「交通事故に遭ってしまったけれど、弁護士に相談するのはいつがベストなのだろう?」「示談交渉が始まる前?それとも保険会社から提示額が出てから?」
上記のような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
実は、交通事故の弁護士相談は早ければ早いほど有利です。
事故直後から弁護士に依頼しておくことで、証拠の確保や保険会社との交渉、損害賠償額の最大化など、被害者にとって有利な対応をスムーズに進められます。
本記事では、交通事故で弁護士に相談するタイミングや弁護士に相談する必要性などを詳しく解説します。
この記事の監修者
藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介
全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。
交通事故について弁護士に相談するベストなタイミング

交通事故に遭った後、弁護士に相談する「最適なタイミング」は一義的に一つではなく、事故直後から示談成立前まで状況に応じて複数あります。
ここからは、交通事故について弁護士に相談するベストなタイミングを詳しく解説します。
交通事故直後
事故直後に弁護士に相談することで大きな利点の一つは、証拠保全と初動対応の確実性が高まる点です。
事故現場の写真やドライブレコーダー映像、警察への届出書類、目撃者の確保、受傷当日の診療記録の確保など、時間経過で失われやすい情報を迅速に収集・保全できます。
また、被害者が相手方や保険会社と接触する前に弁護士を通じて対応方針を固められるため、保険会社の早期かつ不利な示談提示に対して不用意に承諾してしまうリスクを避けられます。
さらに、後遺障害認定や労働状況の整理など、治療方針や証拠収集の観点から医師との連携を図る支援も受けられるため、将来の賠償算定の基礎が強化されます。
事故直後の相談は、時間を味方につけることにつながります。
治療中
治療中に弁護士へ相談するタイミングは、治療の継続期間中に発生する費用や休業損害の適切な計上、治療内容と後遺障害との因果関係を整えるために重要です。
具体的には、通院・入院記録や診療メモ、職場の給与証明などを整備しておくことで、治療費や休業補償の請求に説得力を持たせられます。
加えて、保険会社から早期に「治療打ち切り」を示唆されるケースでは、弁護士が医師の意見を踏まえて適切な治療継続の必要性を主張したり、治療内容の妥当性を立証したりすることで、不当な打ち切りを回避できる可能性が高くなります。
治療中の相談は、賠償金の後方影響を整えるための重要な準備期間になります。
治療終了後
治療終了後に弁護士へ相談する場合、焦点は後遺障害の等級認定や残存する逸失利益、将来治療費の見込みなどの総合的評価に移ります。
診療記録や検査結果、リハビリの経過資料を基に後遺障害認定手続きの支援を受けられ、不服がある際には異議申立てや異議申立てに向けた追加資料の収集を弁護士が助けます。
また、後遺障害等級が確定した段階で逸失利益や後遺慰謝料を含めた最終的な損害賠償額を算定し、保険会社の提示が妥当かを専門的に判断して交渉に臨めます。
治療終了後の相談でも遅くはありませんが、初期の証拠保全が不十分だと主張立証が難航するため、可能なら早期相談が望ましいです。
保険会社から示談金の提示を受けたとき
保険会社から示談金の提示を受けた段階で弁護士に相談することは、提示額が妥当かどうかを客観的に判断して適切な交渉を行ううえで有効です。
保険会社の提示はしばしば被害者にとって過小であるケースがあり、法的に算定可能な項目(治療費、休業損害、慰謝料、逸失利益、後遺障害に伴う将来負担など)を漏れなく盛り込めているかどうかは専門家でないと判断が難しい場合があります。
弁護士が入ると、提示の根拠を確認して不足項目を指摘し、必要に応じて訴訟や調停を見据えた交渉戦略で示談金の増額を目指すことが可能です。
示談提示後でも、納得できない場合は弁護士相談を検討すべきでしょう。
交通事故で弁護士に相談する必要性

