交通事故の付添介護費とは?種類別の金額目安や認められるケースなどを徹底解説

「交通事故で入院中に家族が付き添った場合、その費用って補償してもらえるの?」と思う方もいるのではないでしょうか。

付添看護費は、事故による怪我や症状の程度によって必要性が認められる場合に、相手方や保険会社から賠償の対象として請求できる費用です。

事前に知識を持っておくことで請求の機会を逃さず、適切な補償を受けやすくなります。

そこで本記事では、付添看護費の種類や金額、認められるケースなどを詳しく解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

目次

付添看護費とは

交通事故における付添看護費とは,交通事故被害者が治療を受けている間,主に入通院に際して他者の付添が必要となる場合に,その付添のために発生する費用です。

付添看護費が認められるかどうかは、被害者の年齢やけがの程度、治療内容などによって判断されます。

また、付添人が職業的な看護師であるか家族であるかによって、認められる金額や計算方法に違いが生じるのも特徴です。

付添看護費の種類と金額

付添看護費は大きく分けて以下3つに分けられます。

  • 入院付添費
  • 通院付添費
  • 自宅付添費

それぞれの状況に応じて金額の目安や認められる条件が異なるため、ここからは金額の目安についても詳しく解説します。

入院付添費

入院付添費は、交通事故で被害者が入院する際に、家族や職業看護人が付き添う場合に発生する費用です。

入院中は食事、排せつ、移動などの基本的な生活動作が制限されることがあり、そのサポートが必要とされるため付添看護費が認められやすい傾向にあります。

家族が付き添った場合は、職業看護人を雇用した場合に準じた額が日額で算定されることが多いです。

自賠責基準では,1日につき4,200円と定められています。

裁判基準では,近親者が付き添いをした場合に,1日につき6,500円が認められるのが基本的な運用です。

通院付添費

通院付添費は、被害者が自力で病院に行くことが難しい場合に認められる費用です。

たとえば、子供や高齢者が治療のために通院する際に、家族が送り迎えや院内でのサポートを行う場合が該当します。

この場合も、必要性の有無が判断の基準です。通院の度に付添が必要であったことを示すためには、通院記録や診断書、医師のコメントが重要な証拠となります。

自賠責基準では,近親者の付添1日につき2,100円と定められています。

裁判基準では,症状や年齢を踏まえて近親者の付添を要する場合,1日につき3,300円を原則として認められます。

自宅付添費

自宅付添費は、退院後に在宅療養を行う場合や、事故の影響で自宅での生活に介助が必要なケースで認められる費用です。

たとえば、骨折で日常生活に制限が残っている場合や、歩行・排せつ・入浴に介助が必要な場合に該当します。

しかし、入院や通院時の付き添いと異なり、自宅での介護的なサポートは必要性の立証が難しいのが現状です。

裁判例においても、自宅付添費が認められるのは被害者が高齢であったり、障害が重度であったりと、付添が不可欠と判断できる場合に限られる傾向があります。

自賠責基準の場合,自宅の看護と通院看護が同様に扱われるため,通院付添費と同じく近親者の付添1日につき2,100円と定められています。

裁判基準の場合,具体的な金額はケースによりますが,自宅における近親者の付添は概ね1日につき8,000円ほどを上限額の目安に認める運用が多く見られます。

付添看護費が認められる場合

付添看護費は誰でも請求できるわけではなく、一定の条件を満たす場合にのみ認められます。

主に認められるケースは、以下のとおりです。

  • 被害者が12才以下の子供の場合
  • 被害者が高齢者の場合

詳しく解説します。

被害者が12才以下の子供の場合

小さな子供は自分で身の回りの世話を十分に行えないため、入院や通院に際しては保護者などの付き添いが必要です。

そのため、交通事故で12歳以下の子供が入院する場合、ほとんどのケースで付添看護費が認められます。

とくに乳幼児や小学校低学年の子供では、食事や排せつ、医療処置において親のサポートが欠かせないため、家族が付き添ったこと自体が合理的と判断されやすいのです。

金額としては、入院時には日額6,500円〜8,000円程度、通院時には1回あたり2,000円〜3,000円程度が目安とされます。

ただし、付き添いが常に必要とは限らず、子供の年齢や怪我の程度に応じて判断されます。

被害者が高齢者の場合

高齢者の場合も、付添看護費が認められる可能性が高いとされています。

加齢に伴い身体機能が低下していることが多く、事故による怪我の治療過程で日常生活動作に支障が出やすいためです。

とくに、歩行や排せつ、入浴などに介助が必要とされる場合や、認知症などで意思疎通に困難がある場合には、家族や看護人の付き添いが不可欠と判断されます。

入院時には日額6,500円〜8,000円、自宅療養であれば4,000円〜6,000円程度が目安とされます。

ただし、医師から「付添が必要」との指示がなければ認められない場合も多く、診断書や医師のコメントを用意することが重要です。

交通事故の付き添いに関するよくある質問

付添看護費の請求に関しては、実務上さまざまな疑問が生じることがあります。

ここからは、交通事故の付き添いに関するよくある質問の回答をいたします。

家族全員で付き添った場合でも付添看護費は請求できますか?

基本的に、付添看護費として認められるのは一人分の費用です。家族が複数人で交代して付き添った場合でも、その合計が複数人分として認められることはありません。

たとえば、父母が交代で子供に付き添った場合には、あくまで1人分の日額として算定されます。

ただし、病状が非常に重く、複数人の付き添いが不可欠と判断される特殊なケースでは例外的に複数人分が認められる可能性もありますが、これは稀です。

入院している病院まで親が行く場合は行くまでの交通費は請求できますか?

病院までの交通費は、基本的には「付添看護費」とは別の費用として扱われます。

ただし、被害者の容体や家族の状況を踏まえ、面会が妥当と判断される場合には、駆けつけにかかった費用が補償対象となる可能性があります。

とくに、被害者が危険な状態にあるときや、家族の付き添いや声かけが回復に寄与したと考えられるときには、お見舞いの必要性が認められやすくなるでしょう。

子供の付添看護料は12歳以上でも付添費が認められることはありますか?

原則として、12歳以下の子供には付添看護費が認められやすいですが、12歳を超えていてもケースによっては請求が可能です。

たとえば、中学生であっても事故による怪我が重く、食事や排せつに介助が必要な場合や、精神的に不安が強く付き添いが不可欠と判断される場合には付添看護費が認められることがあります。

交通事故の看護費・介護費に強い弁護士をお探しの方へ

付添看護費や将来介護費は,問題になるケースが割合的に少ないため,漫然と請求をしても支払いを拒まれる場合が少なくありません。
看護費・介護費の請求は,費用が支払われるべきであること,その金額は請求する金額であるべきことなどを,個別の事件に応じて丁寧に指摘し,交渉を行っていく必要があります。
もっとも,現実に介護の対応をされながらご自身で行うことは非常に困難なものであるため,請求をご希望の場合には弁護士へのご相談をお勧めいたします。

さいたま市大宮区の藤垣法律事務所では,1000件を超える数々の交通事故解決に携わった実績ある弁護士が,最良の解決をご案内いたします。
ご相談やお困りごとのある方は,お気軽にお問い合わせください。

特設サイト:藤垣法律事務所

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