不倫された側が慰謝料を請求しようとしたとき、「時効で請求できないのでは?」と不安になる人は少なくありません。
実際、不倫の慰謝料請求には時効が存在し、原則として不倫を知ってから3年が期限です。
時効になって請求ができなくなる前に、対策を練って相手に支払ってもらうことが大切です。
そこで本記事では、不倫による慰謝料請求の時効についての概要と止める方法などを詳しく解説します。
藤垣法律事務所では、埼玉県内や大宮エリアなどを中心に不倫の慰謝料に関するご相談を承っております。
時効がすぎてしまい慰謝料が請求できないなんて事態を防ぐためにも迅速対応を心がけており、30分無料相談が可能です。以下からぜひご連絡ください。
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不倫慰謝料請求における時効とは?

不倫慰謝料請求における時効とは、法律上、一定期間を過ぎると慰謝料の請求権が消滅してしまう制度のことです。
具体的には、民法724条に基づき、「被害者が損害および加害者を知った時から3年」、または「不倫という不法行為が行われた時から20年」が慰謝料請求の時効期間です。
このいずれか早い方が適用されます。
つまり、不倫の慰謝料を請求するには、早期に行動を起こすことが不可欠であり、時効の期間を理解した上で、適切な手続きをとることが重要です。
不倫慰謝料請求の時効期間

ここからは、不倫慰謝料請求の時効期間について詳しく解説します。
不倫による慰謝料請求の時効は3年
不倫による慰謝料請求の時効が3年とされているのは、民法724条前段の規定によるものです。
ここで重要なのは、単に不倫という出来事があった日からカウントが始まるのではなく、「①損害が発生したこと」と「②その損害の加害者が誰であるか」を被害者が認識した時点から3年間が時効期間となる点です。
「損害を知った」とは、多くの場合、不倫の事実に気づいた時、すなわち配偶者の浮気を確信し、精神的苦痛を受けたと判断できる時点を指します。
「加害者を知った」とは、配偶者の不倫相手が誰であるかを特定できた時点を意味します。
たとえば、不倫の事実に気づいたのが2022年1月であり、その時点で相手の氏名や連絡先などを把握していれば、2025年1月までに慰謝料を請求しなければならないということです。
この両方を満たした時から3年以内に慰謝料請求をしなければ、時効によりその権利は消滅してしまうため、注意が必要です。
慰謝料の請求名目によって時効の起算日が異なる
相手に請求できる慰謝料には種類があります。
まず一般的なのが「不法行為に基づく慰謝料請求」です。この場合は民法724条前段に基づき、「被害者が損害および加害者を知った時」から3年間が時効期間です。
一方で、配偶者に対しては「契約違反(債務不履行)に基づく慰謝料請求」が主張できるケースもあります。
結婚は法律上の契約関係にあたり、貞操義務があるとされます。配偶者がこの義務に違反した場合、債務不履行を理由として慰謝料請求を行うことが可能です。
この場合、適用されるのは民法166条で、時効期間は5年(2020年4月施行の改正民法による)となり、起算日は「権利を行使できることを知った時」とされます。
実際の損害発生時点や加害者の認識とはやや異なる解釈が可能な場合があるため、請求先や請求の根拠を正しく整理し、適切な法的構成を選ぶ必要があるでしょう。
不倫慰謝料請求の時効を止める方法

不倫慰謝料請求の時効を止めるためには、主に以下の方法があります。
- 訴訟を提起する
- 内容証明郵便を送付する
- 債務の承認を得る
詳しく解説します。
訴訟を提起する
不倫慰謝料請求の時効を止める方法の1つとして、訴訟の提起があります。
時効とは、一定期間内に権利を行使しなければ、その権利が消滅するという制度です。
不倫慰謝料請求では、通常は加害者(配偶者の不倫相手)を知り、損害が明確になった日から3年が経過すると、請求権が時効により消滅します。
ただし、この3年の時効期間内に「訴訟を提起」すれば、その時点で時効は中断され、いったん進行が止まります。
家庭裁判所や地方裁判所などに対して正式に損害賠償請求を申し立て、裁判手続を通じて権利行使を行うことが必要です。
訴訟は、手続が一定程度進行すると取り下げが難しくなります。そのため、とりあえず時効を止めるために訴訟提起する、というのでなく、訴訟で解決することを前提に、専門家とご相談の上で十分に準備することが適切です。
内容証明郵便を送付する
内容証明郵便の送付とは、相手に対して慰謝料請求の意思があることを文書で正式に伝える行為です。
郵便局を通じて第三者的に証拠化され、催告が行われると、その時点で時効の完成は「6か月間」猶予されます。
この期間内に訴訟などの法的手続きをとれば、時効は中断され、再び新たな時効期間が始まります。
ただし、この催告による猶予は一度きりで、6か月を過ぎると時効の進行が再開し、再度催告しても新たな猶予は認められません。
したがって、内容証明郵便は、あくまで「訴訟提起などの準備時間を稼ぐための一時的措置」として使うものであり、恒久的に時効を止める効果はないため、注意が必要です。
内容証明郵便による催告は、その後6か月以内に訴訟を提起しなければ時効を止める効果がなくなってしまいます。そのため、訴訟の準備期間を稼ぐための一時的な措置である、と理解しておくことが重要です。
債務の承認を得る
債務の承認とは、慰謝料を請求された側が「自分には支払う義務がある」と認める行為です。
明確に「支払います」と言うだけでなく、「少額でも支払った」「支払う意思を文書で示した」「分割払いの合意書を作成した」など、行動によって債務を認めた場合も含まれます。
債務の承認がなされると、その時点で時効の進行は中断され、再び最初から時効期間が数え直されます。
たとえば、不倫を知ってから2年半経っている状態で相手が慰謝料の支払いを約束した場合、その日から新たに3年の時効期間がスタートするといった感じです。
これにより、時効によって請求が消滅するリスクを回避することが可能です。
単に支払義務を承認する、というのではなく、不倫慰謝料の債務を承認するということを明らかにするのが適切です。また、債務の承認をしたかどうかがトラブルになることを防ぐため、書面等で記録化、証拠化しておくことが望ましいでしょう。
不倫慰謝料請求の時効を過ぎた場合の請求はどうなるか?

