自転車と車の事故で知っておきたい過失の割合|具体的なケースや対処法まで解説

「自転車と車の事故に巻き込まれたとき、どちらにどの程度の責任があるの?」と気になる方もいるでしょう。

結論、自転車と車の事故では、事故状況や双方の過失内容によって責任の割合が大きく変わります。

自転車にも交通ルール遵守義務があり、どちらか一方が常に悪いというわけではありません。

そこで本記事では、自動車と車の事故の過失割合の平均を踏まえ、具体的なケースを想定した過失割合を詳しく解説します。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

目次

自転車と車の事故の過失割合の平均

自動車と自転車の事故で重要になるのは、現場の状況と双方の行動です。

信号や進路、速度、注意義務の履行状況などが過失割合を大きく左右し、単純に「車が悪い」「自転車が悪い」と決めつけることはできません。

ここからは、自動車と車の事故の過失割合の平均について詳しく解説します。

自転車側の過失が大きくなるケース

自転車が一方的に過失を負う典型例は、信号無視・逆走・歩道での無謀な走行・夜間無灯火やフラフラ運転などです。

とくに狭い路地や交差点で周囲の安全確認を怠った場合、回避義務違反として高い過失割合を負うことが多く、歩行者保護や車両との相互注意義務の観点から不利になります。

飲酒やスマホ操作などで注意力が著しく低下していた場合は、賠償責任が重く評価されることもあります。

被害者側であっても過失が認められると損害補償額が大きく減るため、現場での行動記録が重要です。

自転車側の落ち度が大きい場合、自転車側の過失が特に大きくなることも珍しくはありません。自転車が車より弱者であり、過失割合において有利な立場に立ちやすいことは間違いありませんが、自転車が加害者側となることも十分に考えられます。

自動車側の過失が大きくなるケース

自動車側に過失が重くなるのは、確認義務違反や速度超過、右左折時の巻き込み注意不足、追い越し・無理な割り込みなど自動車運転者に期待される安全配慮義務を怠った場合です。

