不倫の慰謝料は減額可能?できるケースとできないケースを弁護士が徹底解説

不倫の慰謝料を請求されて、思わず「こんなに高いの…?」と驚いた方もいるのではないでしょうか。

実は、不倫の慰謝料には明確な基準があるわけではなく、状況によって減額が認められるケースも少なくありません。

そこで本記事では、不倫の慰謝料は減額できるのかどうかを踏まえた上で、減額できるケースとできないケースについて詳しく解説します。

藤垣法律事務所では、埼玉県内や大宮エリアなどを中心に不倫の慰謝料請求に関するご相談を承っており、減額に成功した実績も複数ございます。

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不倫慰謝料の減額は可能?

不倫慰謝料の減額は状況によって可能です。

法律上、慰謝料には明確な「定額」があるわけではなく、請求された側の事情や不倫の内容によって、裁判でも減額が認められることがあります。

ここからは、以下2つについて深掘りしていきます。

そもそも不倫の慰謝料請求の目的

不倫の慰謝料請求の目的は、不法行為によって受けた精神的苦痛に対する損害の賠償です。

配偶者の不倫は貞操義務違反にあたり、不法行為と判断されるため、裏切られた側はその苦しみに見合う補償を金銭で求めることができます。

また、慰謝料には再発防止や社会的制裁の意味合いも含まれます。感情的にならず、事実に基づいた冷静な対応が求められます。

不倫慰謝料を払わないとどうなるのか

不倫慰謝料を払わない場合、まず内容証明郵便での請求が届き、それを無視すると民事訴訟を起こされる可能性があります。

裁判で支払い命令が出ても応じなければ、給与や預金が差し押さえられる強制執行に至ることも考えられます。

慰謝料請求は信用情報に影響しませんが、差し押さえを通じて勤務先に知られるリスクがあるため、無視せず、減額や分割払いなど冷静に交渉することが重要です。

不倫の慰謝料が減額できる可能性のあるケース

不倫の慰謝料が減額できる可能性のあるケースは、主に以下の通りです。

  • 婚姻関係が破綻していた場合
  • 相手に誘われて関係を持った(被害性が強い)場合
  • 不倫期間が短い・関係が浅い場合
  • 相場よりも高額な慰謝料を請求された場合
  • W不倫だった場合
  • 慰謝料を支払う経済力がない場合

詳しく解説します。

婚姻関係が破綻していた場合

不倫の慰謝料が減額される、あるいはそもそも請求が認められない可能性があるケースの一つが、「婚姻関係がすでに破綻していた場合」です。

ここでいう「破綻」とは、夫婦関係がすでに実質的に終了しており、形式上は婚姻が継続していても、夫婦としての実態が存在しない状態を指します。

具体的には、以下のような事情が「婚姻関係の破綻」として裁判などで考慮されます。

  • 長期間の別居
  • 夫婦間で会話が全くない
  • 家庭内での接触が完全に途絶えている

このような場合、不倫によって夫婦関係が壊れたとはいえず「損害」が発生していない、または損害の程度が小さいと評価されるため、慰謝料の請求が制限されるのです。

不倫前に婚姻関係が破綻してしまっていたのであれば、慰謝料はゼロになります。ただ、婚姻関係が破綻していたと言い切れるか不明確な場合も多いため、夫婦関係の実態などに応じて5割前後の減額を目安に交渉するケースも相当数あるところです。

相手に誘われて関係を持った(被害性が強い)場合

相手に誘われて関係を持った場合は、慰謝料が減額できる可能性があります。

この場合、当事者の一方が他方に比べて積極的ではなく、不倫関係に至った責任が一方に著しく偏っていると評価される場合に成立します。

第一に、「主導権が相手にあった」と認められる場合です。

たとえば、不倫相手が既婚者であることを隠していた、あるいは「配偶者とはすでに別居していて離婚する予定だ」などと虚偽の説明をして、相手に罪悪感を抱かせないような言動を取っていたケースが該当します。

このような場合、関係を持った側は事実上「だまされた状態」で交際に至っており、悪質性や責任の度合いが低いと判断されるのです。

総じて2~3割程度の減額余地はあり得るポイントでしょうか。誘われた後の対応(断ったか応じたか)、相手からの誘いの執拗さといった点を踏まえ、個別の結果は増減します。

