要がありますが、例外として離婚後に時間が経過しても請求できるケースがあります。
その1つが、離婚の原因となった不法行為の事実を離婚後に初めて知った場合です。
たとえば、離婚後しばらくして元配偶者の不貞行為が発覚したようなケースでは、「損害および加害者を知った時」から3年間は慰謝料請求が可能です。
また、長期間にわたってDVを受けていたが精神的なショックや恐怖心から記憶があいまいだったり、証拠が後になって見つかった場合なども、損害を「知った時点」から時効がスタートすると判断されることがあります。
つまり、離婚の時点では慰謝料請求の根拠となる事実を知らなかった、あるいは立証できなかった場合には、離婚後であっても慰謝料を請求する余地があるのです。
離婚の慰謝料請求を弁護士に依頼するメリット

離婚の慰謝料請求を弁護士に依頼するメリットは、主に以下の通りです。
- 証拠整理や書類作成を任せられる
- 精神的な負担を軽減できる
- 慰謝料の増額が期待できる
詳しく解説します。
証拠整理や書類作成を任せられる
慰謝料請求では、不貞行為やDVなどの不法行為があったことを立証する証拠が重要です。
ただし、素人がどの証拠が有効かを判断するのは難しく、集め方や整理方法を誤ると請求自体が認められないこともあるでしょう。
弁護士に依頼すれば、メール・LINEの履歴、写真、診断書などの中から裁判で通用する証拠を選別し、時系列で整理するなど、説得力のある形で準備してもらえます。
また、請求書や訴状、陳述書など、法的に正確かつ効果的な書類の作成も任せられるため、相手方との交渉や裁判手続きにおいても有利に進めやすくなります。
このように、証拠や書類に関する不安や手間を大幅に軽減できる点が、弁護士に依頼する大きな利点といえるでしょう。
精神的な負担を軽減できる
離婚に伴う慰謝料請求は、精神的にも大きな負担を伴う手続きです。
相手との交渉や証拠集め、書類作成などを自分一人で進めようとすると、過去のつらい出来事を繰り返し思い出すことになり、感情的にも大きく揺さぶられます。
また、相手から反論されたり、事実を否定されたりすることで、さらにストレスが増すことも少なくありません。
こうした状況の中で弁護士に依頼すれば、専門的な対応を一任できるため、当事者自身が直接相手とやり取りする必要がなくなり、精神的な負担を大きく軽減できます。
慰謝料の増額が期待できる
弁護士が専門的な知識と経験をもとに、裁判例や相場を踏まえた適正な金額を主張できることで、慰謝料の増額が期待できます。
弁護士が専門的な知識と経験をもとに、裁判例や相場を踏まえた適正な金額を主張できるためです。
たとえば、不貞行為やDVの証拠がある場合でも、当事者だけで交渉すると相手の言い分に押されてしまい、本来受け取れるはずの金額よりも大幅に低い金額で示談してしまうケースが少なくありません。
一方、弁護士が介入することで、精神的苦痛の度合いや婚姻期間、生活状況などを丁寧に主張し、慰謝料額に反映させることができます。
離婚の慰謝料請求できるかできないかは弁護士へ相談を
離婚の慰謝料を請求できるかどうかは、素人では判断が困難です。
不貞行為やDV、同居義務違反などの明確な理由があっても、それを立証できる証拠がなければ請求が認められないこともありますし、逆に一見弱いように思える事情でも、弁護士の視点から見ると十分に慰謝料請求が可能なケースもあります。
自分にとって最善の解決策を導くには、早い段階で弁護士に相談することが重要です。
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