とくに交差点での見落としや、歩道寄りの自転車を考慮しない右折・左折は高い過失割合が認められる傾向にあります。

また、飲酒運転や著しい速度超過があればほぼ全面的な責任を負うことになり、行政処分や刑事責任に発展するリスクもあります。

車両という重量物を扱う者としての注意義務は強く問われるでしょう。

信号表示やお互いの動作に争いがある場合、ドライブレコーダーや目撃証言が重要な証拠となれば、過失割合の判断に極めて大きな影響を与えることも大いにあり得ます。

【具体的なケース】自動車と車の事故の平均的な過失割合

事故類型ごとに慣例的に使われる「平均的な過失割合」は存在しますが、個別事情で大きく変わります。

ここからは、具体的なケースごとに自動車と車の事故の平均的な過失割合を解説します。

交差点での衝突事故

交差点事故では、進行方向の優先関係や信号の有無がまず重視されます。

信号に従わなかった側や一時停止を無視した側の過失が大きくなりやすく、自転車が直進で車が右折する場合など、左右どちらが優先かで分担が決まる仕組みです。

左右確認の有無やブレーキ痕、目撃者の証言が過失判断に効き、交差点の視界不良や道路形状も考慮されます。

双方とも注意義務を尽くしていたかが焦点となり、特に小さな視認性の差が過失割合に反映されます。

信号のない交差点での衝突事故

信号なしの交差点は「徐行・一時停止等の注意義務」が争点です。

自転車が優先道路を走行していた場合は車側の過失が増え、逆に自転車が信号のない交差点で一時停止や安全確認を怠っていれば自転車側の過失が増加します。

見通しの悪さや速度、双方の確認行為の有無が判断材料になり、特に自動車は重量と速度の分だけ事故回避責任が重く評価される傾向にあります。

夜間や雨天などの環境要因も過失配分に影響するでしょう。

右折車と直進車の事故

右折車対直進車の典型では、右折車に進路変更時の一時停止・安全確認義務があるため右折車の過失が大きくなる傾向があります。

直進する自転車や車両が優先であること、右折経路の確認不足や早すぎる右折開始が問題視されます。

双方の視認性とブレーキ対応が過失評価の鍵です。

直進する自転車と左折での事故

左折車と直進自転車の事故では、左折する車に巻き込み防止の注意義務が課されます。

とくに自転車が車道寄りを走っていた場合でも、左折時に死角や巻き込みを十分確認していなければ車側の過失が重くなるでしょう。

逆に自転車が歩道を走行していたり、予見しづらい挙動をした場合は自転車側の過失が増えることもあります。

左折時のウインカーや減速、目視確認の有無が判断材料になりやすいです。

車のドアを開けたときの事故

停車中の車のドア開放による接触(ドア・オープニング事故)は、原則としてドアを開けた側に大きな過失が生じます。

降車・乗車時の確認義務違反とされ、自転車が接触した場合でも車のドアを開けた運転者の責任が重くなるケースが多いです。

ただし自転車が追越時に過度にスピードを出していた、あるいはすり抜けが危険な状況であれば自転車側にも過失が割り振られます。

路肩の状況やドア開放前の合図、周囲の注意義務が評価されます。

夜間・視界不良時の事故

夜間や霧・雨などで視界が悪い場合は、通常よりも高い注意義務が双方に課されます。

自転車の無灯火や車のヘッドライト不使用・光軸不良はそれぞれ重大な過失要因です。とくに無灯火の自転車は過失が大きく評価されます。

車は速度を落とし、より慎重に運転する義務があるため、視界不良下での速度超過は致命的です。道路照明や反射材の有無も過失判断に影響します。

駐停車車両への追突事故

駐停車車両への追突は追突した側に基本的に過失が重くなります。

前方不注意や車間距離の不足が原因とされやすいです。とくに速度超過や重複運転(スマホ等)があればほぼ全面的な責任が認められます。

ただし駐停車が不適切な場所(違法駐車)であった場合や急な停止のやむを得ない事情がある場合は過失割合が調整されます。

ブレーキ痕やドライブレコーダー映像が重要な証拠になります。

自動車と車の事故を起こしてしまった場合の対処法

事故発生後の初動は損害の拡大防止と法的・保険的対応の基礎を作るため、冷静かつ迅速に行動することが重要です。

ここからは、自動車と車の事故を起こしてしまった場合の対処法を詳しく解説します。

安全の確保と二次被害の防止

まずは二次被害を防ぐために車両を可能な範囲で安全な場所に移動し、ハザード点灯や三角表示板で周囲に注意喚起します。

負傷者がいる場合は無理に動かさず救命を優先し、必要なら119番に通報してください。路上での立ち位置にも注意し、交通の流れを妨げないように配慮することが重要です。

現場の安全が確保できたら、次の記録フェーズへ移ります。

警察への通報と事故報告

軽微な接触でも警察への届出は必須であり、交通事故証明書の取得が保険請求や示談で重要な証拠です。

110番で事故報告を行い、現場での事情聴取には正確かつ冷静に応じてください。実況見分や事故処理の結果は後日の責任判断に影響するため、警察官の指示に従うことが大切です。

可能であればドライブレコーダー映像や写真を警察にも提供しましょう。

相手方との情報交換

事故相手とは氏名・連絡先・車両ナンバー・保険会社情報を交換し、免許証や自賠責の確認を行いましょう。

感情的な言動は避け、その場での過失認定発言は慎重に扱ってください。

目撃者がいる場合は氏名と連絡先を控え、現場写真(現場全体、車両の損傷部位、路面状況、標識等)を撮影して証拠として残すことが重要です。

会話は可能ならメモや録音で記録しておきます。

保険会社への連絡と医療機関の受診

加入する保険会社には速やかに連絡し、事故の概要と被害状況を伝えて指示を仰ぎます。

治療が必要な場合は整形外科など専門医を受診し、診断書や治療記録を保存することで後の損害賠償請求に備えます。

異常を感じない場合でも早めの受診で事故と症状の因果関係を明確にしておくことが重要です。保険手続きや修理対応は保険担当者と連携して進めます。

まとめ

自転車と車の事故で過失割合を正しく見極めるためには、事故の具体的状況、双方の注意義務の履行状況、現場証拠の有無が鍵です。

事故後は現場安全確保、警察通報、相手と保険会社への連絡、医療受診といった初動対応を確実に行い、写真・映像・目撃者情報などを保存しておくことが重要です。

過失割合は平均的な基準があるものの、個別事情で大きく変わるため、示談や保険対応に不安がある場合は弁護士や専門家に相談することをおすすめします。

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