不倫期間が短い・関係が浅い場合

不倫の慰謝料が減額される要因の一つに、「不倫期間が短い」「関係が浅い」という事情が挙げられます。

まず前提として、慰謝料の金額は、不倫の悪質性や夫婦関係への影響の大きさを総合的に判断して決まります。

したがって、同じ「不倫」という行為でも、その内容によって損害の程度が異なり、賠償額にも差が出るのです。

不倫期間が短いとは、一度限りの肉体関係や数週間から数ヶ月といった短期間の交際を指します。

こうした場合、相手配偶者が受ける精神的ダメージは一定程度にとどまると考えられ、長期的・継続的に裏切られていたケースと比べて損害は小さいと判断されやすくなります。

関係があまりに浅い場合は、継続的な不倫があった場合に比べて3~5割程度の減額余地もあり得るところです。不貞行為の回数が少ないほど、慰謝料も小さくなりやすいでしょう。

相場よりも高額な慰謝料を請求された場合

不倫慰謝料が減額される可能性があるケースの一つに、「相場を大きく上回る高額な慰謝料を請求された場合」があります。

まず大前提として、不倫慰謝料には法的に明確な上限や定額が定められているわけではありませんが、過去の判例をもとにある程度の「相場」が形成されています。

たとえば、婚姻関係が継続しており、不倫によって明らかに夫婦関係が悪化した場合の慰謝料は、一般的に50万~300万円程度が相場です。

これに対して、配偶者が不倫をきっかけに離婚に至ったようなケースでは、より高額(200万~500万円程度)になる傾向があります。

相手の請求額と一般的な慰謝料額の差分は、適切な対応によって減額が可能になりやすいでしょう。一般的な慰謝料額は、訴訟を提起した場合に少なくとも認められるであろう見込み額を目安にすることが多く見られます。

W不倫だった場合

W不倫とは、既婚者同士が配偶者以外の相手と関係を持つ状態を指し、つまり両者に配偶者がいる状態での不貞行為です。

重要なのは、慰謝料の本質が「精神的損害に対する賠償」であるという点です。不倫によって配偶者の一方が深く傷ついた場合、その苦痛の度合いに応じて金銭での補償がなされる仕組みです。

しかし、W不倫の場合、加害者とされる側にも家庭があり、自らも不倫によって家庭を壊すリスクを背負っているため、「被害者一方のみが一方的に損害を被った」とは言い難い構造になります。

さらに、W不倫はしばしば「対等な関係での合意に基づく交際」とみなされやすく、被害者(不倫相手の配偶者)からの慰謝料請求に対して、「自己責任的な側面」や「損害の相殺」が主張される余地があります。

つまり、精神的損害の度合いが片方に偏っておらず、ある意味「お互い様」と見なされやすいため、通常の不倫よりも慰謝料額が低く抑えられる傾向にあるのです。

互いに離婚をしない場合、双方の配偶者が慰謝料請求をするとお金が循環するだけになってしまうため、双方ともに請求しない、とするケースもあり得ます。その場合は、慰謝料額はゼロになります。

慰謝料を支払う経済力がない場合

民事上の損害賠償において加害者の支払い能力も一定程度考慮されるため、慰謝料を支払う経済力がない場合は減額される可能性もあります。

慰謝料は精神的苦痛に対する賠償として請求されるものですが、現実的に相手に支払能力が全くない場合は、裁判所は一方的に高額な慰謝料の支払いを命じることを避けます。

ただし、経済力がないからといって必ずしも慰謝料の支払い義務が完全に免除されるわけではありません。

裁判所は、加害者が不倫という違法行為により被害者に与えた精神的損害の程度と、加害者の経済的状況の両方を総合的に判断し、支払うべき慰謝料の金額を決定します。

そのため、経済力の欠如はあくまで「減額の一要因」にとどまり、決定的な免責理由ではないことに注意が必要です。

減額すれば確実に支払う、という信用をしてもらえれば、半分程度の金額でも相手の了承が得られる場合はあり得ます。請求者としても、経済力のないところからは回収できないため、より確実に回収できる方法で解決することにはメリットがあります。

不倫の慰謝料の減額が難しいケース

不倫の慰謝料の減額が難しいケースは、主に以下の通りです。

  • 不倫の期間が長く悪質性が高いと判断される場合
  • 円満に暮らしていたと判断される場合
  • 慰謝料の根拠となるものが明確にある場合
  • 不倫慰謝料の相場と減額可能な金額の目安

