不貞行為はどこから?不倫とみなされるケースや対処法も解説

「不貞行為ってどこからになるの?」
「肉体関係がなければ不貞行為には当たらないの?」

このような疑問を抱えてる方もいるのではないでしょうか。

不貞行為とは、裁判例上「配偶者以外の異性と自由な意思に基づいて肉体関係を持つこと」とされており、単なる食事や連絡だけでは不貞行為に該当しないのが一般的です。

本記事では、不貞行為の法律上の定義を整理し、どこから不貞行為とみなされるのか、対処法についてもわかりやすく解説していきます。

藤垣法律事務所では、離婚・男女問題に精通した弁護士が在籍しており、迅速対応により最適な解決方法をご提案いたします。下記からぜひご相談ください。

この記事の監修者

藤垣圭介

藤垣法律事務所
代表 藤垣 圭介

全国に支店を展開する弁護士法人で埼玉支部長を務めた後、2024年7月に独立開業。
これまでに刑事事件500件以上、交通事故案件1,000件以上に携わり、豊富な経験と実績を持つ。
トラブルに巻き込まれて不安を抱える方に対し、迅速かつ的確な対応で、安心と信頼を届けることを信条としている。

目次

不貞行為は「どこから」が法律で決まっているのか?

一般的に、裁判例では「自由な意思に基づく配偶者以外との肉体関係」が不貞行為とされています。

そのため、単なる食事やLINEのやりとり程度では、不貞行為と断定されることはほとんどありません。

法律は夫婦関係の継続に重大な影響を与える行為に限定しており、その基準を理解することが重要です。

不貞行為の法律上の定義

法律上の不貞行為は、単なる交際や親密なやりとりではなく、肉体関係の有無によって判断されます。

裁判例においては「夫婦の貞操義務に反する行為」とされ、具体的には自由な意思に基づいて配偶者以外の異性と性的関係を持つことが該当します。

この定義は単に「裏切られた」と感じる心情よりも、客観的に夫婦関係を破綻させる可能性があるかどうかを基準にしている点が特徴です。

なお、不貞は、離婚理由として、以下のように法律に定められています。

第七百七十条

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。

引用元:e-Gov法令検索「民法」

浮気と不倫の違い

浮気は感情的なつながりや異性への好意的な行動など、必ずしも肉体関係を伴わないケースを含みます。

たとえば、頻繁なLINEのやりとりや二人きりの食事、手をつなぐなどの行為も、当事者や配偶者からすれば「浮気」と受け止められることが多いでしょう。

一方で、不倫は通常「婚姻関係にある人物が配偶者以外と肉体関係を持つこと」を指し、法律的には不貞行為と同義に扱われます。

つまり、浮気は広い意味での裏切り行為を含み、不倫はその中でも法的に問題となる領域を指す言葉です。

不貞行為とみなされるケースとは

不貞行為とみなされるケースは、主に以下の通りです。

  • ラブホテルや自宅への出入りが複数回確認されている
  • 肉体関係のやりとりを示すLINEやメールが残っている
  • 宿泊を伴う旅行や外泊をしていたことが判明している
  • 不貞相手の住居に定期的に出入りしていた
  • 探偵の調査報告書で不貞関係が詳細に記録されている

詳しく解説します。

ラブホテルや自宅への出入りが複数回確認されている

不貞行為を立証するうえで強力とされるのが、ラブホテルや相手の自宅など、肉体関係を持つことが合理的に推測できる場所への出入りです。

とくに複数回にわたり確認されている場合、単なる友人関係や偶然の訪問とは考えにくく、不貞関係が存在すると判断されやすくなります。

裁判においては、実際の性行為を目撃されたり撮影される必要はなく、ラブホテルに二人で入って一定の時間過ごし、その後一緒に出てきたといった事実だけで十分に推認されます。