弁護士に相談する必要性は単に「専門家に任せる」こと以上の具体的な利点にあります。
ここからは、交通事故で弁護士に相談する必要性を詳しく解説します。
適正な損害賠償額を受け取るため
適正な損害賠償額を受け取るためには、損害の種類を漏れなく把握して正しく金額化する必要があり、ここで弁護士の専門知識が威力を発揮します。
医療費や入通院慰謝料、休業損害、将来の治療費、後遺障害に伴う逸失利益や後遺慰謝料など、個々のケースで算定方法や証拠が異なるため、法律実務に即した算定基準で正当に評価しないと過小評価されがちです。
弁護士は裁判例や基準を踏まえて損害項目を洗い出し、必要書類の整備や専門家意見の取得を促進して、保険会社提示額との差を具体的に説明して増額交渉を行います。
結果として、専門家介入により受け取る総額が大きくなるケースが多く見られます。
保険会社や加害者との交渉を有利に進めるため
保険会社や加害者との交渉は感情的になりやすく、また保険会社側には社内基準やコスト圧力がありますから、専門的な交渉力がないと不利な条件に追い込まれがちです。
弁護士が代理人として介入すると、対応窓口を一本化できるうえ、法的根拠に基づく主張や将来的に訴訟に移行する意思を示せるため、保険会社が示談金の引き上げなど合理的な解決に応じやすくなります。
さらに、過失割合や因果関係で争いがある場合には法的立場から反証材料の構築や証拠提出を行い、相手方の不当な主張を抑止できます。
弁護士の存在は交渉テーブルでの力関係を変え、被害者に有利な解決を導きます。
精神的な負担やトラブルを軽減するため
交通事故の被害者は怪我による肉体的苦痛に加えて、保険手続きや加害者対応、治療継続の不安など精神的な負担を抱えがちです。
弁護士に相談・依頼することで、これらの煩雑な対応を専門家に任せられ、被害者は治療や生活の回復に専念できるようになります。
弁護士は書類作成や相手方とのやり取り、必要な手続きの進行管理を代行し、トラブル発生時には法的手段を迅速に取りうるため心理的な安心を提供します。
結果として、被害者の回復プロセスがスムーズになり、後々の紛争化を防ぐ効果も期待できるでしょう。
弁護士に相談する際の費用相場

弁護士に相談する際の費用は、主に以下3つに分類されます。
- 相談費用
- 依頼費用(着手金)
- 成功報酬
詳しく解説します。
相談費用
弁護士事務所に対する相談費用は、事務所によってバラバラです。
無料相談を行う事務所が増えている一方で、初回相談に数千円から1万円前後の費用を設定している事務所も存在します。
無料相談の場合でも相談時間が30分〜1時間程度に制限されることが多く、より詳細な見積もりや具体的な手続き方針を求める際は有料相談が必要となるケースがあります。
弊所では、初回ご相談は30分無料です。30分経過後は、30分ごとに5,500円のご相談料がかかります。
依頼費用(着手金)
依頼費用として多くの弁護士が設定する着手金は、事件の性質や見込み損害額、手続きの難易度に応じて変動します。
交通事故の示談交渉のみの依頼で比較的低めに設定される一方、訴訟に移行する場合は着手金が高くなることがあります。
具体的な金額は事務所により差があるため、依頼前に着手金の金額、着手金が発生するタイミング、着手金の返還条件(例えば途中解約時の扱い)を確認することが必要です。
弊所では、交通事故の着手金は11万円~とさせていただいております。
成功報酬
成功報酬は成果に応じて支払われる報酬で、増額分に対する割合や獲得額に応じた定率で設定されることが一般的です。
たとえば、保険会社提示額との差額の一部を成功報酬として設定するケースや、獲得した総額に対して一定のパーセンテージを請求するケースなどがあります。
成功報酬の割合や上限、報酬が発生する具体的な条件(和解成立時、裁判での確定時など)を契約書で明確にしておくことが重要です。
弊所では、交通事故の成功報酬を11万円〜とさせていただいております。
交通事故で弁護士への相談が間に合わなかった場合はどうすればいい?

もし示談締結後や証拠喪失などで初期段階の相談が間に合わなかった場合でも、あきらめる必要はありません。
示談後でも過失割合や示談金が著しく不当であると考えられる場合には、示談の取り消しや再交渉、あるいは裁判手続きの検討が可能な場合があります。
また、後遺障害の認定に関する異議申立てや追加資料の提出など、治療終了後に行える手続きも残されていることが多いです。
まずは一度弁護士に相談して、事案の可否を含めて対応策を検討し、可能な法的手段や現実的な回復見込みを示してもらいましょう。
まとめ:迷ったら早めの相談が後悔しない第一歩
交通事故に関する弁護士相談は「いつでも遅くはない」が原則ですが、早期に相談することで証拠保全や交渉力、賠償額の最大化といった実益が得られる点が多く、示談前の段階での相談が特に有利です。
治療中や治療後、示談提示後でも弁護士の専門的評価や交渉は有効であり、費用面では相談費用の有無や着手金・成功報酬の条件を事前に確認するとよいでしょう。