何度も言う通り、「不倫の事実および相手の身元を知ってから3年」が時効期間です。
この期間を過ぎると、たとえ不倫による精神的苦痛が明らかであっても、加害者が「時効を援用する」と主張すれば、慰謝料請求は裁判上でも認められなくなります。
請求が法的に認められないため、感情的に納得できない状況であっても、時効によって加害者に支払い義務が生じない可能性があるのです。
たとえ示談交渉や裁判に進んだとしても、相手が時効を主張すれば訴訟自体が棄却される可能性があり、時間と費用だけを失うことになってしまうでしょう。
このように、時効の経過は請求者にとって不利益が生じるため、不倫の事実を知った時点で速やかに法的対応を検討し、必要に応じて内容証明郵便の送付や訴訟提起など、時効を中断させる措置をとることが重要です。
不倫慰謝料の時効前に請求する際の注意点

不倫慰謝料の時効前に請求する際の注意点は、主に以下の通りです。
- 証拠を十分に収集する
- 早期に専門家に相談する
- 時効の起算日を正確に把握する
詳しく解説します。
証拠を十分に収集する
不倫慰謝料を時効前に確実に請求するためには、「証拠の十分な収集」が必要です。
慰謝料請求が感情論ではなく法律上の権利行使である以上、不倫という事実とその損害を客観的に立証する責任が被害者側にあるためです。
証拠がなければ、相手が不倫を否定した場合に、裁判所は請求を認めません。
具体的には、「肉体関係のある不貞行為があったこと」と「その相手の特定」が証明できる証拠を揃える必要があります。
たとえば、ホテルや自宅に二人で出入りする写真や動画、ラブホテルの領収書、SNSやメール・LINEのやり取り、GPSの記録、探偵の調査報告書などが挙げられます。
また、不貞行為の回数や期間が分かるもの、精神的苦痛の程度を示す通院記録や診断書なども、慰謝料の金額を正当化する材料です。
冷静に証拠を整理・確保してから行動に移しましょう。
早期に専門家に相談する
不倫慰謝料の請求を時効前に確実に進めるためには、早いうちに専門家へ相談することがおすすめです。
理由は、慰謝料請求は法律的な要件や証拠の整備、時効の管理など、専門的な知識と判断を必要とする複雑な手続きだからです。
自己判断で対応した場合、請求の方法や時効の起算点の誤認、証拠不備による請求棄却といったリスクが高くなります。
特に弁護士に相談すれば、相手方とのやりとりを代理してもらえるため、精神的負担の軽減につながるでしょう。
時効の起算日を正確に把握する
時効の起算日を正確に把握することは、時効期間の誤認によって慰謝料請求権が消滅するリスクを避けるために必要です。
民法上、不倫慰謝料請求の時効は原則として「不法行為を知った日から3年」です。
ここでいう「不法行為を知った日」とは、加害者(配偶者または不倫相手)と不貞行為の事実を知った時点を指します。
つまり、単に配偶者の様子が怪しいと感じた時点ではなく、「具体的に誰と・いつ・どのような関係だったかを認識した日」が起算日となります。
慰謝料の請求名目(不貞行為に対する慰謝料なのか、離婚に伴う精神的苦痛への慰謝料なのか)によって起算日が変わるため、起算日をしっかりと把握しておきましょう。
不倫慰謝料の時効に関する相談は弁護士へ
不倫慰謝料の時効期間は原則3年です。不倫慰謝料の時効は起算日や請求名目によって異なるため、自己判断で動くと請求権を失うおそれがあります。
時効が成立してしまう前に、正確な法律知識を持つ弁護士に相談することで、適切な対応や手続きを進めることが可能です。
藤垣法律事務所では、不倫の慰謝料に関するご相談を承っており、時効がすぎてしまい慰謝料が請求できないなんて事態を防ぐためにも迅速対応を心がけております。
埼玉県内や大宮エリアなどを中心に不倫による慰謝料請求に関するご相談は、以下から無料で承っておりますので、ぜひご連絡ください。
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