このような行動が繰り返されていれば、客観的に不貞行為を立証する材料となり、慰謝料請求にも有力な根拠となるのです。

肉体関係のやりとりを示すLINEやメールが残っている

現代では、LINEやメールのやりとりが不貞行為の証拠として用いられることが増えています。

たとえば「昨夜は楽しかった」「また会いたい」といった内容に加え、肉体関係を示す具体的な表現が含まれている場合、それ自体が直接証拠となる可能性が高いです。

裁判所はやりとり全体を確認し、その内容から「肉体関係があった」と合理的に判断できるかを検討します。

単なる好意的なやりとりだけでは証拠として弱いですが、肉体関係をうかがわせる表現が含まれていると、他の証拠と組み合わせることで不貞行為を裏付ける材料となるのです。

宿泊を伴う旅行や外泊をしていたことが判明している

夫婦以外の異性と宿泊を伴う旅行や外泊をしていた事実も、不貞行為を立証する強力な証拠となります。

旅行は単なる外出とは異なり、宿泊をともにすることで肉体関係を推測されやすい行動とみなされるからです。

とくに二人きりで宿泊した場合や長期的に旅行を繰り返している場合は、不貞関係を否定するのが難しくなります。

また、宿泊先の領収書や予約履歴、SNSへの投稿なども証拠として活用されることがあります。

外泊そのものが肉体関係を直接証明するものではありませんが、合理的に考えれば「肉体関係を持っていた」と推認される状況であり、慰謝料請求に発展することが多いのです。

不貞相手の住居に定期的に出入りしていた

不貞相手の住居に頻繁に出入りしていた場合も、裁判所は不貞行為を推認する傾向にあります。

とくに夜間や休日に長時間滞在していた事実は、単なる友人関係や業務上のつながりでは説明しづらいため、不貞関係の存在を裏付ける状況証拠とされやすいです。

近隣住民の証言や写真、動画なども証拠として提出できる場合があります。

もちろん一度だけ訪問した程度では不貞とみなされにくいですが、定期的かつ長時間の滞在が繰り返されている場合には、不貞行為を立証するための重要な証拠となるのです。

探偵の調査報告書で不貞関係が詳細に記録されている

探偵事務所に依頼して得られる調査報告書は、不貞行為の証拠として裁判でも重視されます。

写真や動画付きでラブホテルの出入りや宿泊の事実が詳細に記録されていれば、裁判官にとって不貞行為を推認するうえで説得力が高いのです。

自分で証拠を集めることは困難な場合も多いため、確実性を求めるなら探偵に依頼するのが有効です。もちろん費用はかかりますが、法的手続きを進める上で重要な基盤となります。

不貞行為とみなされにくいケース

一方、不貞行為とみなされにくいケースは主に以下の通りです。

  • LINEやSNSでのやりとりのみ
  • 食事に出かけたのみ
  • 複数人での旅行や外出

詳しく解説します。

LINEやSNSでのやりとりのみ

LINEやSNSで親密なメッセージを送り合っていたとしても、それだけでは不貞行為と認定されることはほとんどありません。

裁判所は肉体関係の有無を重視するため、単なるメッセージのやりとりだけでは「不貞行為」とは言えないのです。

ただし、肉体関係を示唆するような具体的な表現が含まれている場合や、他の証拠と組み合わさることで不貞行為の立証に役立つこともあります。

感情的には「浮気」と受け止められることが多いですが、慰謝料請求をするには証拠として弱い点に注意が必要です。

食事に出かけたのみ

異性と二人きりで食事に出かける行為も、一般的には不貞行為と認定されません。

もちろん配偶者から見れば裏切り行為と感じるかもしれませんが、裁判所は肉体関係を推測できるかどうかを基準にするため、単なる食事では不十分です。

ただし、食事の回数が極端に多い、深夜まで長時間一緒にいる、手をつなぐなどの行為が伴えば、他の証拠と組み合わせて不貞行為を推認される可能性が出てきます。

とはいえ、食事のみでは基本的に慰謝料請求の対象にはならないのです。

複数人での旅行や外出

異性を含む複数人で旅行や外出をする場合も、不貞行為と認定されることはありません。複数人が同席していれば、肉体関係を持つ機会が限定されるためです。

ただし、旅行の途中で二人きりになる時間が長く、宿泊を共にしたといった事実があれば、その部分が不貞行為と推認される可能性もゼロではありません。

基本的には「複数人の存在」が不貞行為を否定する要素となりますが、状況によっては証拠として扱われることもある点に注意が必要です。

不貞行為が発覚したらできる対処法

最後に、不貞行為が明らかになったときに冷静に取るべき対応を整理します。

証拠を確保する

慰謝料請求や離婚手続きを検討する際、重要なのは証拠の確保です。感情的になってLINEの履歴を削除してしまったり、相手を問い詰めるだけでは法的に有利な状況を作れません。

ラブホテルの出入り写真、宿泊履歴、親密なやりとりが残るLINEやメールなどは、裁判での証拠となります。

証拠はできる限り客観的に、削除や改ざんが疑われない形で保存しておくことが大切です。

感情的になるあまり証拠を確保する方法が違法な手段になってしまわないように注意しましょう。暴力や脅迫的な言動は特に問題になりやすいところです。利害関係のない第三者を交えながら進めることは有力な方法の一つです。

今後の関係をどうするか冷静に考える

不貞行為が発覚した後、夫婦関係を続けるかどうかは感情だけで決めるべきではありません。

経済的な状況や子どもの有無、今後の生活の安定性などを踏まえて判断する必要があります。

一時的な感情で離婚を選んでしまうと、後に後悔するケースも少なくありません。配偶者と話し合いを重ね、第三者を交えて冷静に選択することが重要です。

実現したいことと回避したいことのそれぞれについて、意識的に優先順位をつけながら検討することをお勧めします。実際に書き出してリストアップしてみると、より冷静に考えやすくなるでしょう。

弁護士に相談して法的手続きの準備をする

慰謝料請求や離婚を考える場合、弁護士に相談することは有効です。弁護士は証拠の有効性を判断し、慰謝料請求や離婚調停、裁判に向けた準備をサポートしてくれます。

また、自分にとって有利な解決方法を提示してくれるため、感情的な争いに巻き込まれるリスクを減らすことができます。

とくに不貞行為は法的な知識が求められる分野のため、早めに専門家に相談することで安心して対応できるのです。

まとめ

不貞行為が「どこから」にあたるのかは、裁判例を通じて明確に定義されています。

法律上は「自由な意思に基づく配偶者以外との肉体関係」が不貞行為とされ、単なる食事やLINEのやりとりでは認定されにくいのが実情です。

とはいえ、ラブホテルの出入りや宿泊旅行、肉体関係を示すやりとりなどは不貞行為を裏付ける強力な証拠となります。

不貞行為が発覚した際には感情に流されず、証拠を確保し、今後の関係をどうするか冷静に考えることが大切です。

藤垣法律事務所では、離婚・男女問題に精通した弁護士が在籍しており、迅速対応により最適な解決方法をご提案いたします。下記からぜひご相談ください。

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