詳しく解説します。

不倫の期間が長く悪質性が高いと判断される場合

不倫の慰謝料の減額が難しいケースの1つとして挙げられるのが、「不倫の期間が長期にわたり、悪質性が高いと判断される場合」です。

不倫における慰謝料とは、不倫の期間、被害者の受けた精神的苦痛の程度、不倫が婚姻関係に与えた影響、加害者の反省の有無など、複数の要素を総合的に考慮します。

仮に不倫関係が一時的・偶発的なものであれば、「軽率な行動」や「一過性の過ち」として、ある程度の同情余地が認められ、慰謝料も比較的抑えられることがあります。

しかし、関係が1年、2年と長期に及び、しかも継続的に連絡や密会を重ねていたようなケースでは、「故意かつ計画的に配偶者を裏切っていた」とみなされるため、精神的苦痛が深く、慰謝料額も高額化しやすくなるでしょう。

円満に暮らしていたと判断される場合

夫婦が円満に暮らしていたと判断される場合は、不倫の慰謝料を減額するのが困難です。

慰謝料が決まる大きな要素は、「不貞行為によって被った精神的苦痛に対する損害賠償」です。

そして、この精神的苦痛の大きさは、夫婦関係の状況によって左右されます。

たとえば、不倫が発覚する前から夫婦関係がすでに冷え切っていた、別居状態でほとんど交流がなかった、などの事情があれば、「そもそも夫婦関係は破綻していた」と評価されます。

精神的苦痛の程度が小さいと判断されるため、慰謝料の減額が認められる可能性が高いです。

しかし、逆に日常的に夫婦間で会話や協力があり、同居も続いており、第三者(たとえば親族や友人)から見ても「円満な夫婦」と評価されるような実態があれば、不倫による裏切りの衝撃は大きいと考えられます。

このような「夫婦関係が良好であった」という事実があると、加害者がもたらした損害の重大性がより強く認定されるため、慰謝料を減額する主張は通りにくくなるのです。

慰謝料の根拠となるものが明確にある場合

不倫の慰謝料の減額が難しいケースとして、「慰謝料の根拠となるものが明確に存在する場合」があります。

この「根拠が明確」とは、被害者が不貞行為によって受けた精神的苦痛や損害の実態が客観的に確認でき、加害者の責任の程度も明白であるという状況です。

不貞行為の事実を裏付ける証拠がはっきりしていることが挙げられます。

たとえば、ラブホテルへの出入りが記録された写真、LINEなどでの親密なやりとり、複数回にわたる密会の記録、さらには肉体関係を示唆する会話のログなどが残されている場合です。

これらの証拠は、加害者側が不貞行為を否定できない決定的な根拠となるため、言い逃れができず、慰謝料請求の正当性が強固となってしまうでしょう。

不倫慰謝料の相場と減額可能な金額の目安

不倫慰謝料の相場は、不貞行為の内容や婚姻状況などによって異なりますが、一般的な目安としては約50万円〜300万円の範囲が多いです。

離婚に至らなかったケースでは、精神的苦痛の程度が比較的軽いと判断されることが多いため、慰謝料は50万〜100万円前後にとどまる傾向があります。

一方で、不倫が原因で離婚に至った場合、配偶者や子どもへの影響、生活の変化なども考慮され、200万円以上の高額な慰謝料が認められるケースもあるでしょう。

また、減額が認められる条件が揃っていれば、50万円〜100万円程度まで引き下げられることも考えられます。

不倫慰謝料の相場については、以下の記事で詳しく解説しているので、合わせてご確認ください。

関連記事:不倫の示談金相場はケースによって異なる!金額に影響する内容や意識すべきことなどを徹底解説

慰謝料減額の交渉を行う流れ

慰謝料減額の交渉を行う流れは、主に以下の通りです。

  • 請求内容を確認する
  • 減額交渉を試みる
  • 示談書の作成を行う

詳しく解説します。

請求内容を確認する

慰謝料の減額交渉を行ううえで、まず最初に必要なのは「請求内容の確認」です。

請求金額の根拠の確認を行う必要があり、たとえば、相手が300万円の慰謝料を請求している場合、その金額がどのような理由に基づいているのか、離婚の有無、不倫期間、精神的損害の程度などが記載されているかをチェックします。

また、「証拠の有無と内容」も精査すべき重要なポイントです。

不貞の証拠として写真・LINEのやりとり・ホテルの出入り記録などが提示されているかどうか、その証拠が本当に不貞行為を立証できるものかを確認します。

証拠が不十分である場合、請求自体の正当性を疑うことができ、減額や無効の主張が可能です。

減額交渉を試みる

請求内容の確認を終えた後に行うことは、減額交渉を試みることです。

相手の請求に対して法的・実務的な反論や事情説明を根拠づけながら、合理的な慰謝料額への引き下げを目指していく必要があります。

交渉の目的は単に「安くしてほしい」と頼むことではなく、「妥当性に欠ける部分を指摘し、再提示を促すこと」です。

たとえば、実際には婚姻関係が破綻していた、不倫関係が短期間だった、相手の積極的な誘導があったといった事情があるなら、それを根拠に損害の程度が限定的であると主張し、金額を抑えるよう求めるのが適切です。

示談書の作成を行う

慰謝料の減額交渉を経て双方が合意に至った場合、その合意内容を明文化するために「示談書」を作成する必要があります。

示談書は単なる確認書ではなく、今後のトラブルを未然に防ぎ、法的拘束力を持たせるための重要な書面です。

具体的には、「慰謝料の金額」「支払い方法(分割か一括か)」「支払期日」「支払いをもって問題を終結することの確認」の記載が必要です。

とくに慰謝料の金額は、減額交渉の結果として合意に至った正確な数字を明記し、その金額以上の請求を将来行わないという文言(清算条項)を入れなければなりません。

この書面を適切に作成しておかないと、後から「言った・言わない」の水掛け論に発展する可能性や、再度の請求リスクが残ることになります。

不倫の慰謝料減額を弁護士に相談するメリット

不倫の慰謝料減額を弁護士に相談するメリットは、主に以下の通りです。

  • 法的根拠をもとに主張できる
  • 交渉に慣れており冷静に対応できる

詳しく解説します。

法的根拠をもとに主張できる

慰謝料請求に対して減額を求めるには、「請求額が不相当に高額であること」や「被害者の損害の程度が限定的であること」など、具体的な事情を明確に示す必要があります。

このとき弁護士は、判例や民法上の基準を参照しながら「どのような事情が慰謝料減額の対象として認められるか」という客観的な枠組みを整理し、それを元に交渉を構築してくれます。

たとえば「婚姻関係がすでに破綻していた」「関係が短期間だった」「相手から積極的に誘われた」などの事情は、判例上も減額の根拠として認められてきたため、これを主張の柱として展開できるのです。

また、弁護士は相手方の請求内容が法律的に妥当かどうかを精査し、不当な点があればその是正を求めることも可能です。

仮に相手が感情的になって高額な慰謝料を提示してきたとしても、法的な妥当性が欠けていれば、それを指摘することで冷静な話し合いに持ち込むことができ、過剰な負担を回避できる可能性が高まります。

交渉に慣れており冷静に対応できる

不倫に関する慰謝料交渉は、多くの場合、当事者間で感情的な対立が生じやすく、冷静な判断や法的な分析が困難です。

相手から強い言葉で責められたり、高額な金額を一方的に提示されたりすることで、精神的に動揺し、不利な条件でも応じてしまうケースは少なくありません。

弁護士は第三者として冷静に状況を把握し、感情に流されずに法的観点から対応できます。

さらに、弁護士は過去の類似ケースを多数扱ってきた経験をもとに、どのような交渉が効果的かを熟知しています。

たとえば「最初に強く出てくる相手には、法的根拠を冷静に突きつけて揺さぶりをかける」など、状況に応じた対応が可能です。

また、請求金額の妥当性や、減額の余地があるかどうかを法的な視点から評価し、主張すべきポイントを論理的に整理してくれます。

不倫の慰謝料減額は弁護士へご相談を

不倫の慰謝料を減額したいと考えている場合は、弁護士への相談が有効です。弁護士は法的な根拠に基づいて主張を組み立て、相手と冷静に交渉を進めることができます。

当事者同士では感情的な対立に発展しがちですが、第三者である弁護士が介入することで話し合いがスムーズに進みやすくなります。

藤垣法律事務所では、不倫の慰謝料請求に関するご相談を承っており、減額に成功した実績も複数ございます。

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